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性感帯が開発されるのはなぜ? それ、脳の勘違いかも|脳科学と性⑥

食欲・睡眠欲と並ぶ3大欲求のひとつ「性欲」は、私たちが生きていくうえで欠かせないものです。でも、メカニズムとしてよくわからないことがたくさん。そこで欲求を司る脳との関係性について、脳科学の第一人者である岡山大学の坂本浩隆准教授に伺いました。今回は、性感帯の不思議にフォーカス。

なぜ性感帯は開発されていくのか

性感帯と言えば「性器」が代表格。刺激を受けると脳でドーパミンやオキシトシンが分泌され、それが受容体に蓄積される。そして、一定値を超えるとオーガズムに達して大量放出され、脳を駆け巡って快感が伴う。これがセックスやマスターベーションを気持ち良いと感じるメカニズムだ。

人によっては「」「」「」、さらには「」や「」でも性的興奮や快楽を得ることができる。それは、最初は何も感じなかったのに、段々と気持ち良くなっていく場合が多い。こうした性感帯の開発はなぜ起こるのだろうか。

「はっきりとしたことは解明されていませんが、おそらく脳が勘違いを起こしているのだと予測されます」(岡山大学・坂本浩隆准教)

先ほど説明したように、性行為中はドーパミンやオキシトシンが分泌されている。このとき性器以外の部位に触れていると「ここは性的興奮を得られる場所だ」と脳が認識してしまう可能性があるという。中でも、耳や首といった皮膚が薄い場所は刺激を受けやすいので、その確率が高まるわけだ。

脳は過去の経験から自動で判断していく

だが、脳はそんなにも簡単に勘違いを起こしてしまうものなのだろうか。

「脳はすごく単純な器官で、過去の経験からいろんなことをインプットしていきます。そして、それが物事を見る判断基準になる。極論を言えば、私たちが見ている世界もすべて脳の刷り込みによって認識されているにすぎません」(坂本浩隆准教)

たとえば、下記の絵を見てほしい。左は円の下部が凹んでいるように見え、右は上部が凹んでいるように見えないだろうか。

脳が勘違いを起こす画像

実はこれ、「光は上から注がれ、下に影ができる」と脳が思い込んでいるために、自動でそう解釈してしまうのだ。ちなみに経験値の少ない1〜2歳の子どもが見たら、一部が黒くなっているだけの平らな円にしか見えないという。

性感帯の開発についても仕組みは同じ。一度でも気持ち良いと脳が認識し記憶してしまうと、その部位に刺激を受けた時にドーパミンやオキシトシンを分泌してしまうのだ。

人は生まれながらに快楽を求める生き物

坂本先生によれば、人は生まれながらにして快楽を必要としている生き物だという。たとえば、何の知識もない赤ちゃんが排泄を行えるのも快楽を伴うから起きる現象といえる。

「一概には言えませんが、浮気や不倫がやめられない人は、スリルが快感であると脳がインプットしてしまうケースもあるでしょう。

脳は常に強い刺激を求めます。覚醒剤は1の刺激で10の快楽が得られるので、脳は10の快楽を受け入れる受容体をつくろうとします。そして受容体ができると、今度は1の濃度をあげなければ満足できなくなる。その繰り返しによって脳の機能が異常をきたすわけです」(坂本浩隆准教)

行き過ぎた行為をすると脳はその経験をインプットしてしまうので、ノーマルに戻れなくなる危険性も。そのあたりのリスクをよく理解したうえで、さまざまなプレイを楽しんでみるといいだろう。

坂本浩隆先生

教えてくれた人

岡山大学大学院自然科学研究科准教授。専門は神経内分泌学。特に神経ペプチドホルモンやステロイドホルモンの神経系への影響や、行動レベルで作用している神経内分泌系の仕組みに関心を持ち、研究をしている。また、科研費研究課題を対象とした先端バイオイメージング支援事業(ABiS)にも携わる。

取材・文/石川優太、村上広大 イラストレーション/村林タカノブ

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