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  • 提供:公益財団法人 東京都スポーツ文化事業団

スイマーの新たな聖地〈東京アクアティクスセンター〉は、一般利用ができるらしい

東京2020オリンピック・パラリンピックに向けて、江東区辰巳に新設された〈東京アクアティクスセンター〉。国際基準を満たす水泳競技の新たな聖地だが、実は手頃な料金で一般利用が可能だという。『Tarzan』でもお馴染みのフィットネスモデル、山下晃和さんに充実の設備を体験してもらった。

一般利用も可能な〈東京アクアティクスセンター〉

2021年に開催された東京2020オリンピック・パラリンピックで、競泳、飛込、アーティスティックスイミングの競技会場として利用されたのが、江東区辰巳の〈東京アクアティクスセンター〉だ。

2023年3月に改修工事を終え、現在は(公財)東京都スポーツ文化事業団グループの運営で一般にも開放されていることをご存じだろうか。

メインプールとダイビングプールの2つのプールを備えるメインアリーナ、そしてサブプール、トレーニングルーム、スタジオ、会議室を備える。世界でも最高水準の水泳場で、その後も全国大会等の舞台となっている。

50メートルプールは壁を動かせる機能で2つの25メートルプールにすることができ、水深も可動式の床0〜3メートルまで変更が可能だ。これらの機能はメインプールに限らず、オリンピック・パラリンピックでは選手のウォーミングアップに使われたサブプールにも備わっている。

辰巳の森海浜公園内にある〈東京アクアティクスセンター〉。

辰巳の森海浜公園内にある〈東京アクアティクスセンター〉。

これまで水泳の聖地として愛された〈東京辰巳国際水泳場〉がアイスリンクとなり、〈東京アクアティクスセンター〉は新たな水泳の聖地として昨年から一般に開放されている。

これまで水泳の聖地として愛された〈東京辰巳国際水泳場〉は2025年秋頃に、〈東京辰巳アイスアリーナ(仮称)〉となり、〈東京アクアティクスセンター〉は新たな水泳の聖地として昨年から一般に開放されている。

世界の一流選手と同じ体験ができるプールへ。

辰巳駅に近い東側エントランス、新木場駅に近い西側エントランスと使い分けが可能。駐車場や駐輪場ももちろん完備。一般開放時はシャトルバスも運行しており、新木場・豊洲ルート、塩見・有明ルートの2ルートで最寄りの公共交通機関からもアクセスが容易になっている。

辰巳駅に近い西側エントランス、潮見駅に近い東側エントランスと使い分けが可能。駐車場や駐輪場ももちろん完備。一般開放時はシャトルバスも運行しており、新木場・豊洲ルート、潮見・有明ルートの2ルートで最寄りの公共交通機関からもアクセスが容易になっている。

体験した人

山下晃和さん

アウトドア、ファッション、スポーツ、バイク、クルマ、船舶、登山、自転車系の雑誌のほか、広告などのモデル業を中心にトラベルライターとしても活躍。スポーツトレーナーとしてNASM-PESを取得しているほか、小型船舶一級免許、小型特殊船舶免許、大型自動二輪免許、JCTA認定自転車ツアーガイドなどを持つ。

このように最先端のプールというべき〈東京アクアティクスセンター〉を体験してもらったのは、モデルの山下晃和さん。

自転車やアウトドア、キャンプを楽しむ山下さんは、トライアスロンにも定期的に挑戦している。その訓練のなかで苦手であった水泳もトレーニングで克服しており、いまも自宅近くの公共プールで泳ぐそう。辰巳の森海浜公園から〈東京アクアティクスセンター〉を眺めながら、「普段通っている施設とは比べものにならないほど美しい施設ですね」という。

館内に足を踏み入れても高揚感は続く。流線型の照明と折り紙のような模様の天井の通路が東西のエントランスを貫き、その両端にメインアリーナとサブアリーナが分かれる。

通路の壁面には東京2020オリンピック・パラリンピックの記憶を鮮明に伝える写真パネルの数々が飾られる。「これから一流の選手と同じプールで泳げるのかと思うとワクワクしますね。まるで選手になったかのように泳げそう」と、山下さんは笑う。

東西それぞれに入り口があり、それを貫く1階エントランス。

東西それぞれに入り口があり、それを貫く1階エントランス。

壁面にはオリンピック・パラリンピックの写真が掲出されており、彼らと同じプールを楽しめるという高揚感を刺激する。

壁面には東京2020オリンピック・パラリンピックの写真が掲出されており、選手と同じプールを楽しめるという高揚感を刺激する。

メインアリーナとサブプールの入場料は別個で、利用時間は2時間半で700円。1時間ごとに350円が追加となる。

メインアリーナとサブプールの入場料は別個で、利用時間は2時間半で700円。1時間の延長ごとに350円が追加となる。

メインアリーナへのエントランス。

メインアリーナへのエントランス。

メインアリーナとサブアリーナそれぞれにエントランスが設けられており、希望するプールの入場券を購入。一流選手たちが実際に使用しているロッカー、シャワー、そして個別の着替え用ブースも完備したロッカールームから、プールへ。

思わずわーっと声を上げる山下さん。天井が高く広々とした空間に透き通った水の張られたプールが広がり、まるで選手になったかのような気持ちに

選手たちが利用したロッカーやシャワーを使えるのも特別な空間ならでは。

選手たちが利用したロッカーやシャワーを使えるのも特別な空間ならでは。

ロッカールームを抜けると、思わず感嘆の声がこぼれる。

ロッカールームを抜けると、思わず感嘆の声がこぼれる。

ゴールまでの50メートルを見通せる透き通った水に感動

「とにかく環境が素晴らしいですね。プロのスタジアムといっても野球やサッカーでこのクラスの施設を利用するには団体で貸し切らなければいけないし、料金ももちろん高額ですよね。それがたった700円でこのクオリティの施設が使えるのは水泳ならではかもしれません。実際に大会も数々行われていますから、ここで本番を想定した練習ができるのもいいですね。感覚的なものですが、他のプールとは空気や湿度も違う気がします」と、山下さん。

鮮やかな赤青黄の三原色とプールのブルーのほかは白黒のモノトーンがクールな印象と山下さん。

鮮やかな赤青黄の三原色とプールのブルーのほかは白黒のモノトーンがクールな印象と山下さん。

心地よい緊張感をもった空間はまさに世界水準の競技場だ。

心地よい緊張感をもった空間はまさに世界水準の競技場だ。

さっそくスタート台を使って世界水準のプールへ(一般開放時も第1レーンはスタート台が利用可能)50mを泳ぎ切った山下さんがまず驚いたのは「レーンの向こうまではっきりと見えること」。それもそのはず。〈東京アクアティクスセンター〉は国内最大規模の水処理設備を備えており、常にろ過された清潔な水がプールを満たしている。

飛び込み台に立つと「壮観な景色が広がる」と山下さん。

スタート台に立つと「壮観な景色が広がる」と山下さん。

「照明も明るく、観客席の存在で自身がトップアスリートになったような気になれます」

「照明も明るく、観客席の存在で自身がトップアスリートになったような気になれます」

潜った瞬間に50メートル先まで見通せる水質に、なりより驚いたという。

潜った瞬間に50メートル先まで見通せる水質に、なりより驚いたという。

さらに山下さんは「塩素の匂いがしませんね」と驚く。一般的なプールでは消毒に塩素を使うが、オリンピック・パラリンピックという特別な大会を行うことから塩素臭の少ないプールを目指したという。

塩素臭を除去するためにロンドンオリンピックの競技会場でも使われた紫外線による水処理装置を導入した。透明かつ無臭の水は泳ぐほどに心地よく、世界のトップアスリートを迎えるために用意された技術が一般の利用者も楽しめるのはうれしいかぎりだ。

ハシゴは壁面に埋め込み式なので両端のレーンを泳いでいても気にならないのはうれしいと山下さん。

ハシゴが壁面に埋め込み式なので両端のレーンを泳いでいても気にならないのが嬉しい、と山下さん。

一般開放時は泳者のレベルにあわせてレーンが分けられているので、ゆっくり泳ぎを楽しみたい人にもうれしい。

一般開放時は泳者のレベルにあわせてレーンが分けられているので、ゆっくり泳ぎを楽しみたい人も安心。

併設されたダイビングプールは日本屈指の国際基準プール。一辺が25m、水深が5mのプールで、5基の固定飛込台と5基の飛板を備えている。

このダイビングプールは〈東京アクアティクスセンター〉の利用許可登録が必要で、利用基準を満たし、飛込競技経験者であることの証明が分かる証明書等を提示すれば一般でも高さ3メートルまでの飛込台を利用することができる。ダイビングプールは飛込競技に限らず、アーティスティックスイミングの練習にも使用されているものだ。

世界基準の飛び込み台は緊張感と美しさを備えている。

世界基準の飛込台は緊張感と美しさを備えている。

講習会を受講すれば、一般利用も可能だ。

利用許可登録を受講すれば、3mの高さまでは一般利用も可能だ。

5mの高さに立つ山下さん。

飛込台に立つ山下さん。

泳ぎだけではなく、トレーニングやランニングも楽しめる。

さらに〈東京アクアティクスセンター〉は充実したトレーニングルームも併設している。一般的なトレーニング機器各種、フリーウェイト器具はもちろん、全身運動に効果的な2機種のTRX、フィットネスバイク、ボート競技のトレーニングに用いられるローワー、高負荷のプログラムも備えさまざまな運動目的に応じたトレーニングや測定が可能なエルゴメータなどが揃う。

水泳やスキーのアスリートが手の動きをトレーニングするためのスイムエルゴメーターなど、特殊な機器も少なくない。トレーナーもおり、器具の説明はもちろん、有料でパーソナルトレーニングにも対応している。「会員制のジムにも負けない充実した機器が使えて、この価格は驚きです」と山下さん。

トレーニングルームのみの利用もOK。1時間000円。

プールに入らず、トレーニングルームのみの利用もOK。2時間半の利用で450円と破格。

公共のジムにはあまり見られないTRXトレーニングができる設備も。

公共のジムにはあまり見られないTRXトレーニングができる設備も。

水泳には欠かせない体感を鍛えるマシンや水かき用のマシンなどで、泳ぎの精度をより高めることができそうだ。

水泳には欠かせない体幹を鍛えるマシンや水かき用のマシンなどで、泳ぎの精度をより高めることができそうだ。

さらに辰巳の森海浜公園内にある〈東京アクアティクスセンター〉は、同じく辰巳の森緑道公園、夢の島公園など、ベイエリアに点在する公園にも近い。

トレーニングルームの更衣室などはランニングステーションとしても利用できることから、天気のいい休日はここを起点にランニングを楽しむこともできるのがうれしい。とくに辰巳の森緑道公園は美しい並木道のランニングコースがランナーの人気を集めている。

こちらはトレーニングルームに隣接するロッカールーム。ここを起点にランニングを楽しむのもいい。

こちらはトレーニングルームに隣接するロッカールーム。ここを起点にランニングを楽しむのもいい。

汗を流したあとはぜひ建物内を一巡りしてほしい。2階には東京2020大会メモリアルギャラリーがあり、東京2020オリンピック・パラリンピックで実際に使用された表彰台、チケット、アスリートのユニフォーム、聖火トーチなどが常設展示されている。

泳ぎのフォームを確認できるシミュレーターもあり、なかなかの難易度でぜひ自身のフォームを試してほしい。

2階の東京2020大会メモリアルギャラリー。

2階の東京2020大会メモリアルギャラリー。

歴史的なイベントをいまに思い出させる特別なアイテムの数々が置かれる。

歴史的なイベントを今に思い出させる特別なアイテムの数々が置かれる。

〈東京アクアティクスセンター〉が五輪会場だったことをあらためて実感できる。

〈東京アクアティクスセンター〉が五輪の会場だったことをあらためて実感できる。

〈東京アクアティクスセンター〉には、世界でもトップレベルのプールで泳ぐ楽しみがある。これからの季節、スイム、ランニングともに楽しめる緑豊かな湾岸エリアを使い倒したい。まずはこの歴史的な舞台で、心地よく水と戯れてみるのはどうだろう。

INFORMATION

東京アクアティクスセンター

・住所:東京都江東区辰巳2-2-1

・料金:プール一般700円(2時間半を超えた場合は1時間ごとに350円) トレーニングルーム一般450円(2時間半を超えた場合は1時間ごとに220円)

・HP:https://www.tef.or.jp/tac/index.html

取材・文/山田泰巨 撮影/間澤智大

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