
ここは料理家・麻生要一郎さんの自宅。悩める若者から酸いも甘いも知るアーティストの先輩、旧知の仲から初めましての人まで、夜な夜な一癖も二癖もある人たちが円卓を囲み、麻生さんの手料理をほおばりながら日々のあれこれを語り合います。
この日、麻生さんが自宅に招いたのは、アイウェアブランド〈kearny〉のデザイナー熊谷富士喜さん。麻生さんがいつもかけている眼鏡の作者であり、ゆくゆくは一緒にバスケをする予定の“未来のチームメイト”です。

テーブルゲスト
熊谷富士喜(くまがい・ふじき)デザイナー。1985年、神奈川県生まれ。2013年に〈kearny〉を設立。眼鏡産業のいち時代を支えた職人技を後世に残したいという思いのもと、すべての眼鏡にセルロイド製のパーツを用い、各年代を彩ったデザインに敬意を払いながら、自身が眼で見たもの、手で触れたものをプロダクトに溶け込ませる一意専心な物づくりを探求している。
Instagram:@kearny_eyewear
熊谷さんから麻生さんへ。料理のリクエスト
要一郎さんへ
先日は自由が丘のお店にご来店いただき、ありがとうございました。お昼もご一緒でき、とても楽しい時間を過ごさせていただきました。
知人の開催するイベントや、坂本美雨さんの「タベタイ商店」でも、要一郎さんのお弁当がすぐに売り切れてしまい、実はまだ一度も食べれたことがないので、今回お料理を作っていただけることになり、非常に嬉しく思います。
僕は幼少期から喫茶店が大好きで、ナポリタンをよく食べていました。
是非要一郎さんが手がけるナポリタンを食べてみたいと思い、リクエストさせていただきます。
改めて、今回のお料理の機会を本当に楽しみにしています。
〈kearny〉 熊谷富士喜
熊谷さんの専門である眼鏡の少しマニアックな話から、麻生さんが1学年24組のマンモス高校で培ったコミュニケーション術、バスケのシニアリーグ(40歳以上が参加)での審判の厳しさまで。ナポリタンを頬張りながら交わされたふたりの「テーブル・トーク」の模様はこちらから。

オーブンのなかで熊谷さんの到着を待つチキンドリア。

この日のナポリタンは「喫茶店」がコンセプト。ケチャップとトマトソースをかけ合わせ、マッシュルームは缶詰を使う。

日本でも珍しいデザイナーズアイウェアのデザイナー熊谷さん。デザインのこだわりから視力のトリビアまで、周囲からの質問が絶えず、食べるのと喋るので大忙し。

「迷ったら具は全部入れたくなってしまう」という麻生さん。この日のナポリタンはベーコン派とソーセージ派、どちらも満足できる仕上がりに。

お腹が満たされ、メガネトークに花が咲く。

麻生さんの相棒である〈kearny〉。

チキンドリア、シーザーサラダ、コーンスープ。ナポリタンをメインに、喫茶店のフルコースが振る舞われた。

コーヒーの焙煎を趣味とする熊谷さんがつくるカーニーのオリジナルブレンド。

ハンドミルで挽いた豆の豊かな香りがリビングに広がる。
熊谷富士喜さんへ
テーブルトークにご出演を頂き、ありがとうございました。
先日、自由が丘の中華料理屋さんで、昼からささやんと3人で食べながら話した時には、もうちょっと富士喜さんのB面の話というか、軽いトーンの話をするつもりでいたのに、思いがけず真面目なメガネトークになってしまいましたね。10代の頃から、毎日かけているメガネですが、知らない事がたくさんありました。
「メガネは顔の一部です」というCMがかつてありましたが、メガネはその時のスタイルを象徴するものだと僕は思います。メガネを変えるだけで、その人の印象が本当に変わりますね。取材で自分の写真を撮られる事が多くなって、そのことを痛感しています。
僕が料理家としては駆け出し、養親となった高齢姉妹の介護に追われ大変だった時には、丸メガネをかけて柔らかい印象。介護も終わり心境も変化、もっと自由に楽しく生きたいと思って、新しいメガネが欲しいと話した時に、ささやんが〈kearny〉へ連れて行ってくれて、富士喜さんに出会いました。メガネ屋さんをやっている知り合いはいても、ブランドを自ら立ち上げた人は周りにおらず、興味津々。
食後に淹れてもらったコーヒー、とても美味しかったです。誰かとコラボして、コーヒーのオリジナルブレンドやオリジナルのビールを作る、写真集の制作や伴った写真展の開催、メガネと洋服のその先で常に誰かと一緒に何かをして楽しんでいる様子に、富士喜さんらしさがあり、その感覚がデザインするメガネにも現れているのかなと思っています。
今回はナポリタンでしたが、尽きない話の続きは我が家の食卓で、ささやんも交えて一献しながら。先日の展示会でオーダーさせてもらった、パープルのメガネの仕上がりも、とても楽しみです!
麻生要一郎
本日の一品:喫茶店ナポリタンのつくりかた
―材料(3人前)―
・スパゲッティ(乾麺) 300g
・玉ねぎ 大1/2個
・ピーマン 4個
・マッシュルーム(缶詰) 1個
・ベーコン 50g
・ウィンナー 5本
・ケチャップ 大さじ6
・トマトペースト 大さじ2
・パスタ茹で汁 大さじ2
・オリーブオイル 大さじ1
・バター 10g
・塩こしょう 各適量
・パスタ用の塩 大さじ1
手順
1.具材は5~6mm幅に切ります。玉ねぎは縦半分にして芯を切り落とし、ピーマンはヘタと種を除いて、ベーコンは端からそれぞれ5~6mm幅に切ります。ウィンナーは斜めに5~6mm幅に切ります。
2.鍋に水をたっぷり入れてパスタを茹でるお湯を沸かしながら、フライパンにオリーブオイルを入れて、玉ねぎから炒め始めます。玉ねぎが透き通って来たら(この辺りでパスタも茹で始めます)、ベーコンとウインナーを加えて炒め合わせて、最後にピーマンを入れます。
3.塩こしょうで味を一旦整えたら、ケチャップとトマトペーストを加えて、茹で汁も入れてから軽く炒めて、茹で上がったパスタを投入、バターも加えて、全体を炒め合わせて完成。(焦げそうな時には水を加えましょう)お好みで粉チーズを添えて、いただきます。
ポッドキャスト出演
麻生要一郎
熊谷富士喜
井手裕介(Tarzan Webプロデューサー)
平岩壮悟(Tarzan Webライター)
ポッドキャストスタッフ
ジングル・BGM:田中堅大
編集:浜本壮大