連載「View of PICSPORT -フォトグラファーが見たアスリートの肖像-」。長年、さまざまな競技で取材を続けるスポーツフォトグラファー、岸本勉さん、中村博之さんが写真を通じて、“アスリートの素顔”に迫る。第十二回は岸本勉さんが捉えたアーティスティックスイミング。
コロナの影響で、水泳界も大会カレンダーがだいぶズレが生じてきたが、今夏のパリオリンピック以降は正常に戻りそうだ。今回は、若干イレギュラーともいえる2024年2月に行われた世界水泳ドーハ2024でファインダー越しに捉えた作品の一部を紹介したい。
2018年からシンクロナイズドスイミング改めアーティスティックスイミングと名称が変更になり、「シンクロ」と呼ばれていたその競技は「AS」と呼ばれるようになった。
「チーム」や「デュエット」、「ソロ」などのカテゴリーで開催されるが、男子ソロや男女が一緒に演技する「ミックスデュエット」もスピード感や高さなどが見どころになる。
当然撮る側もその瞬間を狙うことになるのだが、水しぶきの動きやジャンプだけでは無い様々なシーンも面白い。
水に飛び込む前のステージ上ではそれぞれのパフォーマンスが年々趣向を凝らしたものになっている。チームであっても、男子ソロであっても演技のテーマに合わせての動きが楽しい。
また演技後に採点を待つ、まるでフィギュアスケートのような「キス・アンド・クライ」も競技の一部といえる。チームのような大人数が喜ぶ様子(時には悲しむ)もなかなかの見応えだ。
今大会には出場しなかったが、佐藤友花/陽太郎の姉弟ペアは2023年に福岡で開催された世界水泳ミックスデュエットで見事金メダルに輝いている。また、女子デュエットには何組かの双子がエントリーをしていて息の合った演技を魅せてくれる。
パリオリンピックではどんなドラマが待ち受けているのか、今から楽しみである。
ASの練習用プールに描かれていた飛込の壁画。世界水泳らしい光景。
練習後に記念撮影に収まるスペインチームの選手たち。
開幕2日前に行われた公式練習。コーチの指導も熱を帯びていた。
練習の合間にiPadで演技を確認する選手たち。なんだか微笑ましい。
自ら力強く手が飛び出す、ミックスデュエットのワンシーン。
後方の女子選手の腕だけが飛び出して、不思議な一枚となった。
演技冒頭、ワクワク笑顔で水面に姿を現した選手。
大会期間中に新年(旧正月)を迎えた中国チームメンバー。
サッカーのボレーシュートを決めているかのようなシーン。
水面下の選手たち、人魚のような、熱帯魚のような姿だ。
シャッタースピードを速くして、水しぶきと選手を捉えた。
細くも鍛えられた肉体。演技前、ステージに静かに登場。
水中で抱き合う女子デュエットの選手たち。
激しく首を振り、その動きと共に水も弾ける。
中国のWANG双子姉妹。息の合った演技で世界水泳でも金メダル獲得。
まるでファッションショーのような入場シーン。
回転しながら水しぶきを飛ばす。このカットもシャッタースピードを早めに設定。
エアロビクスの大会のようなシーン。身体能力の高さに驚かされる。
キス・アンド・クライで中に浮きながらの歓喜。
表彰式を控えた中国のペア選手。試合を終えたばかりにも関わらず、演技の確認をしていた。
フォトグラファー・岸本勉
岸本勉(きしもと・つとむ)/1969年生まれ、東京都出身。10年余りスタッフフォトグラファーとして国内外の様々なスポーツイベントを撮影。2003年に独立、「PICSPORT(ピクスポルト)」を設立。オリンピックは夏季冬季合わせて14大会、FIFAワールドカップは8大会、ほか国内外問わず様々なスポーツイベントを取材。2015年FINA世界水泳選手権カザン大会より、オフィシャルFINAフォトグラファーを担当。国際スポーツプレス協会会員(A.I.P.S.)/日本スポーツプレス協会会員(A.J.P.S.)
Instagram:@picsport_japan
X:@picsport_jpn
撮影・文/岸本勉
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