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タンパク質と、何が同じで、どう違う?ジェーン・スーと〈味の素(株)〉社員が語るアミノ酸のこと。
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いざ走り始めると体感する問題の数々…。でもそんな問題も、意外にちょっとした工夫でクリア可能なんです。今回は「走ると痒くなる…、脇腹が痛くなる…」などのプチトラブル。4つのQ&Aから解決策を見つけ出そう。
ここでクイズ。5km走るとしたら、息苦しいのは最初の1kmか、それとも最後の1kmだろうか。走った経験に乏しい人は、「当然息苦しいのは疲れた最後の1km」と思うかもしれない。でも、実際は初めの1kmの方がしんどい。
走り始めると、下半身を中心とする全身の筋肉と皮膚が血液と酸素を求めるようになる。当初は血液と酸素の供給が追い付かないので、「息苦しい」と感じやすいのだ。それはトラブルでも何でもなく、中上級者ランナーでもフツーのこと。
こうした息苦しさは、初めのうちだけ。ずっとは続かない。何度も走って「そのうち平気になる」とわかっていれば、無駄に悩まなくて済む。経験と体質に応じて個人差はあるけれど、通常は距離にして2〜3kmほど、時間にして15分を超えるあたりから先は呼吸が徐々にラクになる。
ちょっとでも息が苦しくなるのが嫌なら、準備を長めに取ってみよう。速歩から始め、段階的にスピードアップ。10分以上かけて、普段のペースまで持っていくのだ。ペースとまさに歩調を合わせるように血液と酸素の供給が追い付いてくると、呼吸の辛さをほぼ自覚することなく、ランが楽しめるに違いない。
ちなみに疲れているはずの最後の1kmは「これで今日は終わりだ」と思えるから、案外ラクなものだ。
ランナーが抱えるトラブルで何といってもポピュラーなのは、膝の痛み。「ランナーズ・ニー」という言葉があるくらいだ。
ランナーズ・ニーは、同じ動きを長年繰り返すことで生じるオーバーユース症候群の一種。いわば金属疲労のようなものだ。具体的には、腸脛靱帯炎、膝蓋靱帯炎、鵞足炎などがある。最初の2つは、関節を安定させる役割を持つ靱帯の炎症、最後の1つは筋肉(ハムストリングス)の末端にある腱の炎症だ。
けれど、走り始めて1か月程度でオーバーユース症候群に陥ることは滅多にない。
「両膝全体がなんとなく痛くて、それが走り始めてしばらくすると軽くなるようなら、慣れない運動を始めたときの違和感のようなもの。オーバーユース症候群を心配しなくてもよいと思います」(フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さん)
心配なのは、左右のどちらかだけにピンポイントで痛みが走ったり、走っているうちに痛みが少しずつ強くなったりするケース。とくに安静にしていても痛みが出るようになったら、整形外科的なトラブルが進行している恐れがある。
そういうときは、迷わずランニングを中止。スポーツ障害の治療に経験豊富な整形外科クリニックをネットなどで調べて、医学的な診断で原因を突き止めて治療に励みたい。
気持ちよく走っていたのに、突如として脇腹に差し込むような痛みを感じて、ペースダウンを強いられるケースもある。突然の脇腹の痛みには、どのように向き合えばいいのか。
「脇腹が痛む理由は千差万別。一概に決めつけることはできませんが、いちばん多いのは次の2つ。消化不良か、コアの筋肉不足です」
消化不良で脇腹が痛むメカニズムは次の通り。
食事をすると、消化吸収のために消化管に血液が集まる。そのタイミングで走ると、筋肉&皮膚も血液を求めるため、消化管との間で限られた血液の取り合いになる。消化管に血液が行き渡らないと消化不良を起こすし、脇腹で血液を溜める脾臓のストレスにもなり、痛みが出るのだ。
食後時間を置いてから走ったときに、脇腹の痛みが出にくいなら、消化不良が主因かも。次からは空腹の状態で走るようにしよう。
コアの筋肉不足で脇腹が痛むのは、ランでは一歩ごとに内臓が上下するから。歩幅1mなら5km走るだけで5000回着地する。その衝撃をコアの筋肉が緩和できないと、内臓に痛みが走るのだ。
思い当たる人は、内臓を安定させるコアの筋肉を、腹筋トレやピラティスなどで鍛えてみよう。それで脇腹が痛まなくなるなら、コアの筋力不足によるものだったと考えられる。
ランニングでは、走ることに集中したいもの。なのに、走っているうちにカラダのあちこちが痒くなり、気が散って困ることもある。理由はいろいろあるだろうが、その原因としてもっとも疑わしいのは、ランによる血行促進。
走って体温が上がると、発汗で体温を正常レベルまで下げるため、皮膚の血流が増える。汗の元は、血液にほかならないのだ。運動不足で太った人は、体温が上がり、皮膚に流れ込む血流が増えるような体験を日常的にしていない。慣れない血流アップが新たな刺激となり、それが痒みという形で表れることも少なくない。
このケースでは、ランが習慣化するにつれてカラダが慣れるため、痒みに悩まされる頻度はだんだん減ってくる。そうなれば、もう心配しなくてもいいだろう。
頻度はそう多くないが、屋外での運動時に起こる紫外線アレルギーで痒くなることもある。
紫外線アレルギーとは、光線過敏症の一種。太陽光に含まれている紫外線の刺激に皮膚が過敏に反応してしまい、痒みなどの症状が出るのだ。皮膚科で診察してもらおう。
ドクターの許可が出たら、紫外線が皮膚に直接当たらないようにウェアでカバーし、帽子を被ってサングラスをして走ってみる。可能なら、紫外線が降り注がない夜ランに変えるのもいいだろう。
取材・文/井上健二 撮影/山城健朗 スタイリスト/ヤマウチショウゴ ヘア&メイク/村田真弓 取材協力/中野ジェームズ修一(スポーツモチベーション)
初出『Tarzan』No.798・2020年10月22日発売