筋肉を目覚めさせて怪我を予防せよ! ラン前のウォーミングアップ決定版
早く走り出したいからといって、ウォーミングアップをサボってしまったら怪我のリスクは高まるばかり。全身の筋肉を目覚めさせるため、動かす部位をしっかりと意識しながら動的な準備運動を行おう。
取材・文/黒澤祐美 撮影/山城健朗 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/天野誠吾 エクササイズ監修/白取秀司(しらとりスポーツサポート)
(初出『Tarzan』No.712・2017年2月9日発売)
走る前にやっておくべきことは? と聞かれれば、どんなレベルのランナーであれ「ウォーミングアップ」と答えるだろう。これはもちろん大正解。着替える、シューズを履く、ログをセットするといった細かいことを除けば、走る前はウォーミングアップと栄養補給。これに尽きる。
しかし、ウォーミングアップの内容はというと、なんとなく済ませている人も少なくない。屈伸・伸脚をそれとなくやって、手足ブラブラ、首を回してハイ終了。これじゃ筋肉は目覚めない。
「肩甲骨のストレッチでいうと、両肘を前方だけでくるくる回していても肩甲骨はほとんど動きません。今どこを使っているのかを意識しながら行うことで質の高いウォーミングアップになります」(しらとりスポーツサポート代表・白取秀司さん)
ウォーミングアップの目的は、走るための準備を整えること。日常の生活で使わない筋肉を呼び起こして、カラダを走るモードに切り替える。これが結果として怪我の予防にも繫がるのだ。
「走る前のストレッチは、動的であることが大前提。ビギナーの人はまず全身の筋肉を動かすことを目的とします。一方、中級者ランナーのストレッチは、スピードを上げることを想定し、より強度の高い動きを加えて筋肉に刺激を入れる。1〜5のストレッチはビギナー・中級者ランナー共通で行い、中級者ランナーは6〜8も行い下半身を重点的に刺激しましょう」
【ビギナー&中級者】全身の筋肉を満遍なくほぐして、カラダを目覚めさせる!
1. 肩甲骨
両足を腰幅に開いて立つ。両肘を曲げ両手の指先を肩につけたら、脇を締め、肘を前方に向ける。その状態から肘でカラダの左右に円を描くように、後方へ回す。大きく回して肩甲骨を動かすこと。10回。
2. 体側
両足を肩幅に開いて立ち、片腕を真上にまっすぐ伸ばす。高い場所にあるものを取るようにさらに手を伸ばし、上体を反対側に軽く倒して腕・脇・体側を伸ばす。目線は指先へ。左右交互に10回ずつ。
3. 体幹
両足を肩幅に開いて立つ。両手を肩の高さに上げ、肘を水平後方に軽く曲げる。掌の向きは下。カラダの中心を軸に、左右交互に上体を捻る。リズミカルに動かすことで上半身全体を刺激する。20回。
4. 腸腰筋
脚を前後に開き、前側の膝を曲げる。両肘を曲げて脚と逆に前後に構え、走り出すポーズをとる。重心は前脚に乗せる。上半身の角度を変えずに、後ろ脚の膝を引き上げ、同時に左右の腕を入れ替える。10回。逆脚も。
5. 股関節
ボールを蹴るように片脚で立ち、逆脚を後ろに伸ばす。膝は曲げてもOK。肘を曲げ、後ろ脚と同じ側の腕を前に。後ろ脚を前に振り出すと同時に両腕を前後に振る。できるだけ上半身は動かさないこと。左右10回ずつ。
【中級者】ダイナミックに股関節を動かして、スムーズな蹴り出しに!
6. ランジウォーク
脚を前後に開き、前の膝を90度に曲げる。爪先と膝は同じ方向に。両肘は軽く曲げ、脚と逆に構える。次に後ろ脚を一歩前に出し、前膝が直角になるまで沈み、同時に腕を入れ替える。膝は爪先より前に出さないこと。10歩。
7. サイドランジ
脚を左右に大きく開く。伸脚をするように片脚に体重を乗せ、膝を曲げて腰を落とす。両腕は自然に胸の前にセット。この時上体はできるだけ起こしておくこと。重心を逆脚に移動し同じ体勢になる。10回繰り返す。
8. スプリットジャンプ
脚を前後に大きく開き、前側の膝を曲げる。爪先と膝は同じ方向に向ける。両肘を軽く曲げ、脚と逆に前後に構える。両脚で地面を踏み込み、真上にジャンプし、着地と同時に手脚を入れ替える。リズミカルに10回。