• セックスレスの原因は? 脳科学とホルモンから考える|脳科学と性②
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2021.10.10

セックスレスの原因は? 脳科学とホルモンから考える|脳科学と性②

セックスレスの原因は? 脳科学とホルモンから考える

食欲・睡眠欲と並ぶ3大欲求のひとつ「性欲」は、私たちが生きていくうえで欠かせないものですが、メカニズムとしてよくわからないことがたくさん。今回は「人はなぜセックスレスになるのか」を脳科学的に探ります。

性欲はいつ減退するの? 男女に違いはある?

男女ともに加齢によって性ホルモンの分泌は減少していくので、理論的には徐々に性欲は減退していくのは自然。だが、それも平均寿命が伸びていることで変化が起きているという。

「昨今は男女ともに健康寿命が長くなっているので、昔に比べると性欲はそれほど落ちないと言われています。女性は閉経を迎えることでエストロゲン(性ホルモン)の分泌量が急激に減少し、腟の分泌液が減少するなど性機能は低下します。 ただし、性欲を司る男性ホルモンは閉経後も分泌されるため、 性欲は変わらないと考えられています」(岡山大学・坂本浩隆准教授)

日本の女性の平均的な閉経年齢は50歳。この平均年齢から5年前後の45歳から55歳までの10年が更年期とされており、この間に女性の性機能は低下していくことになる。一方で、男性は何らかの原因でテストステロンの分泌が急激に低下しない限り、20代をピークに緩やかに性欲減退が進むとされている。

男性/女性ホルモンの推移
年齢別・男女の性ホルモンの推移
出典/男女共同参画白書 平成30年版

過度なストレスは性的モチベーションを損なう。

また、日頃の仕事や人間関係におけるストレスも性欲の減退に影響を及ぼす。心身がストレスを受けることで合成されるステロイドホルモン「グルココルチコイド」は、性的なモチベーションを低下させると言われている。

「グルココルチコイドは、『ストレスホルモン』とも呼ばれています。本来は糖代謝に関係しているホルモンですが、ストレスを感じることで多く分泌され、性ホルモンの作用を錯乱させる場合があります」

うつ病になると性機能も落ちると言われているが、それはストレスホルモンが影響しているわけだ。

また、女性については、社会的なライフスタイルの変化も性欲減退の原因になっている可能性があるという。

「近年は女性の働く機会が増え、場合によっては管理職につくことも多くなっています。女性の場合は特にストレスがかかると、性的な周期の乱れが男性よりも大きいと考えられています」

良きセックスライフには常にフレッシュな情報を。

こうした要因に加えて、愛する者同士のセックスライフを拒むのがマンネリだ。時間経過やセックスの回数を重ねることによって、外的刺激に慣れてしまう。性的なモチベーションを高めるための方法はないのだろうか?

「慣れが生じると興奮の度合いが下がることは、脳の構造的に仕方のないことです。ただし、脳は常にフレッシュな情報を得ようとするので、パートナーと過ごす時は普段とシチュエーションを変えてみると良いかもしれません」

自宅ではなく、ラブホテルに行ってみる。普段とは違う刺激的な行為にチャレンジしてみる。ここで大切なのは、お互いに楽しみ合う気持ちを忘れないこと。ちょっと馬鹿げているくらいの方がちょうどいいかもしれない。

教えてくれた人
坂本浩隆先生
坂本浩隆(さかもと・ひろたか)/岡山大学大学院自然科学研究科准教授。専門は神経内分泌学。特に神経ペプチドホルモンやステロイドホルモンの神経系への影響や、行動レベルで作用している神経内分泌系の仕組みに関心を持ち、研究をしている。また、科研費研究課題を対象とした先端バイオイメージング支援事業(ABiS)にも携わる。

取材・文/石川優太、村上広大 イラストレーション/村林タカノブ

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