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歩くだけで疲れてしまうという人は、もしかしたら体幹のインナーが使えていないのかも。今回は、インナーマッスルを使って歩く“体幹コアウォーク”を紹介。スポーツと同様、正しく歩くには技術がいる。ウォーキング講師の今村大祐さんに体幹コアウォークを実現するためのポイントと、7つのコツを教えてもらおう。
今村大祐さん
いまむら・だいすけ/プロフェッショナルウォーキング協会代表理事。独自メソッドでモデルやミス・コンテスト出場者を指導し、30人以上のミスコン日本代表を誕生させた。ウォーキングトレーナー育成にも尽力。
「テニスやゴルフをプレーするには、スキルを学ぶ必要がある。ウォーキングもそれと同じ。正しく歩くには“技術”がいるのです」と話すのは、ウォーキング講師の今村大祐さん。
歩くスキルでもっとも大事なのは、カラダを貫く1本の軸を保ち、その軸を中心に“面”ではなく“線”で歩くこと。そのため、ヘソの下にある「丹田」を中心に、体幹(コア)を意識して歩く。それを今村さんは、「体幹コアウォーク」と呼ぶ。
「体幹の深層で骨格を支えるインナーマッスルを用いると、姿勢が正しくなり、まるで骨で立っているような感覚でラクに歩けます。また、アウターの大きな筋肉を使わないので、歩いても疲れにくくなります」
ところが、現代日本人には、体幹から力が抜け、姿勢が崩れて猫背でトボトボ歩く人が少なくない。
「昔の日本人は着物を着て、帯を締めて腹圧を高め、バランスを崩さずに起伏に富む不整地を歩くため、すり足で2軸のナンバ歩きをしていた。その時代はそれが合理的でしたが、着物を脱ぎ、帯を解いて腹圧が落ち、洋服で起伏の少ないフラットな道を歩くようになったのに、いつまでも過去のクセが抜けないのです」
体幹コアウォークでは①1本線を1軸で歩く、②歩幅を広げる、③腕を後ろに引いて肩甲骨を動かすという3点が重要。それを実現する7つのコツがある(下参照)。
「この7つは体幹のインナーを上手に稼働するためのもの。足元から整えた方が歩くスキルは整いやすいので、1から順に試してください」
爪先を開かないと足首が硬くなり、すり足になりやすい。爪先を15度ほど外へ開くと足首の可動域が広がり、重心が親指の真下に来て下半身の筋肉が使いやすくなる。初めは大きく開いて意識づけをしてみよう。
内腿を引き締め、内転筋群を刺激すると、体軸が整い、1本のライン上を歩きやすくなる。歩幅も広がりやすくなり、お尻の中臀筋が鍛えられて骨盤のポジションが安定しやすい。内腿をすり合わせるように歩く。
ヘソ(丹田)を凹ませる意識で腹横筋や横隔膜や多裂筋といったインナーマッスルを刺激。腹圧が高まり、猫背がリセットされて姿勢が整う。深く呼吸できて心肺機能も上がる。ポッコリお腹の解消にもつながる。
みぞおちを3cm上げる意識で胸を高く持ち上げる。背骨本来のS字カーブが取り戻せて、腹圧がさらにかけやすくなり、骨盤が正しく前傾。腰が曲がったり、落ちたりしなくなる。女性のバストアップにも。
お腹を凹ませて胸を持ち上げると、つられて肩が上がりやすくなる。首を伸ばすように肩を落とし、肩甲骨を押し下げる。肩から力を抜くと上半身の緊張が取れてラクになり、肩こりが軽くなる感覚がある。
首の頸椎は本来前方へ軽くカーブする。でも、スマホの使い過ぎで首が前に出て、頸椎がまっすぐになるストレートネックも多い。首を立てて頭を起こし、頸椎カーブを取り戻す。スマホを使うときもこの姿勢で。
最後は歩くスキルというよりも、歩く姿をより素敵に見せる工夫。口角を上げると笑顔になり、目元がパッチリ開き、表情が柔らかくなって好印象に。呼吸量が増えてラクになり、リラックスできる。
初めは、3つのポイントを遵守して歩き続けるのは、ちょっと辛いかもしれない。なら、生活圏の動線で、実践するルートを決めてみよう。
「決めた場所に近づき、“そろそろだな”と思うと、歩き方が自然に整います。さらに、定番ルートが終わった後でも、“気分がシャキッとするから、もう少し歩いてみようか”と意欲的になり、徐々にこの歩き方が身につくようになります」
取材・文/井上健二 撮影/五十嵐一晴 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/大谷亮治 ウォーキング監修/今村大祐(プロウォーキング講師)
初出『Tarzan』No.843・2022年10月6日発売