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もっと歩きたくなる!歩くの質を上げる“上半身ウォーク”

歩きの誌上クリニック 上半身ウォーク

ウォーキングをしていると、ついつい下半身ばかり意識してしまうが、効率的な歩き方を身につけるなら注目すべきは上半身。上半身を使って推進力を生み出し、長く、楽に、効率的に歩けるウォーキング術を習得しよう!

池田ノリアキさん

池田ノリアキさん

教えてくれた人

いけだ・のりあき/ウォーキングトレーナー。ウォーキング講師歴27年。アシックスに35年勤務してフットウェア企画開発やウォーキング講師に従事。健康運動実践指導者、転倒予防指導士、健康経営アドバイザー等。

歩きを変えるなら鍵となるのは“上半身”

ウォーキングでは下半身に目が行きがちだが、効率的な歩き方を身につけるなら、注目すべきは上半身

「推進力を生み出すエンジンは、多い方が有利。下半身だけで歩くとエンジンは1つですが、上半身も使うと2つになる。体重の約70%は、頭部や臓器を抱える上半身が占めます

体重70kgなら約50kgが上半身で、残り20kgが下半身。仮に下半身だけで歩くと、20kgの重みで50kgを背負うことになります。それでは、しんどくなり、長く歩きたくなくなるのは当然です」(池田さん)

池田さんが、上半身の大切さを再発見したのは、競歩の大会をテレビで観たのがきっかけだという。

「なぜ、選手たちはあんなに速く歩けるのだろうと疑問に思い、フォームをよくよく観察したら、みんな肘を後ろに強く引き、上半身をダイナミックに使っていました。それで、歩きを変えるなら、上半身を活用すべきだと腑に落ちたのです」

上半身の動きは歩幅UPにも効果アリ

ウォーキングでは、いかに歩幅を広げるかが大きな課題。そうなるとやはり下半身が気になるが、歩幅を広げるのも、上半身にほかならない。

肘と肩甲骨をセットで大きく引くと、みぞおち(胸椎の12番近辺)前後で背骨がツイストされて、反対側の骨盤股関節から脚が前に押し出されるので、歩幅は広がります。

歩幅=ストライドだけではなく、肘をコンパクトに速く引くと、つられても速く出るようになり、ピッチも上げられるのです」

注意したい下半身のポイントは?

下半身のポイントは、肘を後ろに引いたら、同じ側の膝を伸ばしてロックしたまま、腰の真下あたりで踵から着地すること。着地した足に、腰を乗せるように体重をかけたら、あとは左右交互に繰り返すだけ。

「歩幅を広げようと無理すると、前へ振り出したときは膝が伸びているのに、着地する頃には緩みがち。すると膝が不安定になり、膝の屈伸で上下動が生じて、膝関節への負担が増え膝を痛めやすくなります」

後ろ足を爪先の先の先まで使い、できるだけ長く地面をプッシュし続けることも重要。すると、お尻大臀筋太腿後ろ側のハムストリングスといった背面の強い筋肉が使えて、歩幅はさらにワイドに。

「歩幅というと、前方ばかり気にかかりますが、歩幅は前よりも後方への“後ろ歩幅”を広げるべき。そのためにも、後ろ足の爪先で地面を押し続けることが大事なのです」

上半身ウォークのやり方

上半身ウォークのやり方 1

  • 目線は目の高さの延長線上を見る。
  • 猫背にならず、頭を背骨の真上に置く。

  • 肘から腕を大きく後ろに引く。
  • 肘をカラダよりも前に出さない。
  • 爪先(親指)を進行方向に向ける。
  • 後ろ足の爪先まで使い、地面を後ろにしっかり押す。
  • 歩幅を広げ、両脚で「人」という字を描く。

上半身ウォークのやり方②

  • 手が視界に入らないようにする。
  • 肩甲骨を動かし、背中の筋肉を使う。
  • 下腹(丹田)に軽く力を入れる。
  • 膝をロックしてしっかり伸ばす。
  • 腰幅で両足をまっすぐ前に振り出す。
  • 爪先を上げ、踵から腰の真下に着地する。

上半身ウォークを作る3つのドリル

⓪ 準備|シューズフィッティング

シューズフィッティング

足とシューズが一体化していないと、正しく歩けない。

まずはシューレースをすべて緩めてから、踵を地面にトントントンと打ちつけ、ヒールカップに収める。爪先は上げたまま、足にシューズをフィットするようシューレースを下から上へ締める。

ステップ①|背すじを伸ばし、目線を高く保つ

背すじを伸ばし、目線を高く保つ

爪先立ちになり、両腕をまっすぐ上へ伸ばし、背骨を伸ばす。両腕を耳の後ろまで引き、左右の肩甲骨を寄せる。大きな弧を描くように両腕を体側に下ろしつつ、踵もストンと下げる。その姿勢を保ち、まっすぐ前を向いて歩く。

ステップ②|肘を後ろに引いて、骨盤を動かす

肘を後ろに引いて、骨盤を動かす

手を蒸気機関車の車輪のように大きく回しながら、肘を大きく後ろに引く。肘を戻した際、カラダより前に出ないように。目線に拳が入ったら、腕を前で振っている証拠。その場で肘を後ろに引きながら、骨盤と股関節が動くことを確認しよう。

ステップ③|膝を伸ばして踵から着地し、乗り込む

膝を伸ばして踵から着地し、乗り込む

まず肘を後ろに大きく引いてから、同じ側の脚をまっすぐ前へ振り出す。膝をロックして伸ばしたままで、爪先を上げて踵から着地する。踵から親指へと荷重するのに合わせて、腰の真下で体重を乗せて乗り込む。

取材・文/井上健二 撮影/小川朋央 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/天野誠吾 ウォーキング監修/池田ノリアキ(ウォーキングトレーナー)

初出『Tarzan』No.843・2022年10月6日発売

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