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胸椎を緩める、動かす、鍛える。3ステップで実践「背骨リセット」

自分の背骨のコンディション、それを知るには「①頸椎、②胸椎、③腰椎」という3大エリアごとに細かくチェックするのが近道。今回は心臓と肺を収め、リモートワークで歪むと猫背にもなりやすい「胸椎」のチェック&リセット術。

胸椎のチェック&3ステップを実践!

背骨の効果的にリセットするには、頸椎、胸椎、腰椎という3大エリアごとに細かくチェックするのが近道。3大エリアにはそれぞれ特徴があり、弱みや異変の表れ方が違うからだ。

3大エリアに詳しい3人のトレーナーに協力を仰ぎ、各々の現状を知るチェック法と、歪みをリセットするエクササイズを教えてもらった。

エクササイズは「ゆるめる」→「うごかす」→「きたえる」という3ステップで。「ゆるめる」「うごかす」は週4〜5回、「きたえる」は週2回以上実践しよう!

「胸椎リセット」を教えてくれた人

齊藤邦秀(さいとう・くにひで)/スポーツトレーナー、ウェルネスプロデューサー。アスリートのパフォーマンス向上からコンディショニング、障害予防まで守備範囲が広い。NESTA JAPAN副代表。

まずは胸椎の状態をチェック!

背骨を作る他のパーツと、12個の胸椎が大きく違うのは、左右1対の肋骨が連結されていること。肋骨は、前方中央で平らな胸骨とリンクする。胸椎、肋骨、胸骨からなるカゴ状の骨格が胸郭。心臓と肺を収める。

胸椎の位置

「胸郭を作るため、胸椎は自由に動きにくいという弱みがあります。上部胸椎の屈曲と伸展の可動域は狭く、横に倒れる側屈、胸を回す回旋はスムーズです」(齊藤邦秀トレーナー)

胸椎は緩やかに後方へカーブしているが、ステイホーム続きでリモートワークが増えると、猫背になりがち。胸椎の後彎カーブがきつくなり、周辺の筋肉などの組織にじわじわとストレスをかけ続けるハメになる。

自らの胸椎と胸郭の現状を、みぞおちを基準として確かめておこう。

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伸展のチェック
胸椎の伸展のチェック
  1. 椅子に浅く坐り、骨盤を立て、上体を床と垂直にする。
  2. 両腕は体側で下げる。
  3. みぞおちをできるだけ前に突き出す。腰を反らさないこと。
  • 【OK】みぞおちが顔面よりも前に出る。
  • 【NG】みぞおちが顔面よりも前に出ない。顔面より前に出そうとすると腰が反る。
回旋のチェック
胸椎の回旋のチェック
  1. 椅子に浅く坐り、骨盤を立て、上体を床と垂直に。
  2. 両手を胸でクロスして、両脚を腰幅に開く。
  3. 背骨を軸に、上半身を左右へ捻り、首も捻ってできるだけ後ろを向く。
  • 【OK】みぞおちが左右とも60度(時計の10時10分の位置)方向を向き、首が真横よりも後ろに向ける。
  • 【NG】みぞおちが60度方向を向くまで上体が捻れない。首が真横よりも後ろを向けない。
側屈のチェック
胸椎の側屈のチェック
  1. 椅子に浅く坐り、骨盤を立て、上体を床と垂直に。
  2. 両手をみぞおちの左右で肋骨に添え、両脚を腰幅に開く。
  3. 上体を倒さず、みぞおちを左右に行けるところまでスライドさせる。
  • 【OK】左にも右にも、みぞおちが坐骨(片側のお尻の中央部)よりも横にスライドする。
  • 【NG】みぞおちが坐骨の手前までしかスライドしない。上体が倒れてしまう。
詳しい動きを動画でもチェック!

ステップ①|ゆるめる

丸く固まる胸椎をどうするか。胸椎自体は動きにくいので、まずは上下に連なる腰椎と頸椎から攻めよう。

坐っている時間が長く、骨盤が後傾すると胸椎は丸まりやすいので、お尻をほぐして骨盤をちゃんと立てる。頸椎まわりも柔らかくほぐし、頭の正しい位置をキープしたい。

猫背は胸椎の急なカーブを生み、背中の筋肉が緊張し、肩こりの誘因となる。背中をストレッチで緩め、胸椎カーブを伸ばすようにしよう。

また胸の筋肉が硬いと胸椎は丸まるので、胸のストレッチも忘れずに。

肩甲骨を寄せて背中の筋肉を縮めるのがコツ。相反神経支配というメカニズムにより、背中と逆の働きをする胸の筋肉がより緩みやすくなります」

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お尻のストレッチ(左右各30秒)
お尻のストレッチ
  1. 椅子に浅く坐り、骨盤を立て、上体を床と垂直に。
  2. 両足を腰幅に開いたら、左脚の足首を右膝に乗せ、ふくらはぎと両肩を平行にする。
  3. 左脚の足首に右手、膝に左手を乗せる。
  4. 左手で左膝を外側へ押しながら、胸を張って股関節から上体を前に倒し、左側のお尻をストレッチして30秒保つ。
  5. 左右を変えて同様に行う。
ネック・ショルダー・ローテーション(左右各30秒)
ネック・ショルダー・ローテーション
  1. 両足を腰幅に開いてまっすぐ立ち、左手を右側の側頭部に添える。右腕は体側で下げる。
  2. 左手で頭を左側に倒しながら、手のひらを外側へ向けるように右腕を外向きに捻り、右肩を下げて30秒保つ。
  3. 左右を変えて同様に行う。
背中のストレッチ(30秒)
背中のストレッチ
  1. 両手、両膝を床について四つん這いに。
  2. 両手を遠くへまっすぐ前に伸ばし、手のひらを天井に向け、お祈りをするように頭を下げて顎を床につける。
  3. お尻を軽く後ろに引いて脇の下から背中をストレッチ。
  4. 胴回りを膨らませるように息を吸い、息を吐いてリラックス。
胸のストレッチ(30秒)
胸のストレッチ
  1. 両足を腰幅に開いてまっすぐ立つ。
  2. 両腕を後ろに回して、両手を組む。肩を後ろに引いて左右の肩甲骨を寄せる。
  3. 息を吸いながら両腕を上げて胸を膨らませ、息を吐きながら両腕を下げてリラックス。
  4. これを30秒続ける。

ステップ②|うごかす

肋骨を伴い、胸郭を作るという構造上、そもそも動きにくいのが、胸椎。その動きが一層悪くなると、それだけ頸椎と腰椎の負担が増えて悪影響を与える。この負の連鎖を避けるために注目したいのは、呼吸

胸郭には、呼吸に関わる呼吸筋が集まる。胸郭の底に広がる横隔膜、肋骨の間にある肋間筋などだ。

「胸椎が丸まって胸郭が閉じると、呼吸筋の働きが悪くなり、胸椎はより固まりやすくなる。そこで、鼻から吸って口から吐く、深い呼吸を意識しながらエクササイズを行い、呼吸筋の動きを引き出しましょう」

呼吸エクササイズで呼吸筋を目覚めさせ、胸郭が大きく動かせるようになれば、胸郭が開いて、胸椎の可動性がアップする。

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ディープ・ブレス(10回×1セット)
ディープ・ブレス
  1. バスタオル2枚を筒状に巻き、みぞおちの後ろ側から頭まで乗せて仰向けに。
  2. 両膝を曲げて腰幅に開いて立てる。両手を肋骨の下に添える。
  3. 肋骨の下・横・後ろを膨らませるように、10秒(10カウント)で鼻から息をゆっくり吸い込む。
  4. 肋骨を縮めるように10秒(10カウント)で口から息をゆっくり吐き出す。
ハンドプッシュ・バックエクステンション(10回×1〜2セット)
ハンドプッシュ・バックエクステンション
  1. うつ伏せで顎を床につけ、顎の左右に両手を添える。両脚を腰幅で伸ばす。
  2. 息を吐きながら、両手で床を押し、肩甲骨を寄せて背骨を上から1個ずつ床から離すように上体を起こす。
  3. 息を吸いながら背骨を下から1個ずつ床に戻すように戻る。
  4. お腹を締め、みぞおちから下は床につけ、腰を反らさない。
サイド・フレクション(左右交互に各5回×1〜2セット)
サイド・フレクション
  1. 両足を腰幅に開いて立つ。右手を肋骨の真横に添える。
  2. 左腕を真上に伸ばし、手のひらを内側へ。
  3. 息を吐きながら、右手で肋骨を左へ押し、左手を斜め右上に伸ばし、左側の体側でCの字を描くように伸ばす。
  4. 息を吸いながら戻り、左右交互に続ける。
ソラシック・ローテーション(左右各10回×1〜2セット)
ソラシック・ローテーション
  1. 左向きで床に寝る。左腕を曲げて頭を乗せ、左脚を伸ばし、右脚を90度曲げて前に出す。
  2. 右腕を肩のラインで前に伸ばし、手のひらを床につける。
  3. 目で軌跡を追いつつ、息を吐きながら、右手でできるだけ大きな弧を描いて後ろへ回す。
  4. みぞおちが天井を向くまで上体を捻り、右手の甲を床に近づけ、息を吸いながら戻る。
  5. 左右を変えて同様に行う。

ステップ③|きたえる

テレワークなどでじっと坐っていると、胸椎は丸まり、胸郭は閉じたままで放置される。なにせ、仕事中は多かれ少なかれストレスがあり、緊張しているもの。呼吸は浅くなり、呼吸筋も衰えやすくなる。

これでは、いくら胸椎と胸郭を緩めて動かしても、元の悪い状態に逆戻りしやすい。それを防ぐには、やはりトレーニングが欠かせない。

「立った姿勢や、横に寝た姿勢で行うと重力が負荷となり、重力に逆らう気持ちで鍛えると、トレーニング効果が高まります。胸椎と胸郭を適度に刺激して、偏りなくスムーズに動かせるように強化してください」

また、仕事中も根を詰めすぎず、定期的に休憩を入れて深呼吸を行い、胸椎&胸郭をリラックスさせたい。

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ベントオーバー・バック・エクステンション(10回×1〜2セット)
ベントオーバー・バック・エクステンション
  1. 両足を肩幅に開いて立ち、股関節から上体を倒してお尻を引く。
  2. 腰が反ったり、背中が丸まったりしないように背骨のカーブをニュートラルに保つ。
  3. 両腕を床と平行に伸ばし、手のひらを床に向ける。
  4. 両肘を脇腹に突き刺すように、左右の肩甲骨を寄せる。
  5. 胸を開いて顔と視線を軽く引き上げ、戻る。
リフティング・サイドベンド(左右各10回×1〜2セット)
リフティング・サイドベンド
  1. 右向きで寝る。右肘を右肩の真下について上体を起こし、右前腕を床につける。
  2. 左腕を体側で伸ばし、右脚を前、左脚を後ろに開く。
  3. 息を吐きながら右側の脇腹を高く引き上げ、左腕を床と平行に遠くへ伸ばし、元に戻る。
ベントオーバー・ソラシック・ローテーション(左右交互に各5回×1〜2セット)
ベントオーバー・ソラシック・ローテーション
  1. 両足を肩幅に開いて立ち、股関節から上体を倒してお尻を後ろに引き、両手を膝に添える。
  2. 腰が反ったり、背中が丸まったりしないように背骨のカーブをニュートラルに保つ。
  3. 息を吐きながら、みぞおちを左側に向けるように上体を捻り、右手を左膝に添える。
  4. 視線を向けて左手を天井に伸ばし、息を吸いながら元に戻る。左右交互に行う。
  5. 捻るのは胸だけ。お腹に力を入れて腰はできるだけ捻らない。
バック・プランク(10回×1〜2セット)
バック・プランク
  1. 床に坐り、両脚を腰幅に開いて伸ばし、両手を後ろについて上体を後ろに傾ける。
  2. 息を吐きながらお尻をギュッと締めて引き上げ、目線を天井に向けて頭から足首までを一直線にキープする。
  3. 背中全体を使って肩甲骨を寄せて胸を開く。
  4. 息を吸いながら元に戻る。
詳しい動きを動画でもチェック!

取材・文/井上健二 撮影/小川朋央 スタイリスト/齋藤良介(胸椎) ヘア&メイク/音成健 イラストレーション/野村憲司(トキア企画)

初出『Tarzan』No.818・2021年9月9日発売

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