運動不足だと、筋肉は年1%の割合で減っていく。コロナ禍で仕事でもプライベートでも外出の機会が少なくなると、筋肉はより落ちやすい。基礎代謝量の20%以上を占めるのは筋肉だから、筋肉の減少は代謝ダウン→肥満に直結する。
そこで取り組みたいのは、ステイホーム中でも自宅で行える自体重トレ。筋肉を刺激して筋肉の減少を速攻でストップ。筋肉がV字回復で肥大すれば、代謝アップが約束される。
ターゲットは大筋群と埋蔵筋。
大筋群とは、カラダの外側にあるアウターマッスルのうちでも、下半身、胸、背中などにある大きな筋肉。大きい分、鍛えれば代謝が爆上げしやすい。ことに、巣ごもりしすぎて出歩かなくなると衰えやすい下半身の筋肉は、優先的に鍛えたい。
今回鍛える大筋群
- 大臀筋
- 大腿四頭筋
- 大胸筋
- 三角筋
- 広背筋
- 僧帽筋
埋蔵筋とは、カラダの深部にあるインナーマッスルのこと。坐りっ放しの時間が長く、運動から遠ざかっているとほぼほぼ使われないため、活動休止状態。この埋蔵筋が目覚めると代謝は上がりやすくなる。
今回鍛える埋蔵筋
- 腹横筋
- 腸腰筋
- 深層外旋六筋
今回は大筋群と埋蔵筋を効率的に攻める5種類の筋トレを厳選。初心者でも簡単にできるレベル1から始め、徐々にレベルアップ。最終的にはレベル3を週3〜4回行おう。
トレーニングの基本ルール
- 5種目をそれぞれレベル1から始める。
- 3セット目が余裕でできるようになったらレベルを上げる。
- 5種目セットで1〜2日おきに週3〜4回行う。
目次
1種目|スクワット(大臀筋、大腿四頭筋)
下半身には、筋肉の3分の2が集まる。その下半身を一挙に鍛えるのが、お馴染みのスクワット。ことに、数ある大筋群でも最大級の大きさを誇るお尻の大臀筋、太腿前側の大腿四頭筋に強い刺激を入れる。
効かせるためのコツは、膝ではなく、股関節の動きを意識すること。股関節を伸ばすときに働くのが大臀筋であり、曲げるときに働くのが大腿四頭筋なのだ。しゃがんだとき、膝が爪先よりも前に出ないように、股関節をできるだけ深く曲げよう。
レベル1|ハーフ・スクワット(15〜20×3セット)
- 両足を肩幅に開いてまっすぐ立ち、爪先を少し外側に向ける。
- 反対の肩に手を置いて腕を胸でクロス。
- 肩甲骨を寄せて胸を張る。
- 股関節を曲げて後ろの椅子に坐るように膝が90度曲がるまでしゃがむ。
- 踵で床を押して戻る。
レベル2|パラレル・スクワット(10〜15回×3セット)
- 両足を肩幅に開いてまっすぐ立ち、爪先を少し外側に向ける。
- 両腕を体側で下げ、肩甲骨を寄せて胸を張る。
- 深くしゃがめるように両腕を床と平行に伸ばす。
- 手のひらを向かい合わせる。
- 股関節を曲げて後ろの椅子に坐るように太腿が床と平行になるまでしゃがむ。
- 踵で床を押して戻る。
レベル3|シングルレッグ・スクワット(左右各5〜10回×3セット)
- 左脚を前に上げて片脚立ちになる。
- 両腕を床と平行に伸ばす。
- 手のひらを向かい合わせる。
- 肩甲骨を寄せて胸を張る。
- 左足の踵が床に触れるくらいまで股関節を曲げてしゃがむ。
- 踵で床を押して戻る。
- 左右を変えて同様に行う。
2種目|プッシュアップ(大胸筋、三角筋)
上半身の正面を飾る大筋群の代表格といえるのが、胸の大胸筋と肩の三角筋。この両者をまとめて鍛えるのが、プッシュアップ。上腕後ろ側の上腕三頭筋も鍛えられる。
プッシュアップは、ベンチで仰向けになってバーベルを上げるベンチプレスを、うつ伏せになって行うエクササイズ。バーベルを押し上げるイメージで、両手で床を強く押そう。腰が落ちると効果が半減するので、腰をつねに高く保ち、両手に体重をきちんと乗せるようにしたい。
レベル1|オンザニー・プッシュアップ(15〜20回×3セット)
- 両膝を床についてうつ伏せになる。
- 指を広げて両手を肩幅より少し広めにつく。
- 両足をクロスさせる。
- 胸を張って顎を引き、頭から膝まで一直線に保つ。
- 胸が床につくまで肘を曲げて上体を下ろす。
- 両手で床を押して戻る。
レベル2|ノーマル・プッシュアップ(10〜15回×3セット)
- 指を広げて両手を肩幅より少し広めに床についてうつ伏せになる。
- 両脚を揃えて伸ばし、爪先を立てる。
- 胸を張って顎を引き、頭から踵まで一直線に保つ。
- 胸が床につくまで肘を曲げて上体を下ろす。
- 両手で床を押して戻る。
レベル3|デクライン・プッシュアップ(5〜10回×3セット)
- 椅子の座面に足の爪先を乗せる。
- 指を広げて両手を肩幅より少し広めに床についてうつ伏せに。
- 胸を張って顎を引き、頭から踵まで一直線に保つ。
- 腰を反らさず胸が床につくまで肘を曲げて上体を下ろす。
- 両手で床を押して戻る。
3種目|ランジ(大臀筋、大腿四頭筋)
狙いは、スクワットと同じく大臀筋と大腿四頭筋。両足を前後に開いて行うので、両足を揃えて行う通常のスクワットよりも、バランスを取るのが難しく、難度は高い。
「ランジ」とは本来、フェンシングなどで前に突っ込むという意味。レベル3のフロントランジのように、片足を前に踏み込んで体重を乗せるのが基本だ。でも、初めはフォームが定まりにくいので、レベル2までは両足を前後に開いて固定するステーショナリースタイルでやろう。
レベル1|ニープッシュ・ステーショナリーランジ(左右各10〜15回×3セット)
- 両足を拳1個分開いて立ち、左足を大股1歩分前に踏み出す。
- 両膝を曲げ、両手を左膝に重ねて置く。
- 右足は爪先を立てる。
- 肩甲骨を寄せて胸を張り、上体を軽く前傾。
- 右膝が床につくすれすれまでしゃがむ。
- 両手で左膝を押してサポートしながら、左足で床を押して立ち上がり、元に戻る。
- 左右を変えて同様に行う。
レベル2|ノーマル・ステーショナリーランジ(左右各10〜15回×3セット)
- 両足を拳1個分開いて立ち、左足を大股1歩分前に踏み出す。
- 両膝を曲げ、両手を腰に添える。
- 右足は爪先を立てる。
- 肩甲骨を寄せて胸を張り、上体を軽く前傾。
- 左足に6割、右足に4割の割合で荷重する。
- 右膝が床につくすれすれまでしゃがみ、左足で床を押して立ち上がり、元に戻る。
- 左右を変えて同様に行う。
レベル3|フロントランジ(左右各5〜10回×3セット)
- 両足を拳1個分開いて立ち、両手は腰。
- 肩甲骨を寄せて胸を張る。
- 左足を大股1歩分前に踏み出し、両膝を90度曲げ、右膝が床につくすれすれまでしゃがむ。
- 左足で床を蹴って元に戻る。
- 上体を床と垂直に保ち、左膝を爪先より前に出さない。
- 左右を変えて同様に行う。
4種目|インバーテッド・ロウ(広背筋、僧帽筋)
背中には広背筋と僧帽筋という2つの大筋群が広がっているが、デスクワークなどで猫背の姿勢がクセになると、ガチガチに固まって急速に衰えてしまう。
背中は、公園で鉄棒などにぶら下がって懸垂すると鍛えやすいが、自宅でも机を活用すればトレーニング可能である。とくにレベル3のインバーテッド・ロウ(斜め懸垂)なら、懸垂に匹敵する成果が期待できる。いずれも胸をしっかりと張り、全身を一枚板のように保って行いたい。
レベル1|ベントニー・インバーテッド・ロウ(15〜20回×3セット)
- テーブルの下に潜り込み、仰向けになる。
- 乳首のライン上で両腕を床と垂直に伸ばし、テーブルの端を肩幅よりも広めに握る。
- 両膝を曲げて立てる。
- 胸がテーブルに触れるまで肘を曲げて上体を引き上げ、元に戻る。
レベル2|ストレートレッグ・インバーテッド・ロウ(10〜15回×3セット)
- 膝を曲げて立てて行ったインバーテッド・ロウを、両脚を揃えてまっすぐ伸ばした姿勢で行う。
- テーブルの端を肩幅よりも広めに握る。
- 胸がテーブルに触れるまで肘を曲げて上体を引き上げ、元に戻る。
- 腰を落とさないこと。
レベル3|フットエレベイテッド・インバーテッド・ロウ(5〜10回×3セット)
- テーブルの向こう側に椅子を置く。
- 座面に両足の踵を乗せた姿勢でインバーテッド・ロウを行う。
- テーブルの端を肩幅よりも広めに握り、両脚が伸ばせる位置に椅子を置く。
- 胸がテーブルに触れるまで肘を曲げて全身を引き上げ、元に戻る。
- 腰が落ちないように注意。
5種目|インナーマッスルトレ(腹横筋、腸腰筋、深層外旋六筋)
埋蔵筋であるインナーマッスルは、骨格に近いところにあり、姿勢を保ったり、呼吸やツイストといった細かい動きを担ったりしている。もともと非力なので、ダンベルなど重たいウェイトをかけなくても、自体重で十分効果的だ。
レベル1では、お腹のいちばん奥にある腹横筋を活性化。レベル2は、埋蔵筋ではもっともボリュームがある腸腰筋に効く。レベル3では、股関節を外向きに捻る梨状筋などの深層外旋六筋をトレーニングする。
レベル1|スーパイン・ピラー(左右各15〜20回×3セット)
- 仰向けで両膝を股関節の真上に上げて90度曲げ、腰幅に開き、足首を曲げる。
- 両腕は床と垂直にまっすぐ上げ、手のひらを向かい合わせる。
- 対角の腕と脚を床すれすれに伸ばし、戻って反復。
- お腹に力を入れ、腰を反らさず、動かさない手足を固定。
- 左右を変えて同様に。
レベル2|シーテッド・ニーアップ(左右各15〜20回×3セット)
- 床に坐り、両手を後ろについて上体を後ろに倒す。
- 両脚を腰幅で開いて膝を曲げて立て、爪先を引き上げる。
- 胸を反らして顎を引き、肛門を床に向けるように骨盤を前傾。
- 左脚を伸ばす。
- 左脚をふくらはぎが床と平行になるまで引き上げ、戻す。
- 左右を変えて同様に。
レベル3|ヒップ・エクスターナル・ローテーション(左右各15〜20回×3セット)
- 両手、両膝を床について四つん這いになる。
- 手は肩、膝は股関節の真下で床につき、爪先を立てる。
- 顎を引いて頭を背骨の延長線上に保つ。
- 骨盤を固定したまま、左膝を真横に引き上げて、元に戻す。
- 左右を変えて同様に。