乱れた自律神経を背骨から整える。朝一番に「骨格コンディショニング」
自律神経の大半は背骨に沿って走っている。ならば背骨を本来の状態にリセットすれば、自律神経の乱れを改善できるはず。そこで、脳神経内科医の久手堅司さんが提唱するのが「骨格コンディショニング」。今回は「朝」の骨格コンディショニングを紹介。たった1種目。朝一番に背骨全体をリセットしよう!
取材・文/石飛カノ 撮影/石原敦志 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/天野誠吾 イラストレーション/野村憲司、武久真奈(共にトキア企画)
初出『Tarzan』No.858・2023年6月8日発売
久手堅司さん
教えてくれた人
くでけん・つかさ/脳神経内科医。せたがや内科・神経内科クリニック院長。医学博士。「自律神経失調症外来」「気象病・天気病外来」など複数の特殊外来を立ち上げ、不調に悩む患者に向き合う診療に定評がある。
キーワードは「重力と骨格」
自律神経の大半は背骨に沿って走っている。その通り道が曲がっていたり歪んでいたら血流は阻害され神経が圧迫される。ならば背骨を本来の状態にリセットすれば、自律神経の乱れを改善できるはず。これが、久手堅司さんが提唱する「骨格コンディショニング」の基本的な考え方。
「二足歩行のヒトは重力の影響を受けるので重い頭を支えて正しい骨格を保つことがそもそも難しい。そのうえ、現代人の生活はスマホやPCを長時間使い続ける下向き姿勢です。頭が体幹から離れた姿勢は腕を伸ばして米袋を持っているようなもので、背骨に負荷がかかります。
また、その緊張状態が続くと交感神経ばかりが優位になり、当然不調が起こります。実際、自律神経の乱れで起こる動悸や胃の不調などは姿勢改善で症状が軽減するケースも多いのです」
重力で骨格が乱れるのは二足歩行のヒトの宿命。ゆえに日々リセットをかけていくのがヒトの使命だ。
まずは姿勢のチェック
まず自分の骨格が正しい状態にあるか否かをチェックすることから始めよう。
最初は壁に背中をつけて、骨盤の位置がニュートラルか、あるいは頸椎(首の骨)や胸椎(胸の骨)が適正なカーブを描いているかをチェック。
次に鏡の前に立って頭から爪先までが左右どちらかに傾いていないかをチェック。最後は椅子に座った姿勢を真横から誰かにスマホで撮影してもらい、上体の姿勢や骨盤の傾きをチェック。
それぞれ普段の姿勢で確認し、ひとつでも歪みがあるなら朝・昼・晩のメソッドでこまめにリセットを。
チェック① 壁を使って
壁を背にし、踵を壁につけて立つ。後頭部、肩、お尻、踵が壁につき、壁と腰の間に指1本分隙間ができればOK。それ以上隙間があると反り腰、それ以下なら骨盤後傾&猫背姿勢の可能性あり。
チェック② 鏡を使って
今度は全身が映る鏡の前に立つ。目をつぶって3回ゆっくり深呼吸して脱力。頭、肩、骨盤、足が左右どちらかに傾いていないか、左右の膝が正面を向いているかを確認。思った以上に左右差が?
チェック③ 椅子を使って
椅子に浅めに座って真横からの姿勢を確認。耳と肩が一直線上に位置していたらOK。さらに骨盤の前後の傾きがなく、まっすぐ立った状態ならよし。膝と足首が90度なら完璧だ。
朝の骨格コンディショニング
「骨格コンディショニング」は朝・昼・晩それぞれのカラダの状態に合わせて行いたい。今回は朝におすすめの「骨格コンディショニング」。
朝にやることはただひとつ、背骨全体の歪み矯正に効果的な「背骨伸ばし」。
背骨は首、胸、腰、合わせて24個の骨が連なることで構成されている。これらが前と後ろに向かって適切に彎曲することで、重い頭を支えてまっすぐに立つことができるのだ。
この正しいポジショニングを一日保つために、背骨を意識して動かす練習がこれ。ただの前屈ではなく、背骨一つ一つをゆっくりと、が重要。忙しい朝でもこの1種目だけなら取り入れられるはず。歯磨きのついでの習慣として毎朝行ってみよう。
背骨伸ばし(1〜2分かけて1往復)
まっすぐ立った姿勢から首の1番目の骨、2番目の骨と24個の骨を順番に曲げるイメージで上体を前に倒していく。30秒ほどかけて最後の腰の骨を曲げたら、今度は腰、胸、首の骨の順番で元の状態に戻す。3回繰り返す。