副交感神経を優位に!目的別に使い分ける深呼吸 “超呼吸法”
従来の呼吸法の多くはエビデンスに乏しかったが、最近、自律神経の変化が見える化できるようになり、エビデンスのある呼吸法が登場した。その代表格が“超呼吸法”。今回は、目的や状況に応じて副交感神経を優位にするものを4つ紹介!
撮影/小川朋央 スタイリスト/川合康太 ヘア&メイク/村田真弓 監修/根来秀行(ハーバード大学医学部客員教授、医師・医学博士)
初出『Tarzan』No.858・2023年6月8日発売
教えてくれた人
根来秀行(ねごろ・ひでゆき)/医学博士。東京大学医学部卒業。事業構想大学院大学理事・教授、ハーバード大学医学部客員教授、ソルボンヌ大学医学部客員教授を務める。自律神経と呼吸の他、最先端の研究や臨床に明るく、医療・医学の幅広い分野で国際的に活躍中。
状況と目的で深呼吸を使い分ける
従来の呼吸法の多くは、効果が実感できても、自律神経にどう効くかのエビデンスに乏しかった。最近、自律神経の変化が見える化できるようになり、エビデンスのある呼吸法が登場した。
その代表が、呼吸法を長年研究してきた根来先生の「超呼吸法」。今回は、目的や状況に応じて副交感神経を優位にするものを4つ紹介しよう。
大きな特徴は、息を吸って吐く間に呼吸をしばらく止めること。
「呼吸を深く吐くのが副交感神経を優位にするコツですが、吐く息には吸う息の約125倍の二酸化炭素が含まれ、そのままだと血中の二酸化炭素が不足。すると体内で酸素を運ぶヘモグロビンから酸素がうまく切り離されなくなり、酸欠で疲労や集中力の低下などを起こします。二酸化炭素を吐きすぎないように、途中で息を止める時間を作るのです」(根来さん)
また、呼吸は元来口ではなく鼻でするもの。吸うときも吐くときも鼻で行うのが、根来流である。
4・4・8呼吸|まずは基本。いつでもどこでも
【準備】ラクな姿勢で坐り、腹部の動きを意識するため、両手をヘソの上に軽く添える。鼻から息を吸い、鼻から吐く腹式呼吸を2〜3回行い、息を吐き切る。
① 4秒かけて鼻から息を吸う。② 4秒息を止める。③ 8秒かけて、お腹を絞るようなイメージで鼻から息を吐き切る。①〜③を4セット。
5・5・5呼吸|集中力を上げたいときこそ
【準備】ラクな姿勢で坐り、まずは鼻から息を吐き切る。
① 5秒息を止める。② お腹を膨らませながら、鼻から5秒で息を吸う。③ 5秒息を止める。④ お腹を凹ませながら、鼻から5秒で息を吐く。①〜④を5セット。
10・20呼吸|就寝前、安眠へ誘うために
【準備】姿勢を正して坐り、下腹部をゆっくり絞るように鼻から息を吐き切る。
① 下腹部と肛門の力を抜き、下腹部をゆっくり膨らませるように10秒かけて鼻から息を吸う。② 首から胸にかけてゆっくり力を抜きながら、鼻から自然に息を吐く。下腹部をゆっくり絞りながら、20秒かけてさらに鼻から息を吐く。同時に肛門をゆっくり閉じ、息を吐き切る。③ ①〜②を自分のペースで20〜30回(1分で2回が目安。20回やるには、約10分かかる)。
完全呼吸|休日にゆったりした気分で
【準備】ラクな姿勢で坐る。目を閉じ、背すじを伸ばす。鼻からゆっくりと息を吐き、お腹を凹ませる。
① 鼻から息を吸い、お腹を膨らませる。② 肩を後ろに引いて胸を開き、両肩を持ち上げ、肺の上部も空気で満たす。③ 鼻から息を吸い切った後、息を2〜3秒止める(苦しい場合、息を止めず、ゆっくり吐く)。④ お腹を凹ませながら、鼻から息をゆっくり吐き、胸を元に戻し、両肩を下げて息を吐き切る。⑤ ①〜④を5回程度繰り返す。