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こんなパンを待っていた! 豆でつくられたグルテンフリーの《ZENB ブレッド》
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カラダを絞るためにコンスタントに走っているのに、体重が落ちない…というなら、日々の食に原因がある可能性大。ジョギング痩せを加速させる効率的な食べ方を、「減らす」「増やす」のシンプルな2ステップで身につけよう。
佐原和真さん(さはら・かずま)/東京農業大学栄養科学科卒業後、ランニング専門の管理栄養士に。市民ランナーのためのスポーツ栄養学を、オンラインで発信中。
「ジョギングでカラダを絞るなら食事も早めに見直すのが得策」とは、自身もランナーである管理栄養士の佐原和真さん。
「走行距離を増やして痩せるのは簡単ではないし、単に食事量を減らすのも筋肉が衰えて逆効果。正しく食べて走る合わせ技が、最も効率的なんです」
正しく、といってもカロリー計算やシビアな食事制限はいらない。普段の食事から不要な脂肪や糖質を洗い出してざっくりと減らし、ジョガーに役立つ良質な脂質や糖質、タンパク質などを必要なだけ摂る。
2ステップでシンプルに考えればOKという。今回は週に1〜2回、1時間程度走ることを前提にしての食べ方を指南してもらった。
「急激に痩せるほど筋肉が失われやすいので、体重をゆっくり落とすことが大事。体脂肪が多めだと感じている人も、1か月1〜2kg減を目安に。それだけでもカラダが軽くなると走りやすくなり、モチベーションが上がって好循環が生まれます」
例えば体重70kgの男性が1か月で1kg体脂肪を落としたいなら、8000kcalを消費する必要が。
「1日分にすると約270kcal。これを走りだけで消化しようとすると、1日平均4km多く走らなければなりません。社会人にとっては非現実的。ですが、日々の食事を見直して270kcalを調整するのは、そんなに難しいことではありません」
例えば同じ揚げ物でもフライドポテトではなくフライドチキンを選べば、100kcalほど減らせる。
「食べ物から不要なカロリーを減らすだけで、ジョギング痩せ効果はぐっと高まります」
走っているから少しくらい食べすぎても大丈夫。多くの人がはまりがちなのが、この罠だ。
「運動をすれば食事がおいしくなり、動いているという安心感から人は食べすぎてしまうもの。実際にアメリカの研究では、運動している人ほど食事の量が増えやすいという報告もあります。
だからこそ、自制心を働かせて食事をコントロールすることが大事。正しい食べ方を知り、“カロリーは走って帳消し”思考から脱出することが、痩せるジョギングの第一歩です」
摂取カロリーを減らすには、食事でのコントロールがファーストチョイス。それなら、定期的なジョギングよりも食事制限を中心にしたほうが、手っ取り早く痩せられるのでは?
「筋肉は、タンパク質などの材料と十分な運動、どちらが欠けても生成されません。食事を摂らず運動も足りていないと、カラダの中では筋肉の減少が進んでしまう。見た目は痩せますが、運動機能が落ちてしまうため、カラダに危機的状況といえます。
急激に落ちた筋肉は、なかなか元には戻りません。長くジョギングを楽しむためにも、食事をしっかりと摂りながら走ることがマストです」
狙い撃ちで減らしたいのは、ジョガー体質作りに役立たず、かつカロリーが高い糖質と脂質。
「糖質は吸収が早く脂肪になりやすいブドウ糖やショ糖などを避けたいところ。お菓子や清涼飲料水に多く含まれます」
脂質で減らすべきは、余分なエネルギー源である飽和脂肪酸。ポテトチップスや肉類の脂身、バターなどに多い。
「ただ、こうした脂質や糖質は食べる楽しみにも関わるもの。無理になくすとストレスになるし、肉類はタンパク質源でもあります。食べる量を減らす、含有量が低い類似の食品に置き換える、肉は脂身を残す、など、少しずつ減らす工夫を」
以下の置き換え例も参考に。ちなみにアルコールは?
「飲まないに越したことはありませんが、それを楽しみに走る人も多い。おつまみの脂質や糖質に気をつけながら、適量を楽しむ分には問題ないでしょう」
「ジョギング痩せを加速させるために何よりも増やしてほしいのが、タンパク質。1日に体重(kg)×2gは摂りましょう。
エネルギーを持続させる糖質を主食で補うことも必須。タンパク質と糖質は、必要量を1日3〜4回に分散させて食べると筋肉をより維持しやすくなります」
そのほか摂りたいのは、「カラダの炎症を抑える働きのあるオメガ3系の脂質を多く含む、青魚。腸内環境を整えてくれる食物繊維とオリゴ糖や、抗酸化作用の高いベリー類もおすすめです。
いずれも日頃からまんべんなく食べておくことが、走っても疲れにくく、痩せやすい体質作りにつながります」
ジョガーのタンパク質摂取目標量は、体重1kgに対して2g。体重70kgなら140gだ。それを3食に分散すると、1食で45gほどが必要になる。
「魚の切り身100g中に含まれるタンパク質は約20g。和定食だと納豆や卵、野菜などの副菜、主食のご飯の分を合わせ、何とか摂れる量です。どうしても不足しがちなので、上手に活用したいのが間食。ヨーグルトなどの乳製品やカニカマなどの練り物、フィッシュスナックなどでタンパク質を補いましょう」
「ショ糖やブドウ糖などに比べると、パンやご飯に含まれる糖質は吸収が緩やか。ジョギング中の大事なエネルギー源として働きます。これらの糖質が足りないと筋肉がエネルギー源として分解され、結果、代謝が落ちて痩せにくい体質に。こちらも1日体重×3gを、分散させて摂るようにしてください」
おおむね1食分、50gの糖質が含まれる主食の量は上の通り。ちなみにこの量を超えると逆に脂肪になりやすいので注意したい。
体内の炎症を抑えるなど、免疫コントロールに間接的に関わっているのがオメガ3系の油。サバやサンマ、ブリ、イワシなどの青魚に多く含まれる。
「習慣的に摂るとダメージからリカバリーしやすくなり、疲労軽減に役立ちます。主菜になるべく魚を選ぶほか、缶詰を利用するのも一案です」
エゴマ油や亜麻仁油も同じくオメガ3系の油。冷蔵庫に常備しておけば、コンビニのサラダにさっとひと振り、など、何かと使えそうだ。
ダイエットを志す者にとって、腸内環境を整えることはもはや常識。
「良い腸内環境では、腸内細菌が短鎖脂肪酸という成分を多く生成し、インスリン分泌を抑えてカラダに脂肪が溜まりにくくなるというのがその理由です」
この腸内細菌のエサとなるのが食物繊維とオリゴ糖で、食物繊維は“イヌリン”がとくに優秀。菊芋やチコリなどの食材に含まれるが、パウダーも市販されている。オリゴ糖は玉ネギなどに多い。こちらも便利な市販品がある。
「オメガ3系の油と同じく、炎症を和らげて疲労回復を助けてくれるのが、果物に多く含まれている抗酸化物質。とくにブルーベリーやラズベリー、イチゴなどのベリー類にはすぐれた抗酸化力があります」
ビタミンCや食物繊維も豊富で、日焼け対策や整腸作用も期待できる。
「鮮度が良いものがベストですが、冷凍品でも十分。コンビニなどで手に入るので、ヨーグルトとともに、朝食や間食として食べるのもおすすめです」
取材・文/新田草子 撮影/黒川ひろみ イラストレーション/森優
初出『Tarzan』No.851・2023年2月22日発売