筋トレ直後のプロテインは避ける!? 加治ひとみ×有馬康泰の実践的・腸活対談
“腸活おばけ”の愛称で知られるモデルの加治ひとみさんと、自身のセミナーは毎回腸活論で締めるという有馬康泰トレーナー。達人のお二人が、その奥義を語り合う。
取材・文/門上奈央 撮影/小川朋央 スタイリスト/朝倉豊(加治さん) ヘア&メイク/川村友子(加治さん) 編集/阿部優子
加治ひとみさん
教えてくれた人
かじ・ひとみ/1987年生まれ。28歳で芸能界デビュー。モデル業も始めた30歳以降、腸活とピラティスにより育まれた美ボディで注目を集める。自身初のフォトブック『かぢボディ。腸活こそ、最高の美容液』も好評。
有馬康泰さん
教えてくれた人
ありま・みちひろ/1974年生まれ。パーソナルトレーナー。〈Ree bok〉提携のトレーニングスタジオ〈Body Work Space EVOLVE.〉代表。NSCA-CPTやNSCA-CACA、米国NTI認定栄養コンサルタントなどの資格多数。
有馬康泰(以下、有馬) コロナ禍になり健康意識が高まって、生活習慣を見直す方が格段に増えました。そのアプローチの一つが腸活ですが、加治さんは10年近く前から腸活を続けているそうですね。それゆえ“腸活おばけ”の愛称が…?
加治ひとみ(以下、加治) たまにそう呼ばれます(笑)。当初はデトックスしたいという一心で食生活の改善に努めてました。もともと便秘やむくみ、アレルギー体質でくよくよ悩んでましたが、23歳の頃にピラティスを始めたのを機に“巡り”を整えるような食事に切り替えてから、カラダもメンタルも調子がよくて。そのまま続けていると、数年前、専門家の方に「加治さんがやってることは腸活です」と言われました。
有馬 僕も加治さんと同じで、「腸活!」と特別意識してないものの、健康のために続けている習慣が腸活になっていた、というパターンです。
消化能力を知れば腸が喜ぶ食生活も分かる
有馬 また5年前に食品添加物の人体への影響を学び、食物も調味料も全てを無添加にしてからは常に快便です。消化吸収を行う腸への負担が軽くなり、スムーズに働くようになったからだと思います。
加治 私は以前読んだ専門書で、日本人の腸トラブルの一因に食の欧米化があると知ってから、麦とろをかけた玄米や納豆キムチ、海藻やきのこで作った副菜を積極的に食べてます。
家でカレーを食べる時は市販のルウでなく、スパイスを使って一から作ります。腸にいい食事かどうかの基準として、自分のカラダがちゃんと消化吸収できるか否かは大きいと私は思います。食後に胃がムカムカしたり、なかなかお腹が空かないと感じたら、次に食べる時は量を軽めにしてみます。
加治さんの腸活レシピ
有馬 カラダの反応から自分の消化能力を知るのは本当に大事! 消化酵素の分泌量は個人差があり、例えば炭水化物を多めに摂っても太りにくい人は炭水化物の消化酵素「アミラーゼ」が多い証し。その逆も然りです。よって必要に応じて消化酵素のサプリを摂るのは腸の消化吸収をサポートするうえで一案です。
有馬さんの腸活アイテム
腸活するなら筋トレ直後のプロテインは避ける!?
加治 あと、食事において自分にとっての適量を見極める力も大切かも。
有馬 分かります。例えばトレーニーがプロテインを飲むのも当たり前と捉えられがちですが、僕自身は、食事で一日の必要量を摂れる場合は必要ないと思ってます。
タンパク質は適量以上を摂ると腸内で腐敗しやすく、「プロテインを飲み始めてからガスが臭くなった」という人はタンパク質の摂取量を見直すべきです。また腸のことを思えば、プロテインを飲むタイミングについても工夫できるとなおよし!
加治 「筋肉には筋トレ直後がゴールデンタイム!」とよく聞きますね。
有馬 はい。でも筋トレ直後に飲むことは、自律神経を鑑みると僕はおすすめできません。そもそも自律神経には拮抗して働く交感神経と副交感神経があり、腸をはじめ内臓が活発に働くのは後者が優位な状態です。
でも激しい運動をした直後は交感神経が優位で、消化不良を起こす可能性も。ストレッチなどをして呼吸や心拍数を整えてから摂取する方が腸にかかる負担が少ないです。
加治 腸の働きと自律神経は改めて不可分ですね〜! 副交感神経優位=リラックスした状態と思えば、2020年以降のおうちごはん中心の食生活は腸活にとっては理想的かも。
有馬 食材の香りを感じながら調理をし、きれいに盛り付けてゆっくり味わう。会食などで目配りしながら食事する時よりも満足感があり、副交感神経が優位になりやすいです。
副交感神経をONにするルーティンで腸が活発に
加治 食事に限らず、リラックスモードに切り替えるスイッチを自分なりに用意するとよさそうです。私、実は家に時計を一つも置いてないんですよね。仕事の日はさすがにスマホで時間を確認しますが、休日だけは別! 太陽の位置やお腹の空き具合から時間のめどをつけてます。
有馬 いいですね! 加治さんのように自律神経が整ってないと味わえない贅沢かも(笑)。普段仕事や家事で時間に追われてストレスを感じていると、自律神経や腸内環境の乱れにも繫がりかねません。僕も、自律神経のバランスが乱れないように気をつけています。
例えばパソコン作業中は電磁波を受けるため交感神経が優位になりやすいので、いつも携帯水素発生ボトルを付けています。毎日1時間の水素吸入により自律神経が整い、副交感神経が優位になるという研究結果もあります。
加治 へえ!! 疲労回復には水素カプセルという人が多いのも納得です。
カラダからのお“便”りに意識を向ける
有馬 それにしても、33歳にしてここまで腸活がライフスタイルに定着している加治さんは無敵ですね!
加治 とはいえ、当然ながら私も暴飲暴食した翌日はお通じの調子に影響が出ます。なので朝に白湯を飲み、フルーツや野菜で作るスムージーを摂るというルーティンに戻すなかで、徐々に腸を整えていきます。
有馬 どんな食生活をしたら腸の調子が変わるか、またどうすれば不調がリセットされるかを知っておくのは重要ですよね。僕の場合は外食や中食をすると、その後の排便に影響するんです。つまり、自分が定義する“最強うんち”ではなくなる。
加治 どのような条件を満たしていると“最強”なんですか?
有馬 ポイントは5つあります。スポンと出ること、便器内でぷかぷかと浮くこと、色味が黒みがかっていないこと、無臭であること、ペーパーで拭いてもほとんど付かないこと。これらを満たせば最強です。
加治 なるほど。私も毎朝必ずチェックしていますが、体調と直結しているのをいつも実感します。漢字に書く通り、カラダから届く“大切なお便り”だなあとつくづく思っています。
有馬 うんちはカラダが発信する唯一のメッセージですもんね。快便だったら「ロケットスタートを決めたぞ」と清々しい気分で一日を始められます! ともあれ、ちょっとでもうんちに“異変”が見られたらすぐに手を打つべき。僕は1日4食が基本ですが、3日間計12食、クリーンな内容を心がけると復活します。
加治 腸活を始めてすぐは異変すら気づかないかもしれませんが、だんだん分かるようになる。とにかく腸活は即効性を求めちゃいけません! 一生をかけて取り組むものだと私は考えてます。
それに腸内環境は急に変わるものではなく、時間をかけてアプローチするからこそ、少しのことでは揺らがない腸と頼りになる知恵が手に入ると思います。
有馬 さすが、僕も同感です。一朝一夕には変化しませんが、腸活で得られるものは心身ともに非常に大きい。筋トレと同じで、腸の変化を初めて実感するまでが頑張り時です!