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腹筋はもともと割れている。
人生で一度も腹筋を割ったことがないという人でも、生まれながらのワンパックってわけじゃない。腹の深層には岩本照や棚橋弘至と同じようなシックスパックが備わっている。ただ脂肪という分厚いコートに覆われているため、本来の輪郭が分からないだけ。
そんなはずはない? いや、相撲の力士の腹はもれなくワンパックだが、相当に強靱な腹筋が格納されている。スケールは違えど形状だけでいえば、一般人も同じこと。
というわけで、ワンパックの人が腹を割るためには、まず体脂肪という分厚いコートを脱ぐ必要がある。その最も手っ取り早い方法が食事コントロール。これなくしていくらフッキンに励んでも、シックスパックは夢のまた夢。
さて、あなたは1日にどれくらいの量の食事を口にしているか把握しているだろうか? 朝はパンとコーヒー、昼は近所の牛丼屋でつゆだく大盛り、夕方にポテチやクッキーをときどき口にして、夜は唐揚げ専門店のボリューミーな宅配フードをつまみにビールをぐびぐび、夜半にユーチューブを見ながらスナック菓子をぽりぽり。おそらくこれで1日2500キロカロリーは軽く超えているはず。
カロリーの目安を知っておこう。
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の推定エネルギー必要量を見てみよう。これは健康な体型を維持するための適正な摂取エネルギー量の目安。
身体活動レベル別に数値は異なるが、リモート作業が多い現在では身体活動レベルは低いと考えられるので、18〜49歳までの男性の推定エネルギー必要量は1日2300キロカロリー。つまり、本人に過食の自覚はなくても、この数値を超えている可能性は高い。毎日数百キロカロリーオーバーでは当然、腹が割れるわけがない。
そこで腹割りの第一歩である食事コントロールでは、1日の摂取エネルギー量を1700〜1800キロカロリーに設定する。仮に1日2500キロカロリーの食事を続けていた人がこれを1か月遵守すると、約3.5kgの体脂肪を落とせる計算。ちょいぽちゃ体型の人なら、埋没していた腹筋の輪郭がうっすら顔を出すはずだ。
栄養バランスもまた重要。1日1700〜1800キロカロリーの内訳は糖質50%、タンパク質30%、脂質20%でやりくりすると、必要な栄養を補いつつ効率的に腹を絞ることができる。
8つの「腹割りルール」を実践。
とはいえ。ほとんどの人にとって栄養成分表と睨めっこしながら食事を組み立てるのは、とても面倒な作業だろう。そこで、下記では何をどう食べればいいかが一目で分かる「腹割りルール」をビジュアル化した。目で見てイメージを摑んで実際の食生活に落とし込んでほしい。
手始めに、栄養バランスが整った1日1700キロカロリーの食事とはどんなものなのかをご覧あれ。
【1日1700キロカロリーの食事例】
朝食はできれば固定化、昼に最もボリュームを置き、夜は逆にボリュームを絞る。間食にプロテインを導入し、これで1800キロカロリー弱。このハードル、決して高すぎるわけではあるまい?
ルール① 1食分の主食のポーションを把握する。
過食しているつもりはなくてもエネルギーを摂りすぎてしまう原因のひとつは、つい主食を盛ってしまうこと。腹の輪郭がお目見えするまでは、大盛り&おかわりは原則禁止。1食の適正量をしっかり把握し、食事を組み立てる際の柱としてほしい。
ごはんのポーションは1食につき150g、茶碗に軽く1杯の量。ただし、夜は若干減らして100gにセーブ。あとは寝るだけの夜にエネルギー源の糖質はさほど必要ないからだ。
パンなら8枚切り2枚が基本。フランスパンなら90g。麺類は水を含む量や麺の太さなどによって重量が若干異なるので、市販の生麺や乾麺の表示を目安に1食分を把握すること。ちなみに、そばやうどんは冷凍のものならば1袋食べてOK。計量するのが面倒ならば活用を。
1食で食べてOKな主食の量。
ちなみに、微量栄養素などがともに摂れる未精製の穀類、玄米やライ麦パン、全粒粉パスタなどは、さらにおすすめ。選択肢があれば積極的に導入しよう。
ルール② 5種の主菜を1日で完食する。
タンパク源の主菜の選び方もダイエット&ボディメイクの肝となる。ご覧のような卵、乳製品、大豆製品、魚、肉の各ポーションを1日3食でコンプリートするのがセオリー。朝食で卵+ヨーグルト、昼食で魚+納豆、夕食で肉というように。さまざまな食材を組み合わせることで、多様なアミノ酸をカラダに取り込むことが狙いだ。
当然だが、肉も魚も油脂の少ないものをチョイスのこと。NGはサバやマグロのトロ、鶏肉の皮、牛肉や豚肉の脂身、そして挽き肉。炒めるときの調理油は小さじ1で。
1日3食でコンプリートしたいタンパク質。
魚に比べて肉のグラム数が多いのは、魚油が身と一体化した魚より脂肪を取り除いた肉の方が低カロリーだから。よって主食控えめの夕食の主菜に肉をもってくれば、満足感が得られる。
ルール③ 副菜は小鉢5品を組み合わせて。
食事を組み立てるときに忘れちゃならないのが野菜の副菜。
野菜に含まれるビタミン、ミネラルはエネルギー代謝を促し、食物繊維は腸内環境を整え、個々の野菜に含まれる機能性成分がカラダの機能を保ってくれる。つまり、エネルギーとなる糖質、筋肉の材料のタンパク質だけ確保しても副菜の助けなしには代謝が回らず、腹割りは難しいということ。これ、意外と忘れられがち。
副菜は小鉢という形で計5品を1日でカバー。オクラ、ホウレンソウ、ニンジン、カボチャといった緑黄色野菜を2品、残り3品は大根やタケノコなどの淡色野菜ときのこや海藻などで賄う。朝1品、昼2品、夜2品というようにバラして組み合わせること。コンビニのパック総菜、冷凍野菜などの活用がおすすめだ。
おすすめの5品の副菜。
また、小鉢ではなく味噌汁に野菜を入れれば、これも副菜の一品となる。緑黄色野菜のトマトに海藻、豚汁の具材に豆乳をプラスするなど組み合わせは自由自在。アレンジを楽しみつつ栄養補給を。
ルール④ 外食&宅配メニューの選択眼を磨く。
基本の食事の組み立て方をマスターしたら、続いて押さえておきたいのが外食と宅配メニューのルール。1日3食完全自炊はやはりハードルが高いし、メンタル的にもちと窮屈。腹割り中でも外食や宅配に頼って全然構わない。そのかわり、食べていいものヤバいものをしっかり把握することが鉄則だ。
で、参考にしてほしいのが料理ジャンル別OK・NGメニューのマトリックス。エネルギー的に約550キロカロリーを分水嶺として、それ以下ならOK、それ以上ならNGだ。ちなみに、(小)という表記は(小盛り)という意味。具ではなく、ごはんや麺を減らしてオーダーするという前提だ。
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うわぁ、よくよく見るとNGメニューは大好物だらけ。でも大丈夫。1週間に2食だけならNGメニューを口にしてOK。平日に1食、週末に1食なら堪能してよし。ただし、絶対NGのラスボス4品は腹が割れるまでは我慢のこと。
ルール⑤ 賢い間食選びで空腹をしのぐ。
1日2500キロカロリー摂っていた人間が、今日からマイナス800キロカロリーの食生活に挑むのだ。正直、ひもじくないわけがない。無理な我慢は次の食事のドカ食いを招くおそれがあるので、間食はぜひ取り入れたいところ。
とはいえ、クッキーやポテチなど糖質&油脂中心の間食は、いわゆる“おやつ”。心の慰めにはなるが、行き場のないエネルギーが体脂肪として溜め込まれやすい。狙い目はチキンや豆腐などのタンパク質、カロリーゼロのガムや飴、海藻類にフルーツなど。
基本的に100キロカロリー以内に収まるならOKなので、あたりめや茎ワカメならひと袋完食したって構わない。フルーツはリンゴ1個、ミカン2個まで。
100キロカロリー以下のおやつ13選。
ルール⑥ アルコールは基本、オールカット。
糖質が多く含まれるビールや日本酒などの醸造酒はNGだけど、糖質が含まれないウィスキーや焼酎などの蒸留酒ならオッケー。糖質制限の信奉者はそうした理屈でハイボールをガバガバ。
でもちょっと待った! 確かに糖質は含まれていないが、アルコールは水やお茶ではない。それなりのエネルギーを備えている。ウィスキーは30ml当たり70キロカロリー、同量の本格焼酎は43キロカロリー。醸造酒より蒸留酒の方が「まだまし」という程度で、ガバガバ飲んでいいわけがない。
というわけで、第1ピリオドではアルコールは基本的に禁止。どうしても飲みたいときは糖質、糖類、アルコールゼロのゼロキロカロリービールで。好みの味を探す楽しみもまたあり。
ルール⑦ 夕食は朝食から13時間以内に終了。
最初の食事を口にしてから最後の食事を食べ終わるまでの時間。これが短いほど太りにくいことが分かってきた。ある実験では1日14時間かけて食事をしていた人に10時間以内で食事を済ませる生活をさせたところ、体重が減り、血液検査の結果も良好に。
朝食〜夕食の時間が短いほど痩せる!
考えられる理由は、食物にアクセスする時間が減って摂取カロリーが抑えられること、体内時計のリズムにメリハリがついて代謝が促されることなどだ。
なんなら8時間以内に食事を済ませる生活をすると、さらに痩せ効果は顕著になる。とはいえこれは非現実的だし、長時間の絶食は筋肉の分解に繫がってしまう。朝7時に朝食を食べ、夜8時までに食べ終わる程度が理想的。
ルール⑧ 食間にプロテインを活用する。
序盤の「食間にプロテインを取り入れる」というさりげない文言に、なぬ?プ、プロテイン?筋トレするわけでもないのに? と敏感に反応した人もいるはずだ。
そう、プロテインの導入こそが食事コントロールでカラダを絞る大事なポイント。全体的に摂取エネルギーをカットすることで、カラダは筋肉を分解してでもエネルギーを作り出そうとする。これでは本末転倒。せっかく痩せても筋肉不足のガリガリ体型ではカッコいいシックスパックは成らず。
プロテインには3種類の成分があるが、おすすめは脂肪燃焼効果が期待できるソイ。1日2回取り入れて筋肉を維持しつつ減量を。