憧れの細マッチョに! 体脂肪率10〜15%の人のための、黄金率トレーニング
今回は、体脂肪率10〜15%の人向けのダンベルを使用したトレーニング。イマドキのカッコいい体型「菱形体型(=黄金率ボディ)」をめざし、体脂肪率別に、5つのフェイズに区切って紹介する連載です。
取材・文/井上健二 撮影/小川朋央 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/天野誠吾 イラストレーション/イオクサツキ 取材協力/清水忍(IPF)
初出『Tarzan』No.801・2020年12月17日発売
目次
体脂肪率10〜15%の人のためのトレーニングメニュー
- 絞る(有酸素運動):インドアHIIT(20秒→20秒→20秒×3〜4セット(インターバル10秒)×週1〜2回)
- 盛る(筋トレ):ダンベルトレ(上半身+下半身、体幹+下半身、上半身+体幹という3つのルーティン(各8種目)を1日おきに週3回(所要時間30分))
武器はダンベル、憧れの細マッチョ。
いよいよカラダ作りも大詰めに近づいた。フェイズ3(体脂肪率15%〜20%の人のための黄金率トレ)よりも、盛る筋トレの比重を高めて「細マッチョだね!」と言わせる体型に。筋トレの中身も、自体重トレからダンベルトレへバージョンアップ。ダンベルを使うと、狙った筋肉が思い通りにデザインしやすい。
ダンベルトレで大事なのは、重さの設定。筋肉を盛るには、一度に10回反復するのがやっとという重さ(10RM)で、限界まで10回×3セット行うのが有効(インターバルは60秒以内)。基礎筋力や種目で10RMは変わるから、いろいろ試して適した重さを見つける。筋肉がつくと、10RMの重さは右肩上がりになる。3セットとも余裕で12回できるようになったら、10%程度ウェイトを上乗せしたい。
プログラムは、フェイズ3と同じくスプリットルーティン法で。上半身+下半身、体幹+下半身、上半身+体幹という3ルーティンを1日おきに週3回やるのだ。有酸素はHIITを行おう。
上半身の筋トレ、4種目。
上半身の花形的なダンベルトレはダンベルプレスだが、黄金率を刻むダンベルトレの4番打者はショルダープレス。菱形ボディの頂点を際立たせるために、肩をジャケットのパッドのように覆っている三角筋に全集中しよう。
上半身の種目に限らず、ダンベルトレ全般で気をつけたいのは、重さにこだわりすぎないこと。10RMを見つけることは重要だが、重さばかりが気にかかると、フォームが乱れても決められた重さを上げることにやっきになりがち。
でも、それは間違い。1セット10回の種目でも、途中でフォームが崩れたら、そこで強制終了。それ以上やっても効かないし、思わぬ故障を負うリスクもある。意識はダンベルではなく、つねにフォームに向けることをお忘れなく。
体幹トレ、4種目。
フェイズ3と同じように、体幹は高回数で攻めるのではなく、高負荷&1セット10回でギブできるように追い込む。ときにはダンベルの重みを上手に使おう。
鍵を握る種目は、ドラゴンフラッグ。筋トレマニアにはよく知られたエクササイズであり、動きが派手で習得が難しく、強度も高いので、こなせることが強者の証明のような扱いを受けている。
でも、このフェイズでドラゴンフラッグを加えたのは、マウンティングの道具にしてほしいからではない。ベンチを両手でホールドし、ブリッジしながら下半身を低く下ろす動きは、体幹のみならず、上腕外側の上腕三頭筋や背中の広背筋にも効く。つまり菱形体型をデザインするうえで、一石三鳥の種目。5回できたら上出来だ。
下半身の筋トレ、4種目。
下半身トレには、両足を床について行うものと、片脚立ちで行うものがある。前者は姿勢が安定しているから、重たいウェイトで鍛えられるのがメリット。一方、後者には左右の筋力のアンバランスが修正できるという利点がある。
均整の取れた体型になる秘訣は、ブルガリアン・スクワットのような片脚立ちの種目を疎かにしないこと。利き脚があるから、片脚立ちだと「右脚はいいけど、左脚はダメ」といった偏りが必ず出る。
弱点が明らかになったら、苦手な方に合わせて重さや回数を調整。得意な方に合わせると左右差が一層拡大し、体型に歪みが生じるからだ。苦手な方ができる重さ&回数に留め、フォームを崩さず丁寧に行い、苦手な方の筋力が高まり、左右差が矯正されるのを待とう。
有酸素運動は、HIITで最小限に。
このフェイズでも、盛る筋トレの邪魔をしないように、有酸素運動はHIITで短時間&最小限にセーブする。
フェイズ3のアウトドアHIITがお好みなら、そのまま続けるのもアリ。ここでは、いちいち有酸素のために外に出るのが面倒と感じる人のために、インドアで静かに行えるHIITを紹介しよう。3種類のエクササイズを20秒間全力で可能な限り素早く行い、10秒のインターバルを挟みながら連続させる。これを3〜4セット。所要時間はわずか5〜6分で済む。
近所迷惑にならぬように気をつけると、自然にブレーキをかけながら静かに動くようになる。ブレーキをかける=筋肉が伸びながら力を出すエキセントリックの動きを伴うと、筋肥大も起こりやすい。
腸内環境を整えて代謝を引き上げるには。
腸内環境が脚光を浴びているが、実はカラダ作りとも関わっている。
キーワードは、短鎖脂肪酸。短鎖脂肪酸とは、腸内の善玉菌が作り出す酪酸や酢酸などのこと。短鎖脂肪酸は大腸から体内へ吸収されると、自律神経のうちでも交感神経を活性化して代謝をアップ。脳にも作用して食欲を抑える。
短鎖脂肪酸を合成する善玉菌を元気にするのに大切なのは、食物繊維の摂取。なかでも水に溶ける水溶性食物繊維は、善玉菌のエサとなり、短鎖脂肪酸の生成を促す。水溶性食物繊維はもち麦、ラッキョウ、海藻、きのこなどに含まれる。
それ以外でも善玉菌は、難消化性のオリゴ糖を原料として短鎖脂肪酸を作る。難消化性オリゴ糖には、タマネギやゴボウのフラクトオリゴ糖、大豆の大豆オリゴ糖などがある。
食物繊維の1日の摂取目標量は男性21g以上、女性18g以上だが、成人男女の平均摂取量は15g。食物繊維自体は気になるカロリーはほぼゼロ。水溶性を中心に穀物、野菜、海藻、きのこなどから摂取を増やそう。