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病気予防に効果あり。覚えておきたいホルモン「神7」

ホルモン神7

ホルモンにそんな病気予防効果が? ここでは人知れず奮闘を続け、私達のカラダの健康を守ってくれているホルモン“神7”をご紹介。それぞれの機能と活性化する方法を理解して、病気知らずのカラダを目指せ!

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ホルモンと自律神経が病気から守ってくれる

ホルモン内分泌腺と呼ばれる臓器で作られ、受容体を持つ全身の臓器に運ばれている。またそれ以外の臓器からも活発にホルモンが分泌され、その数は100種類以上。ほぼ全身から出ていると言ってもいい。

「ホルモンは生殖成長のほか、代謝免疫など病気にならないためのカラダの機能を制御していて、健康体を維持しています。ホルモンと自律神経カラダの2大制御システムと呼ばれていて、両者がわたしたちのカラダを病気から守ってくれるのです」(医学博士・根来秀行さん)

一方で加齢に伴い本来必要なホルモンの分泌が少なくなると、体調不良や病気に見舞われやすくなる。だからこそ中年以降は少しでもホルモンの血中濃度を高めるべく、生活習慣の改善や投薬が必要となってくる。

また、若い世代でも何かしらの理由でホルモンが暴走して分泌が乱れると、病気につながってしまう。

「健康なカラダにはホルモンの暴走が起こらないようにメカニズムが備わっていて、仮にあるホルモンが増えすぎても、別の内分泌腺が制御して分泌量の調整が行われるのです」

病気予防のためにはそれぞれのホルモンバランスを保つことが第一だが、個別のホルモンが特定の病気を防ぐ場合もあるので知っておきたい。ここでは、そんな中から7つのホルモンおよびホルモン同様の働きをする物質について学ぶ。

① 甲状腺ホルモン|生命維持に関わる。不足すれば橋本病に

甲状腺ホルモン は絶妙なバランスで成り立つ

全身の臓器を機能させ、生命維持に関わる甲状腺ホルモンは多すぎても少なすぎてもいけない。絶妙なバランスの上に成り立っている。

甲状腺はのどぼとけのすぐ下にある小さな臓器で、食べ物に含まれるヨウ素からホルモンを作り、体内のさまざまな臓器に運ばれていく。これが甲状腺ホルモンである。

甲状腺ホルモンは脂肪や糖分を燃焼させてエネルギーを作り、全身の細胞の新陳代謝を促したり、交感神経を刺激する働きを担う。カラダの新陳代謝機能はちゃんと汗をかいたり、体温をキープするといった生命維持に関係するとても大事な役割。甲状腺ホルモンが正しく分泌されることで私たちのカラダは健康に保たれているのである。

この甲状腺機能が低下してホルモンの分泌量が不足すると、橋本病という病気に罹る恐れがある。汗をかかなくなったり、怠さや眠気、むくみ、脱毛など症状はさまざま。40歳頃から注意が必要だ。

一方、分泌量が過剰に増えすぎるのも問題で、異常に汗をかいたり、動悸や息切れ、頻脈、喉の渇きといった症状に見舞われる。これはバセドウ病と呼ばれており、20〜40代の特に女性に発症する可能性がある。

このように、甲状腺ホルモンは減りすぎても増えすぎても病気のリスクがある。以上のような症状が表れたら、まずは検査を。

② セロトニン|ハッピーホルモンが、がんを退治する

われわれのメンタル睡眠などに深く関係する3大神経伝達物質のひとつがセロトニン。幸せホルモンとも呼ばれる脳内ホルモンで、がストレスを感じるとこれが分泌されてドーパミンやノルアドレナリンなど交感神経系の神経伝達物質の働きを抑え、自律神経のバランスを整えてくれる

これがうつ病の予防、症状緩和にもつながるという。

セロトニンのもうひとつの重要な役割はNK(ナチュラルキラー)細胞を活性化させること。これは文字どおり全身をパトロールしながら、一部のがん細胞やウイルスに感染した細胞を見つけ、攻撃するリンパ球の一種。つまりセロトニンを増やすことで、生まれつき備わっている免疫力がさらに高められるというわけ。

セロトニンを増やすには、日光浴や、ウォーキングなどのリズム運動のほか、必須アミノ酸の一種であるトリプトファンを摂取する方法などがある。大豆、乳製品がオススメだ。

③ メラトニン|セロトニンが夜に変身、カラダを大掃除する

カラダをキレイにする メラトニン をつくるためには早寝早起きを

昼に分泌されたセロトニンは夜になるとメラトニンに変化。カラダ中のゴミをせっせと回収する。そのためにも早寝早起きを。

脳の松果体から分泌される神経ホルモンの一種がメラトニン

日中にセロトニンが分泌されていると、このメラトニンが夜に作られやすくなり(体内時計に従って起床後およそ14〜16時間後に分泌される)、心身が覚醒した状態から自然と睡眠へと切り替えるよう促される。ゆえに、日中に光を浴びてセロトニンを分泌させることが大事になってくる。

メラトニンは睡眠を促したり、体内時計を正常に整える役割のほか、強力な抗酸化作用を持っていることでも知られる。睡眠中にカラダの細胞の酸化による損傷を抑えたり呼吸で取り込んだ酸素から生じる活性酸素(フリーラジカル)を中和させるなど、ダブルの効果で酸化からカラダを守り、ひいては老化のスピードを抑えてくれるのだ。

また、メラトニンが分泌されると末梢の血管が広がって、体内の熱が外に放出されて体温の低下とともに眠くなるわけだが、これにより全身に血流が巡るため、カラダを守るNK細胞などの免疫細胞も全身隅々まで届きやすくなる。

メラトニンは夜の間にカラダをきれいにし、ウイルスに強いカラダを作る頼りになる存在。そのためには規則正しい生活が鍵となる。

④ 成長ホルモン|筋力だけではない。カラダを修復する

成長ホルモンの分泌は生活リズムが重要

成長ホルモンの分泌は体内時計に支配される。就寝中に十分に分泌させ、カラダを修復するには朝からの生活リズムを守る必要がある。 

成長ホルモンと聞くと筋力アップをもたらすもの、と考えがちだが、それ以外にも細胞を修復したり、代謝させたり、疲労を回復させるといった働きがある。

成長ホルモンが最も多く分泌されるのは最初の深い眠り、ノンレム睡眠のタイミングだが、メラトニンが十分に分泌されていないと、成長ホルモンも分泌されない。つまり2つのホルモンとも体内時計に支配されているといえる。

両者が同じタイミングで分泌されると、成長ホルモンによる修復作用メラトニンによる抗酸化作用NK細胞の活性化なども相まってカラダの働きは健やかに保たれ、病気への抵抗力やウイルスに対する免疫力を高めることができる。より強いカラダのために必須のホルモンなのだ。

⑤ 心房性ナトリウム利尿ペプチド|尿を出して血流を促す

心房性ナトリウム利尿ペプチドのおかげで体液バランスが整う

毎日当たり前にオシッコできるのは心房性ナトリウム利尿ペプチドのおかげ。意外と知られていないホルモンの大事な役割である。

心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)。聞き慣れない名前だが、主に心房で合成、貯蔵されて血中に分泌される、アミノ酸28個で構成されるホルモンである。

ANPは体内に過剰に水やナトリウムが溜まっているとそれを尿として排出したり、血管を拡張するなどの作用を持つほか、腎臓の循環を制御するレニン・アルドステロンの分泌にも関わって全身の体液バランスを整えたり、血液量を調整している。

実は全身の血圧をコントロールするという、なかなかに重大な役割を担っているホルモンなのだ。

ANPの分泌は心房に圧がかかることで起こるため、ANPの値が高くなっている場合は、高血圧や鬱血性の心不全、慢性腎不全、心筋梗塞などで心房に過度な負荷がかかっていたり、循環する血液量の増加が起きている可能性が高いと考えられる。

逆に値が低い場合は、甲状腺機能低下症や脱水症状などが疑われる。

⑥ エリスロポエチン|夏の貧血を予防する

貧血にはエリスロポエチン

淑女の血を吸って貧血予防…ではなく、エリスロポエチンを増やして造血することを考えよう。牛乳などに多く含まれている。

腎臓から分泌されるホルモンのひとつがエリスロポエチン。これは骨の中にある骨髄の造血幹細胞に働きかけて血液を作る指示を出したり、赤血球の数を調整する役割を担っている。

そのため腎臓の機能が低下すると分泌量が減り赤血球の減少を招いて、貧血特有の動悸息切れといった症状を引き起こしたり、酸素不足にもつながってしまう。こうした状態は腎性貧血と呼ばれ、このように腎機能低下によって腎性貧血が起きている状態を放置すると、腎機能がさらに悪化する可能性がある。

人工透析の患者は腎機能が低下している場合がほとんどなので、エリスロポエチンの値が下がって腎性貧血に陥りがち。この場合エリスロポエチンを補う薬や、体内での産生を促す薬の投薬治療が行われる。

⑦ プロスタグランジンD2|動脈硬化を予防

プロスタグランジンD2が深い眠りを誘発

毎日ぐっすり眠れるのはプロスタグランジンD2によって深い眠りが誘発されるから。ひいては動脈硬化の予防にもつながる。

睡眠を促すホルモンとしてメラトニンが知られているが、もうひとつ、プロスタグランジンD2(PGD2)という生理活性物質も眠りに作用する注目の存在。正確にはPGD2がアデノシンという代謝物を増加させ、これにより睡眠が誘発されるのだが、PGD2がホルモンのように働くことで深い眠りにつけるという。

もうひとつ、PGD2には動脈硬化を防ぐ作用があることもわかっている。根来秀行先生の研究では、血管を詰まらせる物質が血管の壁に集まると、それに対抗する形でPGD2が作られ、炎症を抑制していることが判明したという。

眠りに誘うプロスタグランジンD2が動脈硬化にも効く、となればちゃんと分泌されるように規則正しい生活を送るのが一番。より良い睡眠があらゆる病気を防いでくれる。

番外編:ビタミンD|風邪から感染対策まで

日光浴不足だとビタミンDが不足しがちに

コロナ禍の日光浴不足によるビタミンD欠乏も一時期話題に。 

脂溶性ビタミンのひとつであるビタミンD。カルシウムの吸収を助け、健康な骨の形成に働くことで知られており、日光を浴びると体内で分泌され、また魚や卵、乳製品などの食べ物から摂取できる栄養素である。

ビタミンDは厳密に言えばホルモンではなく生理活性物質だが、昨今、これがホルモンのように働いて免疫を調整することが判明し、風邪やインフルエンザなど呼吸器系の感染症の発症を抑える効果があるといわれている。

日本の子供を対象とした2010年の研究論文によると、ビタミンD3を摂取したグループは未摂取のグループよりもインフルエンザの発症が約4割低いという。

呼吸器系の感染症と聞くと新型コロナウイルスが思い浮かぶが、2020年にアメリカで発表された論文では、ビタミンDの体内濃度が低いコロナ患者は重症化率が何倍にもなると報告されており、その後各国で同様の報告が挙がっている。

さらには、ビタミンDを多く摂取すると大腸がん前立腺がんの予防に効果的という研究論文もあり、風邪からコロナ、各種がん予防まで、ビタミンDが持つ無限大のポテンシャルに熱い視線が注がれている。

病気と闘うホルモンを働かせる習慣

7つのホルモンおよび体内物質が病気に対してちゃんと働くためにはいくつかの習慣づけが必要となる。

第一は規則的な睡眠と生活リズム。ほぼすべての臓器に体内時計が備わっており、脳からの指令による生体リズムとしてホルモンが分泌される仕組みなので、毎日同じ時間に起き、寝ることで、分泌のリズムも整っていく。

メラトニンや成長ホルモンが多く分泌される24時までには就寝し、朝7時頃に起きるのが理想だ。

もうひとつは、自律神経を整え、ホルモンを正しく分泌させるための呼吸法。昨今はマスク着用で呼吸が速く、浅くなりがちだが、マスクを外したときに4秒吸って4秒止め、8秒で吐く「4・4・8呼吸」をすると、1分間に4回の深い呼吸となって、副交感神経に働きかける。

有酸素運動も有効だ。強弱をつけたウォーキングで1日8000歩を目指そう。カラダのリズムが整う。

副交感神経優位にする4・4・8の呼吸法

4・4・8呼吸法

肩の力を抜き、腹式呼吸を数回繰り返したら鼻から息を吐き切り、次に4秒かけて息を吸う。そのまま4秒間息を止め、続けて8秒かけて鼻から細く長く息を吐き切る。これを日中は1時間半に1回くらい、家では寝る前に、を習慣に。

歩きに強弱をつけながらのウォーキングが効果的

ウォーキング 犬の散歩 イラスト

普通にウォーキングするのでもいいが、速歩きとゆっくり歩きを数分間ずつ交互に繰り返すのもおすすめ。速歩きをすると筋肉に負荷がかかり、有酸素運動から無酸素運動に近づくため、成長ホルモンの分泌が期待できる。

取材・文/黒田創 イラストレーション/クレメンス・メッツラー(記事内)、Adobe Stock(TOP画像) 取材協力/根来秀行(医学博士)

初出『Tarzan』No.836・2022年6月23日発売

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