セックスのための6つの身体能力とは? 筋力&柔軟性を養う自体重トレ

性学」では、ターザンなりの視点から健康的な性生活について、深掘りして考えている。今回は性の「体育学」。思い通りに動くカラダはいくつになっても手に入る。衰えを言い訳にせず、パートナーとのよりよいセックスを目指すために、筋トレに励んでみよう。

取材・文/宮田恵一郎 撮影/小川朋央 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/村田真弓 トレーニング監修・指導/菅原順二

初出『Tarzan』No.816・2021年8月5日発売

よりよいセックスのための身体能力とは?

セックスは、まさしく全身運動。いくら肉体美で相手を視覚的に刺激しても、カラダを上手に動かすスキルがなくては、プレイの幅は狭まり、ひいてはマンネリを呼ぶ。そうならないためにも、思い通りにカラダを動かすための筋力や柔軟性を養うこと。互いのセックスの満足度を上げるなら、機能面の強化は必須だ。

たとえば、男性が女性を抱え上げる駅弁。難度が高いといわれる体位も、男性が力強い上半身力を持てば、決して高いハードルではなくなる。一方、その安定感を高めるのが、相手の力だけに頼らない女性のホールド力。これも上半身の筋力があってこそ。

お互いの協力なくして、達することはない快感への道。そこを目指したトレーニングを厳選。筋トレのみならず、関節のストレッチや、ぴったりと息が合ったコミュニケーションを育むペアトレーニングも用意した。カラダの機能性を高めて、よりよいセックスライフを!

① 股関節力

セックスにおいても、やはり重要な役割を果たすのが股関節。まず男性は外旋方向、女性は内旋方向への動きが得意だということを知っておきたい。ただやはり両方の柔軟性は必要だ。

仮に男性が楽な体位を行えば、逆に女性が辛くなり、上手く嚙み合わない。そうならないためにも、それぞれが苦手な方向の股関節の柔軟性を養うことが、よりよいセックスライフへの第一歩。女性はさらに開脚角度を広げられれば、刺激がより奥深くまで届くようになる。

男性|シンボックス(各5回)
シンボックス
  1. 長座になり、両手を胸の前で合わせる。
  2. 上体は正面のまま、左脚を脛が骨盤と平行になるように曲げる。
  3. 次に右脚を後方に曲げる。床を擦らないように足を動かすこと。
  4. 右脚、左脚の順に戻す。
  5. 逆脚も同様に。
女性|90/90(5往復)
90/90
  1. M字開脚し、両手を胸の前で合わせる。
  2. 骨盤を立てたままカラダを右に捻り、両膝を床につける。
  3. しっかり右脚の内旋、左脚の外旋のストレッチを感じたら、ゆっくり元の姿勢に戻る。
  4. 左側も同様に。
with パートナー|股関節ペアストレッチ
股関節ペアストレッチ
  1. お互いに股関節の硬いカップルはペアで行う。
  2. 足裏を合わせて座り、股間に踵を近づけ、両手で爪先をホールド。
  3. 息を吐きながら膝を下ろす。
  4. パートナーには痛みを感じない場所までゆっくり膝を押してもらおう。

② 上半身力

男性が上、女性が下になる体勢が多いセックスでは、お互いを引き寄せ合うことで、下半身を含む全身のフィット感が増すと言われている。そのために必要なのが、主に広背筋上腕二頭筋。おまけに体幹も養えば、カラダが密着したポジションを、より長くキープできる。

スタンダードな体位だけでなく、駅弁などの辛い体勢も、お互いのホールド力が高まることで容易になり、マンネリなセックスともおさらば。常にフレッシュな気持ちで愛を深め合える。

with パートナー|ロウイング・上(10回×2〜3セット)
ロウイング(男)
  1. 仰向けになったパートナーの腰あたりを跨ぐように立ち、お互いの手首をしっかりと握る。
  2. 下の人は腕をまっすぐ伸ばしたままの姿勢で。
  3. 上体を反らさずに肘を曲げてパートナーを引き寄せる。
with パートナー|ロウイング・下(10回×2〜3セット)
ロウイング(女)
  1. 始動姿勢はロウイング(上)と同じ。
  2. 踵を支点に、斜め懸垂するように上体を持ち上げる。
  3. 上の人は踏ん張り、姿勢をキープ。上体が持ち上がらない場合は、上の人が引き寄せてサポートしよう。

③ 下半身力

車のエンジンのように、ピストン中の馬力を生むのが、臀筋群を要とする下半身力。ここが強いと男性は、膝立ちやスクワット姿勢も長時間キープ可能。女性も同様に、足腰だけで体重を支えて上下動する開脚騎乗位もラクラクこなせるように。

さらに、女性は内転筋を鍛えることでパートナーの胴体を挟み込む力が高まり、激しくピストンされても相手とカラダが離れず、ずっと密着したまま。胴体を脚でグッと締め付けられたら、その演出にも興奮するはず。

男性|シンボックスアップダウン(30回×2セット)
シンボックスアップダウン
  1. 股関節力のトレーニングで紹介した「シンボックス」で両脚を曲げた姿勢から始動。
  2. 上体がブレないように、膝を支点にそのまま立ち上がる。
  3. 股関節の伸びを感じるところまで上げたら、ゆっくり元の姿勢に戻す。
女性|フロッグス内転筋(20回×2セット)
フロッグス内転筋
  1. 仰向けになり、手のひらを床につけて、踵をつけたままカエル足の姿勢に。
  2. レッグプレスをするように、目の前の空気を押す感覚で脚をまっすぐ伸ばし、ゆっくり元に戻す。
  3. 常に踵をつけておくこと。

④ 背骨力

背骨の連動性と、柔軟性を高めることでスムーズな腰使いが可能となり、ピストン運動やグラインドなどの持続性も養われる。

この背骨力がないと、男性は腰だけを上手にウェーブさせることができない。そのため、下半身同士をぶつけるような、雑なピストン運動になり、それでは受けるパートナーがあまりに可哀想だ。一方、女性の場合は骨盤の前傾・後傾を自在に操ることが可能に。あらゆる体位で、快感を生むベストポジションを容易に見つけられるだろう。

男性|ペルビックムーブ(10回×1セット)
ペルビックムーブ
  1. 仰向けになり、背中全体を床につけたまま、足を拳1個分ほど開けて膝を立てる。
  2. 息を吐きながら、腰椎を床に沈めるイメージで骨盤を後傾させ、背中を丸める。
  3. 息を吸いながらゆっくりと元に戻す。
女性|あぐらアーチ&カーブ(10回×1セット)
あぐらアーチ&カーブ
  1. あぐらを組み、骨盤を立てて5秒かけて息を吸いながら背中を反らせていく。
  2. 伸びを感じたら、10秒かけてゆっくり息を吐きながら骨盤を後傾させて背中を丸めていく。
  3. それぞれ一連の流れで1回。

⑤ 下腹部力

もっともシンプルに効果が表れるのが、下腹部の力を鍛えること。いわば性器の強化にダイレクトに繫がる。男女ともに意識すべきは、骨盤底筋群。

男性はしっかりと筋肉に刺激を入れることで勃起力を高め、女性は、通称・尿漏れエクササイズともいわれるトレーニングを行うことで膣圧が高まり、いわゆる“締まり”を生む。硬さやフィット感は何よりもわかりやすいセックス中のベネフィット。相手の予想を裏切る快感の洪水が、2回戦、3回戦を呼ぶ。

男性|フルスクワット(20回×2セット)
フルスクワット
  1. 爪先と膝が同じ方向に向くように足を肩幅に開く。
  2. 背すじを伸ばし、胸は軽く張り、両手は胸の前で合わせる。
  3. 息を吸いながら膝よりも低い位置までゆっくり腰を下ろし、息を吐きながら上げていく。
女性|ドローイン(10回×1セット)
ドローイン
  1. あぐらを組み、両手を床に。
  2. 腹式呼吸を意識して、5秒かけて息を吸い、10秒かけて吐きながらゆっくり膣を引き上げるイメージで下腹部に力を入れる。
  3. 息を吐き切ったら圧をゆっくり緩めながら息を吸う。

⑥ 体幹力

スポーツと同じく、セックスは全身運動。男女ともに、体幹の強さが全体位の安定感を生む。相手の激しい動きを受け止める力ともなり、体力を消耗せず、プレイの持続性を高めるうえでも重要だ。

女性はコアだけで体重を支えることで、対面座位や騎乗位で官能的に仰け反る姿勢も容易に。また、腹と脚のスムーズな連動性が培われることで、パートナーが主にピストン運動を行う後背位や正常位でも、リズムを合わせて主体的に腰を動かせるようにもなる。

男性|ロールアップ(10回×1セット)
ロールアップ
  1. 仰向けで両腕と両脚を伸ばし、足を揃えて爪先を上に向ける。
  2. 息を吐きながら、頭、肩、背中の順にゆっくり床から上体を起こし、前屈して息を吐き切る。
  3. 息を吸いながらゆっくり元の体勢に戻る。
女性|ヒップサークル(往復10回×1セット)
ヒップサークル
  1. 腰を下ろして両手を広げて床につく。
  2. 揃えた両足を目線の高さまで上げてカラダをV字にする。
  3. 脚をまっすぐ伸ばしたまま、時計回りにゆっくりと回転。
  4. 脚を1周させたら逆回し。往復して1回。
with パートナー|脚相撲
脚相撲
  1. 腰を下ろし、膝を直角に曲げてお互いの足の裏を合わせる。
  2. 両腕を伸ばして床につき、上体を起こしたら開始。
  3. パートナーの力に合わせて均衡を保つように足を押し合う。
  4. 回数、時間は気にせず、楽しみながら行おう。