「脇腹のボコボコ」を強調する種目。
お尻をほぐして、正しい「あぐら」で座れる体を作る。
割りづらい「腹筋の下部」にはこの2種目!
カラダの背面を鍛えるなら、ブリッジはいかが?
「ハンドスタンド」自宅で肩が鍛えられる!
噂の「マッサージガン」について知ろう。
ジムで徹底的に「腕」を追い込んでみる。
マナーを守って、気持ちよくジムで鍛えよう!
  • 公開:

運動で免疫を下げないための4つのヒント

激しい運動は免疫力低下に繋がる。だからこそ、事前の準備を怠ることなかれ。

① 免疫力を保つ乳酸菌を摂り続ける。

運動で免疫を下げないための4つのヒント

ヒトの外と内の境界は、口や鼻だけではなく腸管にもある。口から肛門まで連なる腸管内は外界であり、その壁を越えた内側が体内。ゆえに腸管内には、外敵を水際で叩くために免疫細胞が集まる。

「腸管には多くの腸内細菌が棲み、ある種の乳酸菌は免疫細胞を刺激して免疫力を高める性質を持つとされています」

とくにSIgAを増やす効果が高いと選抜されてきたのはB240という乳酸菌株。この菌を配合した商品もある。

乳酸菌で免疫が活性化されて効果を最大化するには、毎日欠かさず摂っても1か月ほどかかる。フルマラソンのような激しい運動後の免疫力低下に備えるなら、大会1か月前から乳酸菌を摂り続けよう

乳酸菌が運動による粘膜免疫低下を抑制
【乳酸菌が運動による粘膜免疫低下を抑制】/こちらは清水先生らの研究。乳酸菌B240を摂り続けると、アスリートの4週間の練習とその後1週間の減量中、唾液中のSIgAの分泌量の減少が抑えられ、免疫力の落ち込みが避けられた。
清水ら、2018

② 食事からビタミン、抗酸化成分、タンパク質を摂る。

運動で免疫を下げないための4つのヒント

乳酸菌以外でも、日頃食べている身近な食べ物で免疫力は十分底上げできる。粘膜免疫を高めるのは、粘膜の維持に関わり、SIgAの産生を助けるビタミンA&D。Aはレバー、卵、牛乳など、Dは鮭、イワシ、干し椎茸などに多い。酸化ストレスに対抗する抗酸化作用を持つ食品も有効。ブロッコリーなど緑黄色野菜に多いβ-カロテン、パプリカなどの野菜やキウイフルーツなどの果物に多いビタミンC、緑茶のカテキンなどだ。

タンパク質も大切。免疫細胞もそれが作る抗体もタンパク質から作られる。また脱水すると唾液が減り、SIgAが働きにくい。夏場は早め&こまめな水分補給で脱水や熱中症を予防しよう

③ 副交感神経を優位に導くリカバリーの手段を持っておく。

運動で免疫を下げないための4つのヒント

運動時の免疫力の落ち込みを招くのは、交感神経の高ぶり。交感神経と正反対の働きを持つ副交感神経を優位に導く手段があれば、免疫力の維持に役立つ。その一つが、運動後の鍼灸やマッサージのようなコンディショニング。

「鍼刺激が高強度の運動後の免疫の落ち込みを抑えるという報告があります」

心地いいと感じる刺激は、副交感神経を優位にしやすい。ぬるめのお湯で快適に浴槽入浴するだけでもいいのだ。香りを活用するアロマテラピーにも、免疫力アップが期待できる。

「紅茶の香り付けにも使うベルガモットの香りが、心理ストレスを軽減するほか、SIgAを増やすという研究があります」

鍼刺激が免疫力の低下に与える影響
【鍼刺激が免疫力の低下に与える影響】/激しい運動をすると24時間は唾液中のSIgAの分泌量が減り、粘膜免疫が下がる。鍼刺激をするとSIgAの分泌量が早期に回復して、その後上昇に転じて運動による免疫の低下が避けられる。
Matsubara et al., 2010

④ 免疫力ダウンを見越して感染症対策をする。

運動で免疫を下げないための4つのヒント

乳酸菌や鍼灸などを取り入れても、過度な運動による一時的な免疫力の下落は完全には避けられないかも。ならば念のために予防策を立てるべきだ。一般人がとくに心配したいのは、マラソンやトライアスロンなどのレース直後。短くて1日、長くて数日は感染症に罹りやすいオープンウィンドウ状態の恐れがある。

その間、不特定多数との接触回避、マスク着用、手洗いなどを普段以上に励行。レースは日曜に行われるケースが多いから、テレワーク推奨中なら週半ばまでは、いつも以上に時差出勤などで密を避ける行動を心がけるのが賢い。自宅待機中は免疫を下げる過度な飲酒や喫煙を避け、十分な睡眠を確保して


運動と免疫の関係をより詳しく知りたいなら、こちらもチェック!

取材・文/井上健二 イラストレーション/安ヶ平正哉 取材協力/清水和弘(国立スポーツ科学センタースポーツ研究部)

初出『Tarzan』No.790・2020年6月25日発売

Share
Share