【慢性腰痛をタイプ診断】セルフチェックで原因を突き止める
腰椎椎間関節性、筋筋膜性、腰椎椎間板性、仙腸関節性。これまで病院に行っても原因不明とされてきた腰痛を抱える人の多くも、このいずれかに分類される可能性がある。セルフチェックを行い、腰痛の正体を突き止め、長きにわたって悩まされてきた腰痛との付き合い方を変えよう。
取材・文/石飛カノ イラストレーション/山口正児 取材協力/鈴木秀典(山口大学大学院医学系研究科整形外科准教授)
初出『Tarzan』No.860・2023年7月6日発売
その慢性腰痛、正体がわかるかも?
山口県臨床整形外科医会に所属する県内の整形外科医院、病院、大学病院の共同研究である“山口県腰痛スタディ”(詳しくはTarzanWebの記事:「腰痛の85%は原因不明」は誤解!? 実態調査で判明した腰痛の真実)で分かった「一般的な慢性腰痛」は
- 腰椎椎間関節性
- 筋筋膜性
- 腰椎椎間板性
- 仙腸関節性
の4種類。これまでは病院に行っても原因は分からず、湿布薬を処方されてハイおしまい、とされてきた腰痛で、ドクターショッピングをする多くの腰痛持ちがここに分類されると思われる。
では、今の自分の腰痛はそのうちの一体どれに当てはまるのか? これはぜひともはっきりさせたい。腰痛の原因が分かれば対処の方法もきっと見つかるからだ。まずは、セルフチェックを行い、腰痛の正体を突き止めることから始めよう。
今こそ長きにわたる腰痛との付き合い方を変える絶好のチャンス。思い当たるチェック項目の色(黄・青・赤・緑)をメモしたら下の診断結果へと進んでほしい。
全16問・慢性腰痛チェックリスト
診断結果
色別にチェックの数を集計。一番多かった色が、腰痛の正体の可能性が。
4つの色で括られたチェック項目の内訳は下に示した通り。当てはまる数が最も多かったものがあなたの腰痛である可能性が高い。複数の腰痛に当てはまる場合は併発している可能性もある。
また下のレッドフラッグサインで重篤な腰痛疾患の兆候の有無も確認しておこう。
黄色が一番多かった人は…
椎間関節は背骨を構成する骨が連結している部分のこと。腰椎の椎間関節に負担がかかることで炎症が起こり、痛みを感じるのが椎間関節性腰痛。山口スタディの慢性腰痛の中で最も多かったのがこれ。
青色が一番多かった人は…
腰周辺の筋肉や筋肉を包み込む筋膜に慢性的なダメージが生じて痛みを感じる腰痛。いわゆる肉離れのような状態。ちなみに急性のぎっくり腰のほとんどはこの筋筋膜性腰痛ともいわれている。
ピンクが一番多かった人は…
椎間板は背骨を構成する骨と骨の間にあるショックアブソーバー。繰り返しストレスがかかることによって椎間板が変性、炎症が起こり、痛みを感じる。
緑色が一番多かった人は…
仙腸関節は骨盤の中央にある仙骨と左右にある腸骨の連結部分。他の慢性腰痛とは異なり、痛みを感じるのは腰というよりお尻。女性に多く見られる腰痛とされている。
レッドフラッグサインに当てはまれば、すぐに受診を
レッドフラッグ=危険信号。
腫瘍、感染、骨折など見逃せない重篤な疾患のサインのこと。まずは危険信号の有無を確認することが腰痛の診断手順の第一歩となる。下のチェック項目にひとつでも当てはまったら整形外科を受診のこと。
レッグフラッグサインのチェック項目
- HIV陽性者である
- 食生活が不規則で偏食、または少食だ
- ダイエットしていないのに体重が減ってきた
- 脚の痺れなどの症状がある
- 背骨が曲がるなどカラダが変形している
- 熱がある
- 発症年齢が20歳未満、または55歳以上
- 寝ているときやじっとしていても、絶え間なく痛みがある
- 胸の痛みを伴っている
- がんの病歴がある
- 長年ステロイド剤を利用している