呼ばれたら席を立ってみる。座りすぎを避ける「オフィス」のアイデア8つ
環境をガラリと変えることはできなくても、「座らないと無理」な行動以外を全て立って行ってみよう。無意味に座っていた時間をかなり減らすことができる! 今回はオフィスでの座りすぎを減らすためのアイデアを紹介。立ったついでにできる簡単エクササイズも一緒に行い、座りすぎによるカラダの負担をリセット!
取材・文/石飛カノ 撮影/中島慶子 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/天野誠吾 イラストレーション/中根ゆたか
初出『Tarzan』No.849・2023年1月26日発売
教えてくれた人
丸山健太(まるやま・けんた)/龍ケ崎済生会病院医療技術部リハビリテーション科係長・作業療法士。16年間現職の医療の現場に立ち続け、患者への日常生活動作や運動指導に務めるほか、HPなどで健康情報の提供を行う。
目次
こまめに立って、座位時間を減らす工夫を
座位時間が長いと脚の筋力の低下や血流の停滞に繫がり、生活習慣や腰痛などのリスクも高まる。
WHOも日頃から座りっぱなしの時間を減らし、何らかの身体活動に置き換えることを勧めている。さらに、週末まとめて運動しても座りすぎによる健康への悪影響は低減できないという研究報告も。
そこで、作業療法士の丸山健太さんが提案しているのが、日常生活でこまめに立って姿勢を変えたり動いたりすること。
今回は出社日の座り時間を減らすアイデアと昼休みに行える簡単エクササイズを紹介。30分に1回の頻度で3分間カラダを動かすのが理想だが、自分が取り入れやすいものからまずは実践してみよう。
アイデア① 誰かに名前を呼ばれたら立って返事をする
電話の取り次ぎ、または誰かに名前を呼ばれたらそのつど立って返事をする。社内メールばかり活用するのではなく、直接相手のデスクに赴いて「報連相」するのもよし。
アイデア② タイマーや時報に合わせて席を立つ
時間を決めて、定期的に席を立つ。スマホのアプリやスマートウォッチには、30分または1時間おきに立ったり動いたりすることでご褒美を稼ぐシステムもある。ぜひ活用を。
アイデア③ 物を運ぶときはまとめてではなくひとつずつ
大量の資料や会社の備品を運ぶときはいっぺんに運ぶなかれ。2回、3回と小分けして運べばそれだけ立って動く時間も長くなる。ついでに周りからは仕事熱心な人に見られるでしょう。
アイデア④ 外回りはできる限り徒歩や自転車を利用する
近場の外回りではタクシーを使わない。できるだけ徒歩または自転車を活用する。ふた駅先くらいの距離なら自転車の方が時短になり、しかも下半身の筋肉を刺激できるので一石二鳥。
アイデア⑤ 飲み物を口にするときは窓辺に移動
仕事の合間のコーヒータイムや水分補給は着席したまま行わない。席を立って窓辺に行き外を見ながら気分転換。「ながら飲み」ではなく「ブレイク飲み」でリフレッシュしよう。
アイデア⑥ ランチはカフェや蕎麦店でスタンディング
忙しくてランチの時間を十分確保できない? そんな日は迷わずスタンディングテーブルのあるカフェや立ち食い蕎麦店へ。立位のままササッと食べて午後の仕事に取り組もう。
アイデア⑦ 休み時間は社内スペースや近くの公園で休憩
ちょっとしたブレイクタイムには必ず席を立つ習慣をつける。できれば違うフロアの社内スペースや近くの公園に出向いて一服(喫煙に限らず)する。思考が行き詰まったときの習慣に。
アイデア⑧ アフター5は立ち飲みをチョイス
アフター5の飲み会は立ち飲み店を選択肢に入れる。アルコールが回ってもうそれ以上立っていられなくなったら速やかにお開きとすれば、飲みすぎる心配もなし。
立つきっかけに! オフィスでエクササイズ
お昼休みやちょっとしたブレイクタイムに、簡単にできるストレッチ&筋トレを4種目ずつ紹介する。長い座り時間で固まったカラダをほぐす意味でも、余裕があったら取り入れてみよう。
ストレッチ編
ストレッチのやり方
ストレッチは各5〜10秒、動的ストレッチは4〜6回が目安
① 腸腰筋ストレッチ
座り姿勢で縮こまった太腿の付け根の筋肉、腸腰筋を伸ばす。椅子の背に片手を置き、片足を大きく1歩前に出して腰を沈める。後ろの足の踵は上げる。上体はまっすぐキープ。逆側も同様に行う。
② 広背筋ストレッチ
デスクワークで凝り固まった広背筋のストレッチ。椅子の背を両手で摑む。両足は肩幅よりやや広く開き、両腕を伸ばしてお尻を後ろに引きながら背中全体を伸ばす。
③ 重心を移動させる動的ストレッチ
椅子の後ろに立ち、両手で椅子の背を握る。両足を大きく開き、左右交互に重心を移動させる。右に重心を移したときは左の内転筋、左に移したときは右の内転筋が気持ちよく伸ばされる。
④ 脚上げ動的ストレッチ
脚全体の血行を促す動的ストレッチ。椅子の背に片手を置いて左右交互に太腿を上げる。脚を上げたとき股関節と膝の角度が90度になるように。背すじはまっすぐ伸ばすこと。
筋トレ編
筋トレのやり方
各5〜10回×1〜3セットが目安
① 片脚上げキープ
椅子の背に片手を置き、床から片脚を上げる。姿勢をまっすぐ保って行うことがポイント。この種目に限っては回数をこなすのではなく1分キープを1〜3セット行い、脚の血流を促す。
② 踵上げ
座りすぎで硬くなりがちなふくらはぎの筋肉に刺激を入れる。両手を椅子の背に置き、両足を肩幅に開く。踵をできるだけゆっくり上げてゆっくり下ろす。この繰り返し。
③ 片脚バランス
両手を腰に当て、両足を肩幅よりやや広く開いて立つ。そのまま左右交互に片足を床から浮かせる。足を浮かせたときに上体はまっすぐ。中臀筋に刺激が入る。
④ スクワット
おなじみのスクワットで下半身全体を鍛える。両手を腰に当ててまっすぐに立つ。両足は肩幅。そのままお尻を後ろに引いて腰を落とす。フィニッシュで背中と膝下が平行になるように。