長時間の会議、ロングドライブ、合わない椅子…。座りトラブルの解決策
座りすぎはカラダに悪いことはわかっている。とはいえ、我々の生活では座らないといけないシーンが多々。足腰の痛みや冷え、ツラいむくみなどのさまざまなトラブルを知恵と工夫で乗り切る「座りすぎマン」が、困ったときの緊急改善策をナビゲート!
取材・文/オカモトノブコ イラストレーション/谷端実 監修/澤木一貴(SAWAKI GYM代表)
初出『Tarzan』No.849・2022年1月26日発売
目次
長時間、座りっぱなしの会議
解決策:足の4コンボエクサで血流促進
足は第二の心臓。筋肉の働きで滞った血液を流すのが改善の近道だ。踵の上げ下げ、爪先の上げ下げに、足先をつけて足首くるくる。さらに太腿を持ち上げて動かせばカンペキ。
椅子が硬くてひんやり
座りのトラブル②
球場で野球を観戦中だが椅子が硬くてひんやり。足先も冷えてツラい…。
解決策① 尻をキュッと絞って持ち上げる
肛門を締め、尻の筋肉に力を入れて片側ずつリフトアップ。座りすぎで弱化した臀筋を使って温まりつつ、椅子との接触面も減らせる。
解決策② 肩甲骨の開閉で熱を生み出す
肩甲骨の間には、脂肪を燃やして熱を生む褐色脂肪細胞が集まるとされる。肩と胸まわりを開いて閉じて、繰り返せば猫背もスッキリ。
解決策③ とにかくアツく、必死に拍手
好プレーがあったなら、即座に素早く拍手を。指先から滞った血液が流れてポカポカするし、応援のモチベも上がっていいことずくめ。
解決策④ “肘掛けディップス”で汗を流す
カラダの内側からすぐ熱を生み出したいなら、筋トレに勝るものはなし。自体重を押し上げて鍛えながら、選手と一緒にいい汗を流そう。
エコノミークラス症候群
座りのトラブル③
久々に飛行機に乗るけど、エコノミークラス症候群が心配。席は狭いし、予防のためにできることはある?
解決策① 搭乗前の、爪先立ちポンプ
血流の停滞からくるダメージを防ぐなら、フライト前後に筋活動を行っておくと、その差は歴然。待ち時間には爪先立ちのカーフレイズで、ふくらはぎの筋ポンプ作用を高めよう。
解決策② 飛行中は足コンボと水分補給を
狭い座席では、トラブル1で紹介した足元コンボエクササイズをぜひ。水分もこまめに補給して、血液がドロドロになるのを防ぎたい。
ロングドライブで腰がもったり
座りのトラブル④
ロングドライブ中で腰がもったり重だるい。休憩は長く取れないし、短時間で改善するには?
解決策① 劇的改善、肩入れストレッチ
トイレ休憩で車外に出たら、開脚して肩をぐぐっと入れるストレッチを。1分で足腰と肩も劇的にスッキリするので、ぜひお試しあれ。
解決策② “4”の字ストレッチを座席で
停車中の運転席で、硬くなった尻の臀筋をストレッチ。脚を浅く組んで上半身を前屈させると、血流も促されて腰まわりが軽くなる。
解決策③気分も爽快、体側ストレッチ
座りすぎで弱化する体側部のストレッチも有効。両手を組んでカラダを左右に伸ばす動作は、SAでのリフレッシュにもうってつけだ。
足がしびれてガクガク
座りのトラブル⑤
得意先のトイレで、スマホを見つつ時間調整していたら足がしびれてガクガクに。何とか応急処置をしたい!
解決策① 便座で補助付きニーアップ
自然に直るものだが、急ぐようならしびれていないところを動かして脚全体の血流を促す処置を。便座の上で太腿を両手で固定して上げ下げすると、じんわりやわらいでくる。
解決策② 太腿を揉んでさすって血行改善
しびれの要因は、冷えや血行不良などで循環が阻害されること。しびれのない部位をマッサージして温め、周辺からアプローチしよう。
オンライン会議がびっしりで、足がむくむ
座りのトラブル⑥
オンライン会議がびっしり詰まって、足はむくむし気分転換も難しい。画面の外でスッキリする方法は?
解決策① 膝をつけて股関節を内旋↔︎外旋
デスクの下で両膝を合わせ、足先からオープン&クローズ。座りすぎで硬くなった股関節をほぐしながら、内腿も鍛えられて一石二鳥。
解決策② 脚で足をコンプレッション
ふくらはぎと太腿の間に反対の足先を挟み、膝を曲げる力でギュッと加圧する、その名も「フットコンプレッション」。血流はよくなるし、何はともあれ気持ちいい。両足行おう。
解決策③ やっぱり効く、ふくらはぎ揉み
かつてブームになった健康法。滞った血液やリンパが流れ、体温上昇や老廃物の排出も期待できる。手で気持ちよく揉むだけでOK。
座面が硬くて背もたれもない丸椅子
座りのトラブル⑦
“ここでお待ちください”と案内された、座面が硬くて背もたれもない丸椅子。長く待てる座り方はある?
解決策① 手を挟んで骨盤の傾きを調整
正しく楽な座り方は、骨盤がやや前傾して坐骨が立った状態にある。両手を坐骨のちょい前にはさむと、骨盤は自然とこのポジションに。折り畳んだハンドタオルを使ってもいい。
解決策② こっそりゆっくり骨盤を倒す
ただ固まって座るより、少しずつでも動かした方が腰は楽。骨盤を前に倒して背骨を反らし、後ろに倒して丸める、を繰り返してみよう。ゆっくりやれば、周囲にも怪しまれない。
痔で長く座るのがツラい
座りのトラブル⑧
痔に悩み中。長く座るのがツライけど、気になる人に映画に誘われてしまった。患部を自然にケアしつつ楽に座れる方法を知りたい。
解決策① タオルを丸めて円座クッション
デリケートな患部への圧迫を防ぐ、定番のケアアイテムといえばコレ。丸めたタオルをそっと置けば、相手にも気づかれにくい。知られてよければ旅行用のネックピローも使える。
解決策② 足先で押しながら尻を浮かせる
片足の先で床を押し、片側の尻を浮かせてみよう。脚を組むより足腰への負担が少なく、左右交互に行えば姿勢を支える体側トレにも。
会議室がやけに寒い
座りのトラブル⑨
薄着でやって来た会議室がやけに寒いけど、皆はちょうどよさそうなので言い出しづらい…。
解決策① 貧乏ゆすりを運動にアレンジ
名前はイマイチな貧乏ゆすりだけど、実は下肢の血流や冷え・むくみ改善などの健康効果でも有名。両手の力で抵抗をかけ、腸腰筋を使って太腿を上げ下げすると効果アップに。
解決策② 考えてる風を装って密着度UP
腕を組んで脚をからめ、カラダを密着させれば体温で防寒できるし、熱心な姿がアピールできる。もし寒そうな気配に周りの人が気づけば、室内の設定温度を上げてくれるかも?
自転車に乗っているとお尻が痛くなる
座りのトラブル⑩
自転車を買ったら楽しくて、つい遠出したはいいもののお尻がすごく痛くなって帰り道が憂鬱。いい座り方や道中の緩和ケアはある?
解決策① ガニ股漕ぎを取り入れてみる
骨盤や股関節のポジションを変えながら疲労の分散をするのがキモ。ヤンキーみたいなガニ股漕ぎもいい。狭い道では気をつけよう。
解決策② 肩入れ&側屈ストレッチで休憩
道中の休憩ポイントでは、ストレッチも積極的に取り入れよう。トラブル4のドライブ中ストレッチや、開いた両脚を左右に曲げ伸ばしする、ラテラルスクワットもおすすめ。
解決策③ 骨盤を立てて、たまに立ち漕ぎ
自転車に乗るときの骨盤は、後ろに傾くのがスタンダード。ときどき前に倒したり、立ち漕ぎしたりして姿勢が固まるのを防ぐといい。
解決策④ 押し脚だけでなく引き脚も意識
監修の澤木トレーナーも指導経験のある競輪選手は、脚を引く力も使って大きな推進力を得る。腿裏のハムストリングスを効かせて、前腿に偏りがちな筋力をバランスよく使おう。