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タンパク質と、何が同じで、どう違う?ジェーン・スーと〈味の素(株)〉社員が語るアミノ酸のこと。
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知らず知らずのうちにカラダを蝕む恐ろしい病、脂肪肝。だが、毎日の食事を工夫するだけで肝臓に溜まった余分な脂肪は撃退できる。脂肪肝専門外来で指導を行う医師・尾形哲先生監修のクイズで、脂肪肝を防ぐ食事術を学ぼう。
おがた・さとし/佐久市立国保浅間総合病院外科部長、同院「スマート外来」担当医。神戸大学医学部卒業。パリ、ソウルの病院で肝移植手術を多数経験後、帰国。日本でも生体肝移植を多く手掛ける。医学博士。
肝臓から無駄な脂肪を追い出し、脂肪肝を撃退するコツは、食生活にある。肝臓外科医の尾形哲先生が、脂肪肝専門外来「スマート外来」で指導している内容をベースに、クイズ形式で脂肪肝を防ぐ食事のエッセンスを学んでいこう。
この食事を続けると、体重も落ちてくる。減量できたら、肝臓で嬉しい変化が起きている証拠。
「7%の体重減少によって肝細胞内の脂肪が減り、10%の体重減少で肝硬変につながる肝線維化が改善します」(尾形先生)
肝臓はモニタリングできないが、体重なら毎日量れる。変化を励みに、脂肪肝と縁を切る生活を始めよう。
目次
正解は…②
ご飯やパンといった主食などからの糖質の過食は、脂肪肝の主因。理想は1食20〜40g+間食10g=1日70〜130gというロカボ®基準。食後高血糖を防ぎ、脂肪肝を合成するインスリンの過剰な分泌も抑えられる。
1食当たり、ご飯ならお茶碗3分の1杯、食パンなら6枚切り1枚が目安。ただ、いきなりロカボ®基準を達成するのは難しいかも。まずは主食などを半分にするところから。
正解は…③
糖製度の高い糖質は食後高血糖とインスリンの分泌過多を招く。とくに避けたいのは白砂糖。加糖飲料はスティックシュガー10本以上の白砂糖を含む。
砂糖はブドウ糖と果糖が1対1で結合しているが、このうち果糖は肝臓で大半が脂肪に変わる超危険物。加糖飲料や加工食品に多い果糖ブドウ糖液糖、ブドウ糖果糖液糖に注意。加糖飲料をやめ、無糖の“水・お茶生活”に変えよう。
正解は…③
果物は果糖が多く、過食は脂肪肝の元。果物を味わうなら、生の果物の皮を剝き、一口ずつゆっくり食べる。
「少量ずつ摂った果糖は小腸で分解されるため、脂肪として肝臓に溜まりにくいのです」
スムージーやジュースだと、どう飲んでも一度に多くの果糖が入り、小腸の処理能力を超えて脂肪肝が生じやすい。とくに食物繊維をほぼ含まないジュースは吸収が早すぎるからNG。
a:脂肪肝の人の野菜摂取量は、推奨量の( )%に留まっています。
b:それを解消するためには、1日に野菜料理は最低( )皿食べる必要があります。
正解は…③、②
糖質を減らす代わりに増やしたいのは、野菜の摂取。日本人の野菜の摂取推奨量は1日350g以上だが、尾形先生らの調査では脂肪肝患者の摂取量はその半分に留まっていたとか。
野菜は食物繊維が多く、消化吸収をスローに進めるため、脂肪肝を招く血糖値の急上昇を抑える。食物繊維は腸内環境の改善にも有効。野菜料理は1皿70gほどなので、1食2皿で1日5〜6皿摂りたい。
正解は…納豆>サバ缶>茹で卵>牛もも肉
筋肉は血糖の最大の引き受け手。筋肉が減ると脂肪が肝臓に溜まる。タンパク質を1食20gほど摂り、筋肉を保とう。タンパク源は肉だけに偏らず、魚、卵、大豆食品、乳製品などからバランスよく。
優先したいのは、不足しやすい食物繊維を含む納豆や豆腐、EPAやDHAといった必須栄養素を含むサバなどの青魚、完全栄養食の卵。納豆、ヨーグルトは発酵食品で腸内環境にもプラス。
正解は…①
アミノ酸はタンパク質を構成しているが、単独でも機能する。なかでも肝臓に役立つのは、BCAA。バリン、ロイシン、イソロイシンの総称で、肝臓のエネルギー源となる。
「肝硬変患者にはBCAAを含む栄養剤を与え、肝臓を元気にするのが標準的な治療です」
BCAAは体内で合成できないため、食事から摂るべき必須アミノ酸。アルギニンもグルタミンもアミノ酸だが、体内で合成可能。
アルコールの適量は、純アルコール換算で1日男性( )g、女性( )g。それを守れば、脂肪肝は必ず防げる?
正解は…男性30g、女性20g、③
アルコールだけに由来する脂肪肝は減少中とはいえ、アルコールの飲みすぎは脂肪肝への道。肝臓の脂肪代謝能力が落ちる。純アルコール換算で60g(ビール500ml×3缶or日本酒3合)以上飲む人の90%超は脂肪肝持ちだ。
適正飲酒量は純アルコール換算で男性30g、女性20gだが、「ビール500ml 1缶を週2〜3回飲む人でも脂肪肝になることがある」。左党はまず飲酒量を半分に。
摂取量(ml)×アルコール度数(%/100)×0.8=純アルコール量(g)
アルコール度数5%のビール500mlの純アルコール量は、500×0.05×0.8=20gと計算。最後にかける0.8は、アルコールの比重だ。
いつも飲んでいるお酒のアルコール量を覚えておこう。ストロング系チューハイは安価でぐいぐい飲めるが、アルコール量が多めだ。
正解は…①②③(すべてNG)
足りない栄養素はサプリで補う手もある。でも、何でもかんでもサプリに頼ろうとすると、肝臓の負担が増える。サプリには、栄養・機能成分を包むカプセルなどの基剤や添加物が含まれる。こうした基剤や添加物は異物なので、肝臓で解毒処理される。
多少摂るのはノープロブレムだが、多数のサプリを摂り続けると、肝臓にはボディブローのように効くのでご用心。栄養素は極力食品から。
肝臓にいいとされる( )も摂りすぎると過剰な( )が脂肪肝の炎症悪化を促すことがあります。
正解は…②
痛飲した翌日にはシジミ汁がいいという話を聞くが、良かれと思ってシジミを食べすぎると、肝炎の引き金になることも。シジミには鉄が多い。鉄は必須ミネラルだが、摂りすぎはマイナス。
過酸化水素が結びつくと、強力な酸化力を持つヒドロキシルラジカルが発生。肝臓で炎症を起こす。貧血気味でない限り、鉄の摂りすぎはできるだけ控えて。
取材・文/井上健二 撮影/内田紘倫 料理製作・スタイリング/高島聖子 イラストレーション/市村ゆり 監修/尾形哲(肝臓外科医、長野県佐久市立国保浅間総合病院外科部長)撮影協力/UTUWA
初出『Tarzan』No.847・2022年12月15日発売