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より健康的に痩せるための「ロカボプラス」5つのルール

より健康的に痩せるための「ロカボプラス」5つのルール

ロカボ®(緩やかな糖質制限食)のアップグレード版「ロカボプラス」。基本条件に加えて、タンパク質、脂質、食物繊維などの摂取に関する5つの新ルールを設けていて、この5つを守るとより健康的に痩せられる。ロカボ®と併せて、できる範囲で取り入れてみよう。

食後高血糖を防ぐ「ロカボ®」の基本についてはこちらの記事をチェック:食後の眠気は太るサイン? 脱・食後高血糖 で痩せる理由(TarzanWeb)

ルール① タンパク質を1食20g以上摂る

カロリーになる3大栄養素のうち、アブナい食後高血糖を招くのは糖質のみ。肉類や魚介類などのタンパク質と脂質は減らさなくていい。

糖質は摂れば摂るほど食後高血糖を引き起こすが、タンパク質と脂質は摂れば摂るほど食後の血糖上昇を軽くすることがわかっている。

糖質を減らした分だけ、タンパク質と脂質の摂取は増やすべき。そうでないと、糖質制限=カロリー制限になり、空腹で続かないし、筋肉や骨が減る恐れもある。では、タンパク質はどのくらい摂るべきなのか。

筋肉の減少によるフレイル(虚弱)が危ぶまれる高齢者では、筋合成を促すために、1食当たり20gのタンパク質摂取が薦められる。高齢者以外でも、1食当たり20g以上のタンパク質摂取を目標にしてほしい。

肉類、魚介類、卵、大豆食品、牛乳・乳製品を1日1回摂るように意識していると、難なくクリアできるだろう。

また、間食に食べる嗜好品でも、1食当たり5g以上のタンパク質を含んでいることが望ましい。

タンパク質量の目安
肉・魚 手のひら1枚分(100g)15〜20g
1個6g
豆腐 1/2丁(150g)10g
納豆 1パック(50g)8g
牛乳・豆乳 コップ1杯(200mL)7g
無糖ヨーグルト 1個(100g)4g

5大タンパク源の1食分にタンパク質がどれほど含まれるかを知っておくと、1食20g以上のタンパク質摂取は達成しやすい。加えて一つに偏らず、タンパク源をバラけさせるようにしよう。

ルール② 酸化した脂質・トランス脂肪酸を避ける

カロリー制限では脂質のセーブを求めるが、ロカボ ®では脂質は制限しない。脂質は血糖値を上げず、食後高血糖が生じないからである。それどころか肉類や卵やバターなどの動物性脂質の摂取は、むしろ増やした方が脳卒中などの予防に役立つという話もある。

でも、要注意の脂質がある。それが酸化した脂質トランス脂肪酸

作り置きの揚げ物、紫外線に長期間さらされた干物などに含まれる酸化した脂質(過酸化脂質)は、体内で有害な酸化を進めたり、血管を老化させる動脈硬化を招いたりすると危惧されている。新鮮な脂質を選ぼう。

トランス脂肪酸は牛などの反芻動物でも作られるが、問題なのは人工的に合成されたもの。マーガリン、お菓子に使われるファットスプレッドやショートニングなどに含まれる。

合成されたトランス脂肪酸は、動脈硬化のリスクになると考えられる。1食当たり0.5g未満に抑えたい。

ルール③ 1食で食物繊維を10g以上摂ろう

糖質と炭水化物は混同されやすいけれど、両者はビミョーに異なる。

炭水化物=糖質+食物繊維。ロカボ ®では糖質は減らすが、食物繊維については基準を示していない。食物繊維は消化されない繊維質なので、血糖値を上げないし、食後高血糖も招かないからだ。

だが、食物繊維は、腸内環境を整えるうえでは重要な栄養素。腸管内に40兆個ほども潜む腸内細菌の栄養源となり、発酵により、全身のエネルギー代謝を調整する短鎖脂肪酸などの有益な代謝物を作る。

短鎖脂肪酸は交感神経を刺激して代謝を上げるのだ(詳しくはTarzanWebの記事:体にいいこと色々。腸内細菌が作る「短鎖脂肪酸」とは?)。

ロカボプラスの10g以上という数字は、1日の食物繊維の摂取目標量(男性21g以上、女性18g以上)と、現実の摂取量の差が最大マイナス10gだから。

仮に1日2食でも、1食当たり10gの食物繊維が摂れていれば、摂取目標量をクリアできる。間食用の嗜好品では、1食5g以上の食物繊維を含んでいれば合格。

食物繊維総量の多い食品例 (g/100g当たり)
干しヒジキ 51.8
干し椎茸 46.7
焼き海苔 36.0
ワカメ(乾) 32.7
青汁(ケール) 28.0
ドライトマト 21.7
大豆(乾) 21.5
切り干し大根(乾) 21.3
きな粉 20.8
ラッキョウ 20.7
糸引き納豆 6.7
モロヘイヤ 5.9
アボカド 5.6

ひと口に食物繊維といっても多種多様で、善玉菌にも好き嫌いがある。どれか1種類に絞るのではなく、できるだけバラエティに富んだ種類の食物繊維の摂取を心掛けたい。
出典/食品成分データベース

ルール④ 当該食品から塩分を40%以上カットする

糖質さえ控えていれば、健康に痩せられるわけではない。糖質とともにぜひ控えたいのが、塩分。塩分の過剰摂取は高血圧を招く。日本人の高血圧人口は約4000万人。3人に1人が相当する国民病だ。

そして高血圧は、心臓病、脳卒中、認知症などの誘因でもある。高血圧の予防と改善には、1日の塩分摂取を6g未満にすべき。なのに、日本人は1日10gほどの塩分を摂っている。現状の食生活から、塩分を40%カットする必要があるのだ。

こうした事実から、ロカボプラスは同様の従来品と比べて、塩分40%以上のカットを条件とする。それに倣い、極力減塩食品を選びたい

和食はヘルシーといわれるが、味噌や醬油などからの塩分摂取が多いのが弱点。ご飯やパンや麺類などの主食自体は味わいが淡泊なので、塩分が多いほど箸は進む。カレーやラーメンが好例だ。

糖質を減らせば、塩味に敏感となり、自然に塩分カットできるに違いない。出汁やスパイスなどを効かせて塩味を補おう

ルール⑤ 良質な糖質を摂る。異性化糖を使わない

ロカボ ®は糖質を緩やかに抑える食事法だが、なかでも避けたい糖質がある。異性化糖だ。異性化糖とは、トウモロコシなどのでんぷんをブドウ糖にした後、その一部を酵素で果糖に転換(異性化)したもの。

果糖とブドウ糖が混じり合った甘味料で、食品では「果糖ぶどう糖液糖」とか「ぶどう糖果糖液糖」などと表示されている。製造コストが安く、甘みが強いことから、菓子パン、清涼飲料水、加工食品、インスタント食品、缶チューハイなどに幅広く用いられている。

ところが、異性化糖は肝臓などで中性脂肪に変わりやすく、肥満や糖尿病がある人の割合(有病率)は、異性化糖の使用量に比例することがわかっている。ヤバい糖質なのだ。

甘みの元として代わりに用いるべきなのは、人工甘味料。エリスリトールやキシリトールといった糖アルコール、アスパルテームなどがある。これらの人工甘味料は血糖値を上げないし、安全性も確立しているのだ。

取材・文/井上健二 取材協力/山田悟(食・楽・健康協会代表理事、北里研究所病院糖尿病センター長、医師)

初出『Tarzan』No.841・2022年9月8日発売

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