デスクワーク後の疲れにはコレ。筋肉をゆるめる「マッスルリセッティング」
座業などが長く続くと、姿勢を支える筋肉が硬くなりがちに。筋肉をゆるめる「マッスルリセッティング」を実践して、血液やリンパの流れが改善すれば、疲労の原因にもなる老廃物もスムーズに排出されるはず!
取材・文/オカモトノブコ 撮影/小川朋央 ヘア&メイク/大谷亮治 スタイリスト/高島聖子 監修/中村尚人、黄烟輝
初出『Tarzan』No.827・2022年2月10日発売<br />
中村尚人さん
教えてくれた人
なかむら・なおと/理学療法士として、医療、介護と幅広く臨床経験を積んだのち、ヨガ、ピラティスの国際ライセンスを多数取得。八王子にて〈Studio TAKT EIGHT〉を主宰。
マッスルリセッティングとは?
長時間のスマホ操作やデスクワーク、加齢などの影響で、姿勢を支える筋肉は常に硬直しがち。これを自宅で簡単にケアできる画期的なメソッドが「マッスルリセッティング」だ。開発者である中国医師の黄烟輝(ファンエンキ)さんは、その仕組みをこう説明する。
「筋肉が硬くなって弾力を失うと、強く引っ張られて神経を圧迫します。そこで、テンションがかかった筋肉を物理的にゆるめ、脳がリラックスすると、血液やリンパの流れが改善。疲労や痛みの原因になる老廃物もスムーズに排出されるのです」
実際に行うと、筋肉がフワ〜ッと軽くなり、温かくなるのを感じるだろう。トレーニング前後のコンディショニングとしてもおすすめだ。
「筋肉をリセットして柔軟にしておくと、パフォーマンスは確実に上がります。さらに筋肉を酷使した後に行えば、翌日の筋肉痛が格段に軽くなるのもスゴイところ」(理学療法士・ヨガインストラクターの中村尚人さん)
マッスルリセッティングのやり方
筋肉を寄せる(30秒)
筋肉を骨から「浮かせる」ようなイメージで、ふわ〜っと軽く包むように持ち上げる。続いて筋肉を骨の付着部、または真ん中にスライドさせるように軽く、優しく寄せて30秒キープ。このとき、ゆるめたい側の筋肉をしっかり脱力させておくことも大切。
優しくゆらす(10往復)
筋肉をそっと持ち上げたまま、皮膚を優しく10往復ゆらして筋肉に振動を与える。速度は1秒につき2往復が目安。強くつかんだり、ギュッと引っ張るのは厳禁!
① ふくらはぎ
歩行や血流促進に欠かせない筋肉をリセット。
- 筋肉を寄せる:ふくらはぎで盛り上がった部分の両脇を両手で優しくはさみ、手前にそっと引く。真ん中に筋肉を寄せて30秒キープ。
- 優しくゆらす:両手で左右に優しく10往復ゆらす。反対側も同様に。
② 肩後面
- 筋肉を寄せる:腕を斜め前に出して肘を机などに乗せ、首を同じ側に傾けて肩の筋肉を優しくはさみ、首の付け根に30秒寄せる。
- 優しくゆらす:皮膚を優しく10往復ゆらす。反対側も行う。
③ 肩前面
猫背や巻き肩の原因をリセット。
- 筋肉を寄せる:前かがみで腕を脱力させ、脇の前側にある筋肉を優しくつかみ、(①-1)肩の方向、(①-2)鎖骨の真ん中に向かって寄せ、各30秒キープ。
- 優しくゆらす:筋肉をつかんだまま上下に10往復ゆらす。反対側も同様に。
④ 首
板状筋は頭の重みを支え、スマホやPC操作で緊張しやすい筋肉。
- 筋肉を寄せる:首の付け根にある両サイドのくぼみに3本指を当て、頭をやや後ろへ倒す。指の腹で皮膚を優しく浮かせるように上へ寄せて30秒。
- 優しくゆらす:上下に10往復ゆらす。
⑤ 背
背骨全体を両側から支える筋肉群がターゲット。
- 筋肉を寄せる:両手を軽く握り、拳の背を腰の背中側で盛り上がった筋肉に当てる。背中を軽く反らし、拳に寄りかかるように皮膚を優しく上に寄せて30秒キープ。
- 優しくゆらす:上下に10往復ゆらす。
⑥ 腰
骨盤と肋骨をつなぎ、背骨を側屈・伸展させる筋肉。
- 筋肉を寄せる:腰のくびれを手で挟み、上体を同じ側へ軽く倒す。親指に当たる筋肉のふくらみを指の腹で斜め上に寄せ、30秒キープ。
- 優しくゆらす:同じ方向へ10往復ゆらす。反対側も行う。
⑦ 足
立ち姿勢や歩行を支える微細な筋肉群の硬直をほぐす。
- 筋肉を寄せる:足裏の真ん中で、押すとややくぼむ部分の両脇約2cmに親指の腹を当て、中央に優しくスライドして30秒キープ。
- 優しくゆらす:それぞれ左右に10往復ゆらす。反対側も同様に。