何をどれだけ食べる? 「痩せたい人」のPFCVバランス
気にするべき食事の栄養素「PFCV」について、こちらの記事(気にすべき食事の基礎「PFCV」を解説)で紹介した。今回は、いわゆる“痩せたい願望がある人”のためのPFCVバランスの実践法をお伝えする。
取材・文/井上健二 撮影/小川朋央 イラストレーション/渡邉唯 監修・調理/河村玲子(管理栄養士)
初出『Tarzan』No.819・2021年9月22日発売
手のひらが「痩せるPFCV」を教えてくれる
贅肉を落としてカラダを絞りたいなら、どんな食事がベストなのか。
従来は脂質を減らすのが近道とされてきたが、PFCVで考えると、初めに減らしたいのは、糖質。糖質を摂りすぎると、体脂肪を合成するインスリンの分泌が促されるし、食欲が乱れて過食しやすいからだ。
「糖質は1食当たり40g以下にすると効果的。糖質が多いご飯やパンといった主食を控えめに食べましょう」(管理栄養士の河村玲子さん)
糖質を減らして終わりだと、カロリー不足に陥り、筋肉が減って代謝が落ちる。カット分を他で補う必要があるが、その第一選択肢はタンパク質。タンパク質なら多少摂りすぎても体脂肪に変わる心配はないし、運動で筋肉が消耗するのも防げる。
脂質も、糖質を減らした分のカロリーを補うため、適度に摂取する。
そしてV(ビタミン・ミネラル・食物繊維)の供給源となる野菜や海藻などはちゃんと食べる。運動をするとビタミンやミネラルは消費されて欠乏しやすいし、ビタミネが足りないと体脂肪も燃えにくいからだ。
本来、体格に応じて適正な摂取カロリー量は変わるし、適切なPFCVの摂取量も変わる。ここでは誰でも簡単にカスタマイズできるように、体格とリンクする手のひらのサイズを基準としてPFCVのボリュームを決めるやり方を提案する。ぜひ覚えて実践してもらいたい。
P=タンパク質の1日の目安量
タンパク質は1日に体重1kg当たり2.0gを摂取。肉、魚、卵、大豆食品、牛乳・乳製品という5大タンパク源を1日で網羅する。
肉では牛肉や豚肉の赤身、鶏胸肉、魚では鮭、タイなどのように脂質が少なめで、それだけタンパク質含有量が多いものを選ぶ。それでも足りない分は1日1回、プロテインで補う。
F=脂質の1日の目安量
肉などの動物性のタンパク源から飽和脂肪酸で脂質を摂っているので、バターのように飽和脂肪酸が多い油脂の摂取は控える。調理にはオリーブオイルやゴマ油といった飽和脂肪酸を含まない植物油を用いる。
ミックスナッツは脂質以外にビタミン、ミネラル、食物繊維といったVの供給源となる。食間に摂ろう。
C=糖質の1日の目安量
主食に多く含まれる糖質の摂取を減らすのがポイント。主食は1食当たりおにぎり1個分(ご飯茶碗小盛り)、1日で計3個分が上限だ。
おにぎり1個分の糖質は、食パンなら6枚切り1枚半、パスタやそばなどの麺類は半人前が目安となる。主食以外にも糖質を多く含むお菓子、イモ類、甘い果物も極力避けたい。
V=ビタミン・ミネラル・食物繊維の1日の目安量
緑黄色野菜
淡色野菜+きのこ+海藻
Vは野菜、きのこ、海藻から。なかでも栄養価が高い緑黄色野菜は片手のひらカップ2杯分摂りたい。
淡色野菜などは、生なら両手のひらカップ、加熱したものはカサが減るので片手のひらカップが基準。だが緑黄色野菜は加熱してもカサが減りにくいので、片手のひらカップで手ばかりする。