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心得るべきはたったの8つ。カラダを絞るための「食事 八か条」

「食事」はカラダを肥やす原因にもなり得るが、コンディションを絶好調に保ち、カラダを絞るための起爆剤にもなる。今日から心得るべきはたった8つだ!

今日から取り入れたい八か条。

こちらの記事(『カラダを絞るための「食事と運動」の基本戦略』)でどんな栄養をどれだけ摂るべきかを把握したら、次に着手したいのが食生活の見直しだ。世には栄養やダイエットに関する情報が溢れ返っているものの、カラダを絞って脱げる状態に仕上げるために、今日から心得るべきはたった8つ。これらを念頭に現在の食生活をアップデートしよう。

その1|カロリーの帳尻合わせ、なんとかなるのは気分だけ。

カロリーの帳尻合わせ、なんとかなるのは気分だけ

1日3食のうち2食をセーブして1食で3食分のカロリーを摂る。これではますます痩せづらくなる。

もちろん1日の総摂取カロリーの適正値を守ることはカラダを絞る上での大原則。トータルカロリーの上限内でストレスフリーに食事制限を続ける方法はないものか? そう考えて、気忙しい朝と昼の摂取カロリーを極力抑えて、浮いた分を夕食で摂り溜めするのは絶対にダメ

日中の空腹で血糖値が急降下した後で夕食で過食すれば、血糖値の急上昇は必至。さらに翌朝胃もたれで食欲が湧かず朝食を軽めに…と負の連鎖に陥ることも目に見えている。

朝>昼>夜と食事量に極端に差をつけるのも推奨できない。夕食の“一点集中”と同様に血糖値スパイクのリスクが高まるうえに、空腹により筋分解が進めば基礎代謝が低下。またカラダが飢餓状態になる分、次に摂る栄養を吸収しやすい状態に。3大栄養素を各食事で均等に摂るのがセオリーだ。

その2|優雅なコーヒーブレイク、しわ寄せを食らうは筋肉。

0016-1優雅なコーヒーブレイク、しわ寄せを食らうは筋肉

作業中の手を休めて楽しむドリンク休憩は癒やしのひととき。そこで、減量中だからとカロリー、糖分、脂肪が限りなく少ないブラックコーヒーを選んでも、それがカラダを絞るための最適解とはいえない

適度に筋肉がついて引き締まったカラダになるには、カロリー制限だけでなく血糖値コントロールが必須。糖質を一定のスパンで少量ずつ摂取することで、血糖値の変動幅を80〜120と低めの水準に保つのが絞るうえでは理想だが、ブラックコーヒーでは糖質補給は当然叶わない。

同時に配慮すべきは血液中のアミノ酸濃度。糖質や脂質などのエネルギー源が不足すると血液中のアミノ酸が栄養として使われてアミノ酸濃度が低下し、筋分解が起こる。無糖のコーヒーを選んだのが裏目に。

コーヒーを糖質入りの飲み物に置き換えて、ちびちび飲むのがベスト。おすすめは栄養が枯渇しやすい昼食後〜夕食に500mLのオレンジジュースを5時間かけて飲み切ること。これにアミノ酸のサプリメントを足せばなおヨシ。

その3|水を飲まない発言とは、脂肪を燃やす気ない宣言。

水を飲まない発言とは、脂肪を燃やす気ない宣言

味がしないから水はあんまり、と思っているとすれば、それは代謝アップを諦めているのとほぼ同義だ。

代謝とは脂肪燃焼を含めたエネルギーの発生や栄養の消化吸収、細胞の再生などの体内の化学反応を指すが、これらを行ううえで水は必要不可欠。例えば脂肪燃焼は細胞のミトコンドリアで行われるが、脂肪や老廃物が運搬されるのも細胞内外に存在する水が媒介となっている。

また、糖や脂肪などの摂取した栄養や細胞の再生に不可欠な酸素などは血液を媒介にして運ばれる。水を加えることで反応を変える「加水分解」という現象で脂肪の代謝もスムーズに行われるのだ。つまり水もない体内砂漠状態では起きる反応も起きない。

喉の渇きを感じた時点で体内の水分がすでに2%も損なわれているといわれる。慌ててがぶ飲みしたり常に水でお腹をタプタプにするのはやり過ぎだが、500mLの飲料水を携行して食事中以外もコンスタントに水を飲むという習慣によって、その他のカラダを絞るための努力が初めて実る、と言っても過言ではない。

その4|運動後のプロテインは一流。+αの糖質補給は超一流。

運動後のプロテインは一流。+αの糖質補給は超一流

『ターザン』でも再三伝えてきた、運動後の栄養補給の重要性。運動後のプロテインを習慣とする読者は多いはずだ。では糖質は? 絞りたい人ほど「せっかく動いたし太りそうな糖質は摂りたくない」とのこだわりから、プロテインだけで済ませたがる傾向も。でも正解はその真逆だ。

筋トレによって筋肉を構成する組織の一部が損傷するが、その回復にはエネルギー=糖質がマスト。このリカバリーが十分になされなければ、相応の効果は見込めない。

甘みのあるプロテインには糖質が含まれているが、筋肉をつけたい人には十分量でない場合もあり、プロテインと一緒に必要量の糖質を摂りたい。運動後に必要な糖質量は体重(kg)×0.4〜0.6(g)が目安。体重70kgであればバナナ1本程度だ。

また働き世代には仕事終わり&夕食前に運動する人も多いはず。そこで空腹でエネルギーが枯渇したまま一所懸命に動くと筋分解が起こるため、やはり糖質補給が必要。目先の数値の減少を喜ぶ前に代謝ダウンを深刻に捉えるという思考に改めたい。

その5|そら来た停滞期! おにぎりチートで突破せよ。

もう来た停滞! おにぎりチートで突破せよ

ウンザリな停滞期の原因は主に糖質不足。そもそも停滞期とは減量が一定期間進んだ段階で体重の減少が止まる期間のこと。1日の目安となる糖質の摂取量を上回るのは論外だが、摂取量より下回れば、カラダの状態を一定に保つべく恒常性が働く。なかにはダイエット開始2週間ほどで停滞期に突入するケースもある。

そんな時、カラダに「飢餓ではないですよ(減量中なんですよ)」と告げるツールとなるのがおにぎり。注意すべきは血糖値スパイクを起こさない工夫。個人差はあるが、およそ食後血糖値が80〜120の一定範囲を越えると、血中の糖分を脂肪に変換するインスリンが過剰に分泌される。

そこで重要なのがおにぎりのサイズ。コンビニのものは1個100g前後だが、血糖値を思えば1個70g程度が理想。これを2〜3個、それまでの食生活の間食に3日程度追加すれば、再び軌道に乗りやすい。

これが本来のチートデイの正しいあり方。ここぞとばかりにピザやカツ丼、アイスなどの脂質×糖質を堪能すれば、THE END。要注意。

その6|食材に手が加わる、腹まわりに贅肉も加わる。

食材に手が加わる、腹まわりに贅肉も加わる

糖質以上に摂取量の調整に手間がかかるのが脂質。高脂質な食材は例外として、オイルや食材中の脂質は一目見て分かりづらい分、自分が摂った量を把握するのが大変。食材の正体が分からないものほど得体が知れず、見て見ぬふりで食べれば、カラダが贅肉に包囲されるのがオチ。

そういう意味では自炊したものを食べるのが最も早いが、そうすぐには変えられない人も多いだろう。だから外食や中食で何を選ぶか、その判断基準は“素材そのものを活かしていて、調理がシンプルそうか”。飲食店のメニューやスーパーの惣菜には家庭料理以上に油を用いるケースが多々。

よってどうしてもガツンと食べたい時は、揚げ油×小麦粉の衣をまとった揚げ物でなく赤身肉のステーキ。中華料理店に行く日は、皮付きでジューシーな鶏もも肉が入った炒め物より蒸した鶏胸肉を使用するよだれ鶏。惣菜コーナーで副菜を買うなら、ゴマ油で軽く炒められたナムルよりホウレンソウのおひたし。見極める力を養うには時間がかかるものの、手堅い知恵となる。

その7|シンプルな銀シャリより具だくさんの炊き込みご飯。

シンプルな銀シャリより具だくさんの炊き込みご飯

炭水化物の一品ものを好む人ほど、いざ食事改善に励むとなると、カロリーを抑えるべく具材の少ないものを選ぼうとするかもしれない。塩にぎり、もりそば、そうめん、フランスパンに少々のオリーブオイル…だが残念ながら、この努力は逆効果

ほぼ炭水化物で構成されたこれらをあーんと頰張れば、またも血糖値が急激に上がる。カラダに与えるインパクトをなるべく減らすには、多少カロリーが上がったとしても、白ごはんでなく鶏肉やきのこ、ゴボウなどのタンパク質食物繊維も一緒に摂れる炊き込みごはんがベター。

同様に、もりそばよりも山菜そば、そうめんでなく中華そば、フランスパンにハムとレタスを追加で挟むだけで血糖値コントロールには大きな違い。嚙む回数が増えて消化吸収にもよく、栄養の“ちょい足し”にもなるため選ばない理由はない。

カロリー云々でなくどうしても炭水化物そのものを味わいたい…。それなら、せめて汁物や野菜系の副菜を添えるなり食前にプロテインドリンクを飲むなりして血糖値対策を。

その8|ささみ×ブロッコリーはビルダーでも最終奥義。

ささみ×ブロッコリーはビルダーでも最終奥義

ビルダーの定番、鶏のささみ×ブロッコリーは高タンパク、低脂質、ビタミン豊富の三拍子が揃う究極のトレメシ。だが、自分向きかと聞かれれば、果たして? なんとか絞らねばと食事をささみ×ブロッコリーに切り替えて体型が変わったとしても、停滞期が来たらこれ以上の絞り食材がない。手詰まりだ。

たくさんの情報にアクセスできる時代。絞るためにはどんな食事を摂るべきか、情報はすぐに手に入るため、いきなり厳しいものに手を出しがちだ。しかしまずは牛肉で脂を減らす、ドレッシングをノンオイルから始めるなど、ユルく質を変えることがカラダにもココロにも寛容だ。


ここまでカラダを絞るための「食事八か条」を紹介したが、無理は禁物。一気に頑張ると挫折しがちなので、できることから着手して、停滞したら次の一手を繰り出すという方が建設的。この八か条でも、一度に全てを始めないなら、水をこまめに飲むことからでOK。あるいはこの八か条を頭に叩き込むことからでもいい。

あくまで他人の成功例は一例と捉えて、自分のできることから一つずつ実践していこう。

取材・文/門上奈央 イラストレーション/世戸ヒロユキ 取材協力/白戸拓也(フージャース ウェルネス&スポーツ)、神戸貴宏(Studio Ask代表)

初出『Tarzan』No.813・2021年6月23日発売

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