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“スリップインするだけ™”じゃない!《スケッチャーズ スリップ・インズ》快適学。
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短期間でスルスルと体重が落ちた場合、実はそのほとんどは体内の余分な水分が抜けたせい。悩ましいむくみにも体内の水分が大きく影響している。必要な水分と取り除くべき水分についてとことん知ろう。
目次
ダイエットを始めた直後、順調に体重が落ちたからといって、それは脂肪減とは限らない。というか脂肪が減っている確率は低い。
食事を減らすにしろ運動を取り入れるにしろ、短期間でスルスルと体重が落ちた場合、そのほとんどは体内の余分な水分が抜けたせい。
一朝一夕で体重が変化するほど体脂肪は分解しないし燃えない。体重の約60%を占める流動性の高い水分がまず減り、次に真の内臓脂肪減がスタートするのだ。
3日間糖質をオールカットしたら2キロ痩せた。万歳! サヨナラ内臓脂肪! これ、カン違いも甚だしい。前述したようにダイエット初期の体重減は水分が抜けることに由来している。しかも極端な糖質制限ダイエットの場合、その脱水が加速する。メカニズムは以下の通り。
筋肉や肝臓にはグリコーゲンという形で糖質が温存されている。血糖値コントロールや運動時のエネルギー源としての備蓄だ。これらグリコーゲン1個の分子には水が3〜4倍結合している。だから、筋肉や肝臓は水分をたっぷり含んでみずみずしい。糖質制限でグリコーゲンが減ると、水分も同時に減ってカッサカサ状態になってしまうのだ。
過剰な糖質制限によって筋肉も肌もカサカサシワシワ。これは明らかに見た目にもカラダ的にも不健康。なので、ダイエットで最初に減らすべきはグリコーゲンにくっついている水分ではなく、それ以外の水分ということになる。
体内の水分は成人男性で体重の約60%。このうち、血漿以外の血液など細胞内に存在するものを「細胞内液」、血漿や組織間液など細胞の外にあるものを「細胞外液」という。60%のうちの40%は細胞内液、20%は細胞外液が占めている。
まず減らしたいのは、このうちの細胞外液。左の模式図のように細胞外液が過剰に溜まった状態が、いわゆるむくみ。正月明けで脚や顔がパンパンに張っていた人、要注意。
体内の水分は常に循環していて、1日に失われる水分は約2.5L。排尿・排便で約1.6L、呼吸や発汗によって約0.6Lが毎日体外に排出される。これに対して差し引きゼロの水分が適正な摂取量。
体内で作られる水分が約0.3L、食事から1L、飲み物から1.2Lで計2.5L。1日2〜3Lの液体を飲むという人は過剰摂取でむくみに繫がりやすい。運動不足で発汗しないならなおさらだ。
さらに、塩分過多の食事もNG。細胞外液にはナトリウムが多く、細胞内液にはカリウムが多い。ナトリウムが過剰になると浸透圧で水分が細胞外液に引っ張られるからだ。また、水分を引き寄せる糖質、甘いものの摂り過ぎもむくみの原因に。
朝は菓子パン、昼は牛丼、夜は最後のスープ一滴までラーメン完食。糖質過多、塩分過多のこうした食生活を続けると水分を溜め込み、むくみはもちろん、血液量が増すことで高血圧が促される。これ以外に骨という意外な部位にもダメージが。
カルシウムはその99%が骨や歯を形成し、残りの1%は血液中で筋肉や神経の働きを促したり、ホルモン分泌や血液の凝固作用などを担当している。また、細胞の内外を行き来して、水分の出入りをモニターするというのも仕事のひとつ。よって味の濃い食事で細胞外液や血液量が増すことでより消費され、不足分は骨から溶け出し補充される。
むくみを招くような食生活で骨が脆くなるという、ちと怖い話。
まず、濃い味つけのものを口にする機会を減らすこと。ラーメンのスープは残し、醬油やソースをやたらドバドバかける習慣は即、禁止。
自粛モードで運動不足になりがちな生活では発汗による水分排出も滞りがち。外出先で階段を見かけたら上れとは言わない、せめて下りよう。着地の衝撃が骨の強化を促すので一石二鳥だ。運動がどうしてもイヤという人は、入浴時バスタブにじっくり浸かって発汗を狙うべし。
バナナや野菜類などナトリウムの排出作用が期待できるカリウム豊富な食材を摂ることも有効。飲酒翌日のむくみ対策としてはアルコール代謝に必要な水を同時に飲むこと。さらに夜の炭水化物を若干減らせば、水分排出は完璧だ。
取材・文/石飛カノ イラストレーション/橋村実里 取材協力/石川三知(管理栄養士、Office Lac-U)
初出『Tarzan』No.802・2021年1月4日発売