ジムトレの理想は、最小限の努力で、最大の成果が出るプログラム。そこで初心者に指導することも多い〈ゴールドジム北千住東京〉の店舗責任者・及川隆寿さんに、1回60分のベストメニューを考えてもらった。
「60分なら、筋トレと有酸素運動を約30分ずつ行いましょう」
筋トレと有酸素をまとめてやるなら、筋トレ→有酸素の順に行う。すると、筋トレの刺激で分泌された成長ホルモンの働きで体脂肪の分解が促されるから、分解した体脂肪を有酸素でスムーズに燃やせるようになる。
前後のウォーミングアップとクーリングダウンもお忘れなく。筋トレ前は、有酸素マシンで5分ほどカラダを温めて、終了後はストレッチで使った筋肉をケアしよう。
【筋トレ】ジムマシン四天王を攻略せよ!
筋トレは、どこのジムでも見かける4大筋トレマシンで主要な筋肉を強化する。
4大筋トレマシン
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① レッグプレス
効く部位
- 太腿表側(大腿四頭筋)
- 太腿裏側(ハムストリングス)
- お尻(大臀筋)
② チェストプレス
効く部位
- 胸(大胸筋)
- 肩(三角筋前部)
- 上腕外側(上腕三頭筋)
③ ラットプルダウン
効く部位
④ アブドミナル
効く部位
基本に立ち返ると、弱った筋肉を元気に肥大させるには、一度に10回続けるのが精一杯という重たい負荷が最適。これを10RMという。この10RMで限界まで10回行い、60秒程度のインターバル(休息)を挟んで3セット行うのが王道だ。
「10RMは一人ひとり違う。軽めのウェイトから試し、徐々に重たくしながら、自分なりの10RMを見つけてください」
ただいきなり10RMでやるのは辛いから、その半分以下の重さで5回ほど行い準備を整える。筋トレは、下半身→上半身→体幹の順に行う。いちばん重たい負荷をかける下半身を優先し、先に鍛えると疲れてフォームが乱れる体幹は最後に。消去法で、上半身は下半身の次となる。
① レッグプレス
幕開けはレッグプレスから。運動不足だと、真っ先に衰えやすいお尻や太腿など下半身の筋肉が、まとめて鍛錬できる。重要なのは、スタート姿勢の膝の角度と、両足をプレートに置くポジション。経験者でも正しくできている人は少ないから、再度チェックしておこう。
膝の角度が浅すぎると股関節の動きが小さくなり、お尻の大臀筋や、太腿後ろ側のハムストリングスに効きにくい。また足をプレート下部に置くと、膝中心の動きになり、太腿前側の大腿四頭筋ばかりに効いてしまう。
「膝が90度より少し深く曲がるように調整し、プレートの真ん中に両足を置くと、太腿もお尻もバランスよく発達します」
【準備】
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シートの傾きを決める。
シートを80度程度後ろに傾ける。シートは立てすぎても、倒しすぎても、初心者はやりにくい。
シートの位置を決める。
片足をプレートの真ん中に置き、膝が90度より少し深く曲がるポジションに、シートを前後させる。
ウェイトを調整する。
一度に10回反復するのが精一杯という重さを選ぶ。
【実践】(10回×3セット)
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シートに坐り、プレートに両足を置く。
- シートに深く坐り、お尻から肩までシートにつけて背すじを伸ばす。
- プレートの真ん中に、踵の間隔を肩幅に開いて両足を置く。爪先を少し外側に向ける。
- 両手に左右のハンドルを握る。
両足でプレートをまっすぐ押す。
- 膝が伸び切る一歩手前まで、両足でプレートをまっすぐ押す。
- ブレーキをかけながら、元の姿勢に戻る。
【NG】
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膝が丸まる。
お尻をシートに押し込み、腰を伸ばしておく。腰が丸まると腰(腰椎)を痛める恐れがある。
膝が内側に入る。
膝の向きを爪先と一致させる。膝が内側に入るニーインが起こると、膝を痛めることがある。
膝を完全に伸ばし切る。
膝は伸び切る一歩手前で寸止めする。膝を伸ばし切ると、膝の靱帯を痛める恐れがある。
② チェストプレス
続く上半身は、チェストプレスとラットプルダウンの2種目。チェストプレスは、胸、肩、上腕外側という上半身の気になる部位に効く。逆三体型の基礎をデザインする必修科目だ。
チェストプレスをより効かせるには、レッグプレスと同じように、スタート前の丁寧なセッティングが求められる。
「胸の大胸筋は大きい筋肉です。腕を下ろしたとき、グリップが肩と肘の中央に来るようにシートの高さを調整して坐ると、大胸筋が満遍なく鍛えられます」
さらに、横から見たときにグリップと胸のトップが一致するように坐ると、可動域(関節が動ける範囲)が広がり、全体的なトレーニング効果もアップ。
【準備】
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シートの高さを決める。
腕を下ろした際、グリップが肩と肘の真ん中の高さに来るように、シートの高さを合わせてから坐る。
シートの前後位置を決める。
深く坐ったとき、グリップの位置が胸のトップと一致するように、シートを前後に動かす。
ウェイトを調整する。
一度に10回反復するのが精一杯という重さを選ぶ。
【実践】(10回×3セット)
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シートに腰掛けてグリップを握る。
- お尻から肩までをシートにつけて深く坐る。
- 左右のグリップを握り、手の甲と肘の高さを合わせる。
- 左右の肩甲骨を寄せて胸を張り、肩を下げる。
グリップをまっすぐ押し出す。
- 肘が伸び切る寸前まで、グリップを正面に押し出す。
- ブレーキをかけながら、元の姿勢に戻る。
【NG】
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肩を出さない。手首を返さない。
肩が前に出ると、可動域が狭くなり、効果が落ちる。手首を返しすぎると、手首を痛めやすくなる。
肩をすくめない。
シートを前に出しすぎると、肘と肩が上がりやすく、それぞれの関節のダメージとなる恐れがある。
③ ラットプルダウン
自宅で鍛えにくい背中は、ジムでぜひ鍛えておきたい場所。ジムなら背中を鍛える方法はいろいろあるが、一つだけ選ぶなら、ラットプルダウン。腰から腕へ延びる広背筋という大きな筋肉を狙い撃ちにする。
「広背筋は、背中に広さと厚みを演出してくれる筋肉。男性なら後ろから見ても逞しい逆三体型がアピールできますし、女性が背中を広くするとウェストのくびれが強調できます」
ここで紹介した他のマシンと違い、ラットプルダウンは、バーの選択から始まる(マシンによって固定されたバーを引くものもある)。両端が曲がったベントラットバーなら、手首にかかる負担が最小限に抑えられる。
【準備】
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バーを選んで付ける。
両端が曲がったベントラットバーを選び、バーの中央をケーブル末端のカナビラに付ける。
太腿パッドの高さを決める。
坐ったとき、骨盤がしっかり固定できるように、太腿を上から密着固定できる高さにパッドを動かす。
ウェイトを調整する。
一度に10回反復するのが精一杯という重さを選ぶ。
手幅を決める。
まっすぐ立ち、両腕を真横に伸ばしてから、両肘を90度に曲げた手幅でバーを握る。
【実践】(10回×3セット)
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バーを握って坐り、胸を張る。
- 決めた手幅でバーを握る。初心者は親指を回すサムアラウンドグリップで握る。
- バーを引き寄せながら、太腿上部をパッドに押し当てて坐る。
- 背すじを伸ばし、胸を軽く反らし、目線をやや上に向ける。
バーを鎖骨の下まで引き下げる。
- 肘と肩を同時に下ろしながら、バーを鎖骨のやや下まで引き下げる。
- ブレーキをかけながら、元の姿勢に戻る。
【NG】
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背中が丸まり、肩が上がる。
背中が丸まったり、肩が上がったりすると、肩甲骨の動きが制限されて効果がダウンする。
上体を後ろに倒す。
上体を後ろに倒しながらバーを引くと、狙った広背筋などとは違う腰背部の脊柱起立筋に刺激が逃げてしまう。
④ アブドミナル
仕上げは、体幹のキモとなる腹部。定番はクランチやシットアップなどの上体起こし。ジムには専用のベンチもあるけど、どうせならマシンで鍛えよう。
アブドミナルを使うと、腹筋(腹直筋)だけにピンポイントで刺激が入る。自体重を用いる上体起こしなら、連続で50回以上できるという強者でも、アブドミナルなら、3セット30回でしっかり効かせられる。上体起こしを延々とやり続けるのは飽きるものだが、アブドミナルならサクサク終わるからラク。
「10RMよりも少しだけ軽めの負荷で1回ずつゆっくり確実に行うのが効果的。股関節をまったく使わずに、背中(腰椎)だけを曲げるのがコツです」
【準備】
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シートの高さを決める。
マシンの回転軸(ピボット)とヘソの高さを合わせるように、シートの高さを調整する。
ウェイトを調整する。
一度に10回反復するのが精一杯という重さを選ぶ。
【実践】(10回×3セット)
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シートに坐り、ハンドルを握る。
- シートに深く坐り、肘をパッドに乗せ、ハンドルを両手に握り、お腹を伸ばす。
- フットパッドに足首をかけ、股関節を固定する。
お腹を見るように背中を丸める。
- お腹を見るように、腹筋をできるだけ縮めて背中(腰椎)を丸める。
- 限界で一度止めてから、ブレーキをかけながら元の姿勢に戻る。
- 下半身から力あを抜いて、股関節を動かさないようにする。
【NG】
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背中がシートに固定されない。
背中がシートから離れたり初めの位置からズレたりすると、お腹に刺激が入りにくくなる。背中はシートに密着。
坐る位置が浅すぎる。
浅く坐ると腰や膝を痛めやすい。深く坐るとうまくできない場合、背中のスペースを埋める補助パッドを当てる。
【有酸素】マシントレ→有酸素運動で体脂肪を効率的に燃やす。
筋トレに引き続いて有酸素運動を。エリプティカルトレーナー、トレッドミル、バイクという3つの有酸素マシンから好きなものをセレクトし、25分ほど行おう。
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A|エプティカルトレーナー
ストレスなく豊富な運動量を確保。
エリプティカルは“楕円形”という意味。円運動をする自転車と違い、ペダルが楕円を描いて動くことに由来するネーミングだ。着地衝撃を抑え、ランに匹敵する運動量が確保できる。
他のマシンと異なるのは、前述のように、下半身プラス上半身の動きを伴う点。両手にスティックを持って滑るクロスカントリースキーをイメージして、快適な汗を流そう。
B|トレッドミル
傾斜をつけたウォーキングから。
有酸素マシンではもっともポピュラー。体脂肪燃焼効率も高いが、走ると着地時に体重の2〜3倍の衝撃が加わるのが難点。初めはあえて走らず、着地衝撃が少ないウォーキングを行おう。
トレッドミルは傾斜と速度が自在に変えられる。傾斜を5%ほどつけ、男性で時速5.5km、女性で時速4.0km前後に設定すると、体脂肪燃焼に適した心拍数で歩き続けられるだろう。
C|バイク
股関節から大きくペダリング。
バイクもエリプティカルトレーナーと同様に着地衝撃がなく、カラダのダメージは少ない。
通常の自転車のようにサドルに跨がって漕ぐアップライトタイプと、背もたれのある椅子に坐って漕ぐリカンベントタイプがある。腰に痛みがなければ、アップライトタイプで。股関節から大きく動けてより多くの筋肉を動員できるので、たくさんのカロリーが消費できるのだ。
「イチ押しは、エリプティカルトレーナー。着地衝撃がなく、足首や膝の負担が抑えられます。下半身だけでなく上半身も使いますから、消費カロリーが多く稼げるのも嬉しい点です」
いずれのマシンも心拍数を測って行うと、最適なペースがわかって効果的。心拍計がなくても、ハンドルにセンサーが内蔵されており、握るだけで自動計測してくれるタイプが大半だ。体脂肪燃焼に適した年代別の心拍数の目安を下表に掲げたので、参考にしてほしい。