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腹を割るなら、腹直筋を狙った2種目のトレーニングをマスターしよう

割れた腹とは、腹の主要な筋肉「腹直筋」の凹凸がある状態。縦方向に広がる腹直筋を網羅的に鍛え上げるには、上部と下部に分けて2種目でトレーニングするのが確実だ!

自体重のフッキンで陰影のある腹をつくる

食生活の見直しにより腹筋を覆う皮下脂肪が薄くなり、ドローイン(詳しくはこちらの記事:フッキンの効果を上げるための「ドローイン」虎の巻)にも慣れてきたら、次のステップへ。

「“腹筋はキッチン(食事)でつくられる”とはアーノルド・シュワルツェネッガー氏の名言。そこからさらに筋トレで腹筋を鍛えることで、圧倒的な厚みと深いカットを兼ね備えた最強の腹が手に入ります!」

と日本体育大学の岡田隆准教授は語る。正しいやり方を覚えれば、自体重でも腹は絶対に割れるし、やるべきこともいたってシンプルだ。

腹を割る前に知っておきたい、腹筋の構造

いざ筋トレ? 急がば回れ、まずは腹筋について深く知ることから。

「割れた腹を言い表す時“シックスパック”と呼ぶ人が多いですが、これは腹直筋の造形を表す言い方でもあります。実際、腹筋は複数の筋肉からなり、見た目に直結するアウターマッスルには腹直筋に加えて腹斜筋も大切なパーツといえます」

腹筋の構造

腹直筋/肋骨から恥骨にかけて位置。腹筋群の真正面、ひいては上半身のセンターに位置しており、割れた腹を印象付ける鍵となる筋肉。背骨を屈曲させる動作に関わるため、強化するには筋トレの際に上体を丸め切り、ブロックの一つひとつを“つぶす”意識が重要だ。

腱画/通称ヨコ線。腹直筋の表面から深い部分にかけて走る3本の腱で腹直筋を区切り凹凸を際立たせる。遺伝的な要因から腱画の配置には個人差があるといわれ、それゆえに鍛え上げたシックスパックのブロックに大小が生まれたり、左右の腹筋が段違いにズレるケースも。

白線/通称タテ線。胸骨から恥骨まで延び、腹直筋を左右に区切る紐状の結合組織。ここを介して片方の外腹斜筋ともう片方の内腹斜筋が連結している。腱画と同様、長さや配置は人それぞれ異なるため、フッキンで白線と腱画のどちらが先に浮き彫りになるかは各人各様。

腹斜筋/脇腹を覆う外腹斜筋と深層にある内腹斜筋の総称。見栄えに直結するのが外腹斜筋上部。強化するとナナメ線が多数入り腹直筋のハイライト効果を狙える。外腹斜筋下部は下半身を捻る動作に関わる。発達するとくびれが目立ちにくくなるので、さじ加減の見極めを!

ドローインで使うインナーマッスルの腹横筋もその一部。他の筋肉と比べても複雑な構造だ。

「腹直筋と腹斜筋はいずれも縦に長いことが特徴的です。腱画が走っていて細かいブロックに分かれる腹直筋は、上体を丸めるという動作でも上部と下部で筋肉にかかる負荷に差が出やすく、鍛え分けるときれいに仕上がります。腹斜筋は腹直筋とは違って一本の長い筋肉です」

姿勢のクセや関節まわりの可動性により、同じフッキンの種目でも成果が出る順番は人それぞれ違う。

「そもそも白線や腱画の長さや配置にも個人差があるゆえに、シックスパックの形は百人百様なのです」

人目を引くシックスパックのつくり方

トレーニーの象徴ともいえる腹筋、仕上がりにもこだわりたいもの。

「人により“表情”が異なる腹筋は、言うならば天からのギフト(笑)。腹直筋のブロックの数がいくつであれ左右非対称であれ、凹凸がしっかりと隆起した腹筋は無条件にかっこいい。その前提のうえで言えるのは、腹筋群全体を網羅的に鍛えた方が見栄えがするということです」

腹を割ると決めた多くの人が最初に着手するのは腹直筋であろう。

「腹直筋を鍛えつつ、さらに腹斜筋を強化して腹にナナメ線が入れば、センターにある腹直筋の存在感が強調できます。またドローインで使った腹横筋はコルセットのようにウェストを細く保つのに有効。凹凸に直接関与する筋肉ではありませんが、ここを強化しておくことで見た目の印象は大きく変わります」

かくも奥が深い腹筋。次は、主役級の存在感を放つ腹直筋を狙った2種目を攻略していこう。

「腹直筋の上部から下部まで満遍なく割れたら、“ガチで鍛えている”という印象につながりますよ!」

上部&下部を2種目で鍛える

割れた腹=腹直筋の凹凸がある状態。まずは平らな腹から腹直筋を“掘り起こす”作業から始めよう。縦方向に広がる腹直筋を網羅的に鍛え上げるには、上部下部に分けてトレーニングするのが確実だ。

「最初に習得すべき2種目の動作はいずれも非常にシンプル。腹直筋を縮めた状態をスタートポジションとし、そこから腹をできる限り短縮させるのが凹凸のある腹に仕上げる秘訣です」(清水忍トレーナー)

腹直筋の上部に効く|コンセントレーションクランチ(1セット20回×3セット)

コンセントレーションクランチ

コンセントレーションクランチ

  1. 仰向けになり両足を浮かせる。
  2. 両膝を揃えて曲げ、股関節に対して90度になる位置をキープする。
  3. 両腕を胸の前で交差させて肩に置き、背中を丸めるようにして床から肩甲骨を浮かせておく。
  4. そこから一気に反動をつけて上背部を引き上げる。
  5. 腹直筋上部をしっかり短縮させてから、元の姿勢に戻る。

1分ほどのインターバルを挟んで3セットを可能なら毎日行う。

腹直筋の下部に効く|ヒップロール(1セット20回×3セット)

ヒップロール

ヒップロール

  1. 床で仰向けになり、両腕をハの字に開いて手のひらを床に向ける。
  2. 両膝を揃えて軽く曲げたら、下腹に力を入れつつお尻を床から浮かせる。
  3. この時、お尻と両足をできる限り天井方向に向けて真上に持ち上げること。
  4. この姿勢から反動を使ってお尻から足先を天井方向にさらに引き上げる。
  5. 腹直筋下部をできる限り短縮させてから、元の姿勢に戻る。

1分ほどのインターバルを挟んで3セットを可能なら毎日行う。

動画でも動きをチェック!

コンセントレーションクランチ、ヒップロールともに、正味なところ動きが小さい。スタートポジションとそこからの動きの程度は、トレーナー清水さんによる実演動画で確認しよう!

2種目とも、最大効果を得るには“ひと押し込み”した状態で1秒ほど保持。セット中は常に腹直筋を縮めておこう。

「反動をつけてOK。動きも小さくて構いません。20回×3セットを日課にすれば腹は確実に割れます!」

取材・文/門上奈央 撮影/山城健朗 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/大谷亮治 イラストレーション/野村憲司(トキア企画) 取材協力/岡田隆 トレーニング監修/清水忍

初出『Tarzan』No.809・2021年4月22日発売

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