腰痛に悩む人のための「クセトリ体操」
不調を起こすクセが出やすいのは、腰痛では骨盤。クセのタイプを見極め、対応するクセトリ体操のプログラムにトライ。悪いクセが修正できたら、押しても伸ばしてもラクにならなかった凝りや痛みも必ず軽くなる!
取材・文/井上健二 撮影/小川朋央 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/天野誠吾 監修/清水忍(IPF代表)
初出『Tarzan』No.803・2021年1月28日発売
目次
タイプを見極めてクセを正す。
肩こりと同じように、腰痛の背景にあるのも、いつの間にかカラダにしみついた動きの悪いクセ。
「骨盤は軽く前傾しているのがニュートラル(正常)です。前傾が強すぎて反り腰になったり、逆に骨盤の後傾が強すぎて腰が落ちたりすると、腰椎まわりの負担が増えてしまうので、腰痛に直結するのです」(トレーナーの清水忍さん)
前傾が強くなりすぎるのは、ヒールの高い靴をいつも履くなどして、爪先荷重がクセになっているタイプ。運動不足で腹筋(腹直筋)が緩んでいる人も、前傾強めになりやすい。逆にバリバリのシリアスランナーでも、速く走るための前傾姿勢がアダとなり、股関節のインナーマッスルである腸腰筋が硬くなると、骨盤の前傾は強くなってしまう。
後傾するのは、お尻の大臀筋や太腿後ろ側のハムストリングスが硬くて動きも悪いタイプ。加えて内腿の内転筋群が使えないと、骨盤が固まり、傾きが制御しにくい。また、不安やストレスを感じると、ヒトは本能的に身を守ろうとしてカラダを丸めたくなるため、骨盤は後傾しがちだ。
骨盤の傾き具合は、鏡に横向きで立ってチェック。傾きに応じた楽チン体操で修正だ。
あなたはどちらのタイプ?
クセトリ体操のプログラム
- Aタイプの人…1・2・3・4のエクササイズ
- Bタイプの人…5・6・7・8のエクササイズ
① ヒップジョイント・ストレッチ(左右各30秒キープ×1〜2セット)
- 左膝を床について、右足を大股1歩分前に出す。
- 右膝を直角に曲げ、両手を乗せて重ねる。
- 胸を張って上体をまっすぐにする。
- 両手で右膝を前に押し出して曲げ、左側の股関節をストレッチ。
- 呼吸をしながら30秒キープする。
- 上体が丸まらないように注意する。
② フラットバック・レッグレイズ(10回×1〜2セット)
- 腰のアーチにタオルを敷き、床で仰向けになる。
- 両脚を揃えて床と垂直に引き上げ、軽く曲げる。
- 両腕を胸でクロスする。
- 両脚を揃えたまま、ゆっくり下ろし、元に戻す。
- 腰のアーチでタオルを押し潰したままで行う(腰が反ると腰痛になりやすいので注意)。
- 腰が反らない範囲内で、できるだけ低く両脚を下ろす。
③ ペルビック・プランク(10回×1〜2セット)
- 両肘と両膝を床につき、床で四つん這いになる。
- 両肘は肩幅、両膝は腰幅に開く。
- 肛門を天井へ向けるように、骨盤を前傾させて腹直筋をストレッチ。
- 肛門を床に向けるように、腹直筋で恥骨を引き上げて骨盤を後傾。
- これを反復する。
④ ペルビック・ニーアップ(左右交互に各10回×1〜2セット)
- 両足を腰幅に開いてまっすぐ立つ。
- 骨盤を軽く前傾させたニュートラルポジションを取る。
- 肩甲骨を寄せて胸を張る。
- 両手を重ねて手のひらを下に向け、みぞおちの高さで構える。
- 片膝を手のひらにつくまで引き上げ、元に戻す。
- 左右交互に行う。
⑤ シングルレッグ・サイドベンド(左右各30秒キープ×1〜2セット)
- 両足を腰幅に開いてまっすぐ立ち、両腕を上げ、右手首を左手で持つ。
- 右足に軽く体重をかけて、左足は爪先立ちになる。
- さらに右足に体重をかけながら、左手で右手首を左上方へ引っ張る。
- 右側の肋骨と骨盤を引き離してCカーブを作り、脇腹をストレッチ。
- 呼吸をしながら30秒キープする。
⑥ シコスクワット(10回×1〜2セット)
- 両脚を肩幅よりも広めに開き、膝と爪先をできるだけ外側に向ける。
- シコを踏むようにその場でしゃがむ。
- 肩甲骨を寄せて胸を張る。
- 肘を曲げて両手を合わせる。
- 骨盤が後傾しない範囲内で深くしゃがむ。
- 踵に体重を乗せたまま、軽く立ち上がり、元に戻る。
- 立ち上がると休憩になるので、あえて中腰のままで小刻みに反復する。
- 膝を外へ向け続けると内転筋群に効きやすい。
⑦ 大臀筋のストレッチ(左右各20~30秒キープ×1~2セット)
- 床で仰向けになる。
- 左膝を曲げて股関節の真上まで引き寄せる。
- 両手を左膝に添える。
- 両手で左膝を抱え、胸に近づけてお尻の大臀筋をストレッチ。
- ゆったり呼吸をしながら20〜30秒間キープする。
- 右脚をまっすぐ伸ばし、右側の股関節の付け根の腸腰筋を伸ばしておく。
⑧ ハムストリングスのストレッチ(左右各20~30秒キープ×1~2セット)
- 床で仰向けになり、左膝を曲げてお腹まで引き寄せ、両手を太腿に回す。
- 左膝を伸ばして、両手で軽く手前に引き寄せて太腿後ろ側のハムストリングスをストレッチ。
- ゆったり呼吸をしながら20〜30秒間キープする。
- 腰に痛みが出るまで無理に行わない。
- 右脚をまっすぐ伸ばし、右側の股関節の付け根の腸腰筋を伸ばしておく。