【全6部位】固いカラダは「動+静ストレッチ」で徹底攻略!

俳優・濱尾ノリタカさんが実演する必修・ストレッチメニュー。カラダの裏にある重要6部位を動的+静的ストレッチで攻略。特にカラダが固い人でもご安心を。より簡単に実践できる「EASY POSE」をそれぞれご用意している。

取材・文/石飛カノ 撮影/間仲 宇 スタイリスト/岡部俊輔 メイク/飯嶋恵太 モデル/濱尾ノリタカ

初出『Tarzan』No.904・2025年6月5日発売

動と静のストレッチ

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教えてくれた人

中野ジェームズ修一(なかの・じぇーむず・しゅういち)/スポーツモチベーションCLUB100最高技術責任者。多くのオリンピアンやトップアスリート、青山学院大学駅伝チームなどを指導。ストレッチにも造詣が深い名トレーナー。

カラダの「裏」こと全6部位にアプローチ。

カラダの「裏」が硬くなるのは、ある意味現代人の宿命。ならばストレッチで弱点を補強すればいい話。柔軟性チェックで己の弱点を確認しておきたい。

「裏」のターゲットは、全6部位。敢えて重要度をつけるとすれば、お尻、ハムストリングス、背中が最重要部位。続いて首、腰、ふくらはぎという順番になる。

すべての部位を毎日ストレッチするのが理想だが、まずはチェックで分かった弱点から補強し、余裕ができたところで重要度の高い部位からほぐしていくことをおすすめする。

基本的な流れとしては、悪姿勢で凝り固まった「裏」の筋肉を「動的ストレッチ」で動かした後、「静的ストレッチ」でほぐす。俳優・濱尾ノリタカさんが見せるお手本とともに、部位別のストレッチ法をチェックしていこう。

濱尾ノリタカ(はまお・のりたか)/全国大会レベルの競泳選手時代を経て、2020年から俳優活動を開始。数々の話題作への出演し、NHK連続テレビ小説『あんぱん』にも出演。アスリートマインドを秘めた気鋭の俳優。

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お尻|大臀筋。

お尻

伸ばすべきカラダの裏の最重要部位は、ズバリお尻。なぜならお尻の筋肉群は全身の動きのハブである骨盤の支持役だから。骨盤に付随する筋肉は数多いが、その中で最大の筋肉が大臀筋。

つまり、この筋肉が硬ければ骨盤のパフォーマンスは低下するし、そもそも正しい位置に骨盤をポジショニングすることができない。よってトップアスリートも一般人もまず重視すべきはお尻。逆に言うと、お尻さえほぐしておけば基本的な動きはなんとかなる、と言ってもいいくらい。そういう意味で「裏」の番長。お尻の柔軟性が高ければ動きもスムーズ、姿勢も良好。座り仕事が多い人もよくほぐそう。

動ストレッチ(左右交互に10往復)

動ストレッチ

  1. 床にうつ伏せになり、両手を顎の下で組む。
  2. 片脚の膝を曲げる。
  3. お尻の筋肉に力を入れ、股関節を伸ばしながら下半身を捻り、曲げた側の足を床にできるだけ近づける。左右交互に10往復。
静ストレッチ1(左右各30秒)

静ストレッチ1

  1. 両手を床につけて両足を前後に大きく開く。後ろ脚の膝下を床につけ、背中を丸めた姿勢からスタート。
  2. そのまま前脚の膝を横に倒し、背すじを反らしてお尻を床に近づけてキープ。逆も。
静ストレッチ2(左右各30秒)

静ストレッチ2

床に座って行うのがキツい人は椅子を利用するストレッチがオススメ。

  1. 椅子の座面に片足を乗せ、両手で座面の端を摑む。
  2. 床についた足を大きく後ろに引きながら座面に置いた脚を真横に倒してキープ。逆も同様に。
EASY POSE

静ストレッチ2簡単バージョン

それでもキツい場合は後ろの脚の膝を曲げて行うことから始めよう。ストレッチに痛みは禁物。目指すは痛気持ちいい感覚。

ハムストリングス|大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋。

ハムストリングス

ハムストリングス、通称ハムとは太腿裏の3つの筋肉の総称。柔軟性の指標・立位体前屈(立って両手を床に伸ばす)が子どもの頃から苦手だった人は、ほぼこの筋肉が硬いと考えていい。よって重要度もトップクラス。

ちなみに立位体前屈で手が床にべったりくっついても必ずしもハムが柔らかいわけではなく、単にハムが貧弱でテンションがかからない場合もあるので、柔軟性か筋力の問題かは見極めが必要。3つある筋肉のうち最もボリュームが大きいのが大腿二頭筋で、この筋肉が硬くなるとちょっと厄介。骨盤が後ろに引っ張られて後傾し、猫背姿勢の原因になることも。しっかりほぐそう。

動ストレッチ(左右各10回)

ハムストリングス動ストレッチ

  1. 床に横向きになり、下側の手を頭上に伸ばし、上側の手を顔の前で床につける。
  2. まず、上側の脚をまっすぐ前に伸ばしたら、次に股関節を伸ばして脚を後ろに振り出す。このとき膝を曲げて踵をお尻に近づける。10回。逆も。
静ストレッチ1(左右各30秒)

ハムストリングス静ストレッチ1

  1. 椅子に腰掛けて背もたれにしっかり寄りかかる。片足を持ち上げて両手で摑む。
  2. そのままゆっくりと膝を伸ばして、痛気持ちいいところでキープ。無理をせず、膝はできる範囲で伸ばすこと。
EASY POSE

ハムストリングス静ストレッチ簡単バージョン

足を直接両手で摑めない場合はタオルを利用。タオルを足の裏に引っかけ端を両手で持ち、膝をできるだけ伸ばしてキープ。

静ストレッチ2(左右各30秒)

ハムストリングス静ストレッチ2

  1. 椅子に腰掛けて両手を膝の裏で組み、太腿を引き上げる。
  2. 引き上げた脚と反対側の手で足を摑み、脚を斜め上方向に引っ張ってキープ。このとき、カラダを引っ張った脚と逆方向に捻るとなおよし。逆脚でも同様に行う。
EASY POSE

ハムストリングス静ストレッチ2簡単バージョン

足を直接手で摑めない場合はやはりタオルを利用。タオルを足の裏に引っかけ片手でタオルの両端を持って行う。

背中|広背筋、僧帽筋下部。

背中

骨盤が全身の動きのハブなら、肩甲骨は上半身の動きや姿勢のハブ。肩甲骨は「上下」「左右」「上下しながらの回旋」と主に6つの大きな動きが可能な特殊な骨。しかも鎖骨の端に繫がっているだけで、その他は宙ぶらりんの状態。なので、周辺にある僧帽筋や広背筋といった背中の筋肉に支えられている。

そしてその広背筋や僧帽筋は全身の中でも弱くなりがちな筋肉。理由はこれらが姿勢を維持する筋肉で四六時中稼働しているため。少しでも姿勢が崩れた状態が続くと硬くなるだけでなく、弱くもなりやすい。負荷がかかりっぱなしの背中の筋肉を、動かして伸ばして目覚めさせよう。

動ストレッチ(左右各10回)

背中動ストレッチ

  1. タオルの端を左右の手で持ち、両足を広めに開いて立つ。
  2. 膝が踵の真上に来るよう膝を曲げて腰を落とす。
  3. まず右肘を引いて上体を真横に倒し、次にタオルを真上に上げ、最後に左肘を下ろす。10回繰り返したら逆も。
静ストレッチ(左右各30秒)

背中静ストレッチ1

  1. 両足を腰幅に開いて立ち、左右の手でタオルの端を持つ。両脚をクロスさせ、前足の方向に上体を真横に倒す。
  2. タオルをピンと張って広背筋を中心にしっかり伸ばした状態をキープ。反対側も同様に。
NG

背中ストレッチNG

上体を倒すときにカラダが前方にねじれてしまったりタオルがよれてしまうと、背中の筋肉がしっかり伸びない。

首|胸鎖乳突筋。

首

猫背姿勢の何が悪いかといえば、頭が前に倒れること。一番の被害者は耳の裏から鎖骨にかけて走っている首の支持役、胸鎖乳突筋。重い頭を引っ張り戻すべく酷使されているこの筋肉を優しくいたわるべし。

動ストレッチ(左右各10回)

首・動ストレッチ

  1. 椅子に腰掛けて片手に500mLのペットボトルを持ち、肘を直角に曲げる。
  2. 顎をペットボトルを持った腕とは逆斜め上方向に上げる。そのままペットボトルを前と後ろ、交互に振って首の筋肉をリラックス。10回行ったら逆も。
静ストレッチ(左右各30秒)

首・静ストレッチ

  1. 椅子に腰掛けて片手を太腿の上に乗せ、反対側の手を背中の後ろに回して椅子の背もたれを逆手で摑む。
  2. そのまま顎を斜め上に上げてキープ。このとき、反対側の肩を上げないよう注意。逆側も同様に。

腰|胸腰筋膜。

腰

腰のターゲットは筋肉ではなく胸腰筋膜という筋膜。文字通り胸と腰の間にある菱形の筋膜だ。背骨のカーブが乱れると上下から余計なテンションがかかるため凝りや痛みの原因に。腰痛持ちの人はケア必須。

動ストレッチ(左右各10回)

腰・動ストレッチ

  1. 床に四つん這いになる。掌が肩の真下、膝が骨盤の真下に来るように。
  2. 片膝を手前に引き寄せながら背中を丸めて視線を床に。
  3. 次に膝を後ろに振り上げながら背中を反らす。10回行ったら逆脚でも10回。
静ストレッチ(左右各30秒)

腰・静ストレッチ

  1. 床に仰向けになり、片脚の膝を曲げて反対側の床に足裏をつける。伸ばした脚側の腕を反対側の手で引き寄せる。
  2. 曲げた膝を伸ばしながら腕をさらに引っ張って腰を捻りながら筋肉を伸ばす。脚を逆ポジションにして同様に。

ふくらはぎ|腓腹筋、ヒラメ筋。

ふくらはぎ

ふたつの筋腹を持つ腓腹筋と深層のヒラメ筋は、太腿裏のハムと一蓮托生の筋肉。ハムが硬い人は大抵ふくらはぎも硬く、冗談みたいに立位体前屈が不得手。歩くときも膝が曲がっている可能性大なので日々メンテを。

動ストレッチ(10回)

ふくらはぎ動ストレッチ

  1. 床に仰向けになり、両手の掌を床につける。
  2. リラックスした状態からまず足首を立てる。
  3. 両膝を開きながら脚を引き寄せる。
  4. 次に膝を閉じて脚を下ろす。平泳ぎの要領でリズミカルに10回繰り返し。
静ストレッチ(左右各30秒)

ふくらはぎ静ストレッチ

  1. 両手と両足を床につける。両膝は軽く曲げる。
  2. 片脚を床から浮かせて膝を曲げ、軸脚の膝をまっすぐ伸ばす。このとき、軸脚側の踵をしっかり床につけ、床を押すイメージでキープ。逆脚でも同様に行う。