満腹になってOK!ゆる糖質制限「ロカボ」の7ルール。

高血糖対策として注目されているのは、緩やかな糖質制限である「ロカボ」。カラダが劇的に変わる、食べ方の7ルールをご紹介。

取材・文/井上健二 取材協力・監修/山田 悟

初出『Tarzan』No.898・2025年3月6日発売

教えてくれた人

山田 悟(やまだ・さとる)/北里大学北里研究所病院院長補佐、糖尿病センター長。慶應義塾大学医学部卒業。日本糖尿病学会糖尿病専門医・指導医。カロリー制限中心の食事療法から、緩やかな糖質制限食への大転換を図るパイオニア。医学博士。

適正糖質=ロカボの「7ルール」を知る。

ひと口に高血糖といっても、その中身は人それぞれ。実態には個人差がある。しかしどんなタイプであれ、共通して守るべき習慣がある。それは山田先生が提唱している緩やかな糖質制限「ロカボ」的な食べ方だ。全部で7つのルールがある。

持続可能で食事が楽しめる7つのルール。

ロカボの7ルール
  1. 1日の糖質量は70〜130g以内(1食20〜40g×3食+間食10g)。
  2. お腹がいっぱいになるまで食べてよい。
  3. カロリーは一切気にしない。
  4. タンパク質、脂質、食物繊維をしっかり摂る。
  5. 糖質、タンパク質、脂質のバランスを気にしない。
  6. 糖質抜きを目指し、ストイックになりすぎるのはNG。
  7. 早食いをせず、「カーボラスト」で食べる。

まず、1日当たりの糖質摂取量を通常の約半分の70〜130g以内に留めること。血糖値を上げるのは糖質のみだから、その摂取量を減らすのが肝心である。ただし、朝食抜き+ランチ60g+夕食70g=130gといった摂り方はダメ。1食当たり20〜40g×3食+間食10gで70〜130gに収める。

なぜなら1回40gまでの糖質摂取なら、大量のインスリンを分泌しなくても体内で安全確実に処理できて、食後高血糖など血糖値の大幅アップが回避できるから。1日トータルの摂取量より、1回当たりの糖質摂取量を大切にしよう。

糖質の適量さえ守っていれば、お腹いっぱいになるまで、カロリーを気にせず食べても大丈夫。糖質量が適正なら血糖値は乱高下せず、食欲が乱れないので、食べすぎることがない。

糖質を減らした分、肉や魚や植物油などから、タンパク質と脂質をしっかり摂る。タンパク質と脂質を十分摂れば食欲を抑えるホルモンが分泌されるから、こちらも食べすぎる心配はない。そして低糖質の野菜や海藻やきのこなどの食物繊維もお忘れなく。腸内細菌に代謝されて短鎖脂肪酸となり、血糖値を下げる。

カロリーになるのは、糖質、脂質、タンパク質の3大栄養素のみ。3大栄養素からどんな割合でカロリーを摂るかという「エネルギー産生栄養素バランス」にこだわる人もいるが、厚生労働省の基準には何ら根拠がないので頓着しなくていい。

糖質は減らせば減らすほどいいように思えるけれど、ゼロを目指して糖質をカットするような極端な制限は控えるべき。食事の楽しみも大幅に下がるので、とにかく続かないのだ。あくまで「緩やかに」糖質を減らすのが正解である。

そして早食いに走らず、血糖値を上げる糖質の摂取をいちばん後にするカーボラストを心がければ満点だ。