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最新! サプリメントの注目キーワード18【前編】

2024年サプリメントの注目キーワード18【前編】

最近なんだかよくわからないサプリメント言葉が増えてきた。だからサプリのトレンドがざっくり摑めるように、仕組みも含めてしっかり解説します。紹介するのは新たな栄養素名だけでなくサプリ先進国のアメリカで「今来ている」ブームも含めた18のキーワード。前編では、NMN、リポソーム、5-HTPをはじめ、9つが登場。このうち、あなたが正確な知識を持っているものは果たしていくつある?

① 長寿遺伝子の活性化で若返りの願いが叶うか「NMN」

NMNの正式名称はニコチンアミドモノヌクレオチド。生物の体内でNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)という補酵素に変換され、エネルギー産生を促したり、老化や寿命を制御するサーチュイン遺伝子を活性化する。数年前から“若返りの物質”として大きな注目を浴びている成分だ。

アメリカの健康事情に詳しい医師の中村泰宏さんは次のように言う。

「これまでのサプリは足りないものを補うというタイプで、長寿遺伝子を活性化させるところまでアプローチするものがなかった。だから大きな注目を浴びたんです。最初は意識の高い人が高額を支払って手に入れるものでしたが、今は量産できるようになって価格競争も進み、より多くの人の手が届くレベルになってきていると思います」

日本でも美容やアンチエイジング治療でNMNを点滴して若返りを図るステージから、多少値は張るがサプリでより手軽にNMNを補給する流れになっている。要チェックだ。

② 有効成分を確実に、届けたい場所に届ける技術「リポソーム」

リポソーム型ビタミンはアメリカで流行っていて、今まさに日本にも広がりつつあるところです」と言うのは、アメリカのサプリ業界を研究している薬剤師の平井陽子さん

リポソームのリポ=脂質、ソーム=小さい物質。体内に届けたい成分を生体物質であるリン脂質が多重構造になったカプセルに閉じ込めて、成分の吸収性を高める技術のこと。医薬品のドラッグデリバリーシステムとして活用されていた技術だ。

「日本では美容系のお医者さんや自由診療のクリニックが販売しているケースが多く、まだ知っている人は知っているというレベル。大手メーカーさんが大々的に製品を出していない印象です。

でも、今ある成分を効率的にカラダに届けるサプリの形態の開発はアメリカで激化しています。今後は健康目的やアンチエイジング目的で、今みなさんが普通にビタミンCドリンクを飲むようにリポソーム型ビタミンを摂る日が来るかもしれません」

③ 睡眠やストレスに関わるセロトニンの前駆体「5-HTP」

5-HTPの正式名称は5-ヒドロキシトリプトファン。アミノ酸の一種のトリプトファンから5-HTPが産生され、さらに5-HTPがセロトニンに変換される。つまり、5-HTPは“幸せホルモン”と呼ばれるセロトニンの前駆体で、セロトニンからさらに睡眠に関係するメラトニンに変換されるという流れ。

海外サプリにも詳しい管理栄養士の圓尾和紀さんによれば、「メラトニンは睡眠薬とまでは行きませんが比較的即効性があります。でも5-HTPは前駆体、カラダが必要に応じてメラトニンを作るというものなので穏やかに作用するという感じです。メラトニン不足で睡眠がうまくとれていない人はおそらくセロトニンも不足している可能性があるので、5-HTPのサプリで不足を補えるかもしれないですね」

アメリカでは睡眠の質向上、ストレス軽減などの目的で処方される成分。ちなみに国内ではサプリメントとして販売されていないので、入手方法は輸入サプリのみとなる。

④ 就寝前の空腹時にアミノ酸を活用する「レイトイブニングスナック」

肝臓が弱くて効率的に栄養が摂れないという場合、医師が空腹時の栄養補給にEAAと呼ばれる必須アミノ酸を処方することがあるという。これがレイトイブニングスナック(夜間分割食)という夜食療法

肝臓が弱いと十分なグリコーゲンを蓄えられない。夕食後から翌日の朝食までの時間はいわば飢餓状態となりカラダには相当な負担がかかる。

「だから就寝前の空腹時にレイトイブニングスナックとしてアミノ酸を補給するんです。理由はアミノ酸は血糖値を乱高下させないからです。血糖値の乱高下は筋肉をすり減らすCoQ10ので、肝炎の人は針金の人形のような極端な細身の体型なんです。その状態を防ぐためにアミノ酸を補給するという栄養療法です」(中村さん)

肝臓に病気や不調がない人でもレイトイブニングスナックは活用できるという。

「少ししか食べていないのに太りやすいという人は、寝る前の空腹状態のときにアミノ酸をサプリメントで補給しておくと、朝食時の血糖値の急上昇を防ぐことができます

⑤ 幅広い免疫強化機能で今後の注目度は大?「ラクトフェリン」

ラクトフェリンは牛乳や母乳、涙、唾液などに含まれているタンパク質で、免疫グロブリンAという免疫物質を増やす作用がある。ヨーグルトに添加されていたり単体のサプリメントを目にしたことがある人も多いはず。

「ラクトフェリンにはいろいろな機能があるんですが、とくに感染予防や免疫強化という面でこれから注目されていくと思っています。というのは、風邪の予防効果やノロウイルスによる胃腸炎の予防に役立つといったデータが出てきているからです。

意見が分かれている状況ではありますが、コロナに関しての有用性なども示されているので、幅広い免疫強化機能で注目される可能性はあります」(圓尾さん)

価格はピンキリだが、1か月3000円程度の価格が目安だという。

「ラクトフェリンは腸で免疫物質を増やします。胃酸に弱いので胃酸に分解されずに腸管まで届いて働く設計がされているものは、それなりの価格がすると思います」

⑥ NMNブームを背景に再評価が望まれる「CoQ10」

コエンザイムQ10、略して CoQ10は全身のほとんどの細胞内にあるミトコンドリアに存在する物質。食事から摂った糖質や脂質はミトコンドリアに運ばれ、エネルギーのATPを作り出す

ミトコンドリア内にはクエン酸回路と電子伝達系というふたつの代謝経路があるが、ATPを最も大量に作り出すシステムが電子伝達系。ここでのエネルギー産生を手助けしてくれるのがCoQ10。本来、CoQ10は自前で作れるが、加齢によってその量が減少する。若い頃に比べて疲れやすくなるのはこのためだ。

CoQ10の食品としての利用が認められたのは2001年のこと。つまりサプリの歴史は20年以上

「今さらもう古いと言われるかもしれませんが、NMNがミトコンドリアでのエネルギー産生に関与していて注目されているならCoQ10がもっと見直されてもいいと私は思っています。NMNだけでなくCoQ10も一緒に摂ることで生まれる相乗効果に期待したいです」(平井さん)

⑦ 自然な抗うつ剤の役割を果たす必須アミノ酸「トリプトファン」

メラトニンは日本ではサプリメントとして販売されていないが、その原材料となるトリプトファンは食品として認められていてサプリが入手できる。これが実はとてもラッキーなこと、と平井さんは言う。

「コロナ禍のとき倦怠感や記憶力低下、ブレインフォグなどといった後遺症が問題になりましたが、よく調べてみたらセロトニンレベルが低くなっていたという話があります。コロナウイルスがセロトニンの量を低下させるという研究報告があるんです。今またもしコロナに罹ったらセロトニンの材料となるトリプトファンを摂ることは有効なのではと思っています」

今は落ち着いているが、コロナウイルス自体は駆逐されたわけではない。将来再び猛威を振るう可能性はゼロではない。だからこその、アフターコロナトリプトファン。

「トリプトファンは自然な抗うつ剤といわれるほどアメリカでは浸透しています。安全で簡単にそれが摂れるメリットは大きいと思います」

⑧ 脂肪燃焼効率を上げる「ケトン体」サプリが人気

糖質制限食をある程度続けていくと脂肪からケトン体という物質が肝臓で作られ、ブドウ糖の代わりにエネルギーとして消費される。その結果、脂肪燃焼がより促される回路が活性化する。これがケトジェニックダイエットと呼ばれるもの。

「アメリカにはケトン体のカプセルをプロテインに混ぜて飲むということも結構普通に行われています。筋トレのサプリショップには一番目につくところにケトン体サプリが置かれていて、ここ最近のトレンドになっているようです」(中村さん)

糖質制限食以外に、ある程度運動で追い込んだときにもケトン体が作られる。サプリであらかじめケトン体を補給し、脂肪燃焼効率を上げて運動することでカラダを絞る人も少なくないという。

糖質をとことん制限したり運動で追い込んだりする手間を省き、効率的にカラダづくりをするためのツールとしてケトン体サプリが利用されている様子。この流れ、日本にもやってくるか?

⑨ 滋養強壮以外にも多くの機能を秘めたアミノ酸「タウリン」

圓尾さんが今、個人的に注目している栄養素がタウリン。

「一般的には栄養ドリンクに入っている疲労回復成分というイメージが強いと思うんですけど、実はいろいろな面白い性質があるんです」

タウリンはアミノ酸の一種で、とくに貝類やイカやタコといった魚介類に豊富に含まれている。よく知られている機能は胆汁の生成神経系の情報伝達のサポート解毒作用などなどだ。

「その他、糖尿病など生活習慣病の予防抗肥満作用などがあることも分かっています。世界のさまざまな地域で行われた疫学調査では食事からタウリンを多く摂っている地域ほど、循環器疾患による死亡率が少ないという報告もされています。もしかしたら日本人の長寿の要因のひとつにタウリンがあるかもしれない、と言っている研究者もいるんです」

魚食の量が右肩下がりに減っているニッポン人だからこそ、もう一度タウリンに注目してみる価値はあるかもしれない。

取材・文/石飛カノ イラストレーション/Rio Tsuzuki 取材協力/中村泰宏(虎ノ門中村クリニック神谷町院院長)、平井陽子(薬剤師カフェvita代表)、圓尾和紀(管理栄養士、未来日本型食生活協会代表理事)

初出『Tarzan』No.877・2024年4月7日発売

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