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タンパク質と、何が同じで、どう違う?ジェーン・スーと〈味の素(株)〉社員が語るアミノ酸のこと。
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現状維持、さらには実年齢より1歳でも若いカラダを作るには、「食事」「運動」「環境」「精神」の生活習慣を見直す必要がある。改善すれば、約3か月で見違えるはず!
一汁三菜、バランスの良い食事は老化に抗ううえでも大前提だが、
「ダイレクトに代謝に関係するのが摂取する油の質」(大阪大学特任准教授・日比野先生)
カラダをサビにくくするためには、αーリノレン酸、EPA、DHAを含む“オメガー3”系の、アマニ油、エゴマ油、魚の脂を積極的に摂る。
「若さを保つビタミンA、C、Eを含む緑黄色野菜は、オメガー3と一緒に調理すると栄養吸収率がアップします。サラダ油、ゴマ油などいわゆる植物油のオメガー6系の油は摂りすぎると体中で炎症を引き起こし、血管を老化させるので控えめに」
食と精神の結びつきも見逃せない。
「幸せホルモンの95%が腸から分泌されます。乳酸菌で腸内を整えると、抗ストレス作用も期待できます」
よく嚙んで食べることで唾液が大量に分泌され、胃へ運ばれる前に消化酵素がしっかりと混ざり合い、栄養素の消化吸収を助ける。脳の血流を活性化する効果も!
抗酸化成分のエース、ビタミンA、C、Eを含む緑黄色野菜だが、栄養素の吸収率は煮て30%、油と一緒なら50〜70%。オメガ3は加熱に弱いためサラダがおすすめ。
強い酸性の消化液である胃酸は、整腸効果のある乳酸菌の多くを、実は死滅させてしまう。きちんと腸まで届けるには、胃酸が薄まる食後。特に夕食後がチャンス。
代謝と老化の関係で、運動の目的は血流を促し、体温を上げること。
「コアを中心に筋力アップを図ると、まず血流が良くなり、結果体温が上がります。カラダを構成する37兆の細胞に栄養と酸素を送り届け、溜まった老廃物を除去する。そんな血液の働きを促進させます」
とはいえ、過度な運動はストレスホルモンを分泌し、ナチュラルキラー細胞の活性を妨げるため逆効果。
「ベストは自分に合ったスローエクササイズ。年齢問わず、ウォーキングはオススメ。カラダに負担をかけず第二の心臓であるふくらはぎを鍛えれば巡りがさらに良くなります」
運動中は、脳から発せられるアルファ波により、自律神経のバランスが整うという調査結果もある。
成人男性の運動量の目安は1日8000歩。背すじを伸ばし、しっかり腕を振って、やや大股で歩くと、約1度体温が上昇し、理想の成果を得られる。
最大の免疫器官で、自律神経と密な関係がある腸を動かす。食後1時間空け、おへそを中心に大きく時計回り、小さく時計回りでさすり大腸と小腸の働きをサポート。
肩幅で立ち、肩を大きく回す→息を吸いながら両肩を耳横まで上げ→約5秒息を止め→息を吐きつつ下ろす。肩甲骨まわりの褐色脂肪細胞を活性化すると代謝が上がる。
目、耳、鼻など感覚器官からの情報も代謝に大きく関係。特に情報の約8割を担うといわれる視覚は重要。
「現代生活において、LEDやスマホから多く発せられるブルーライトが、メラトニンの分泌を抑制し、体内時計を不安定にさせると懸念されています。体内時計が狂えば、睡眠の質は下がる。
睡眠が乱れれば自律神経が乱れ、当然代謝に影響します。さまざまな細胞の修復に寄与するのが睡眠。ターンオーバーを正常化し、健やかな肌や髪を保つ鍵は、いかに眠りの質を上げていくかです」
そのために例えば、仕事部屋と寝室で家具の色を変えるなど、目的に応じた状況作りを心がけ、必要に応じて交感神経のスイッチオンオフが自然にできるよう環境を整えたい。
就寝の2時間前までにはブルーライトを避けるようにしてから寝室へ向かうのが理想。就寝前に長い時間を過ごすリビングから環境を変え、“眠り”の準備を始める。
休息を目的とするリビングや寝室には、交感神経を刺激する赤や黄色は避ける。青や緑色のインテリアなら、心が安らぎ、ストレスホルモンを抑制できる。
木の葉がそよぐ音、小鳥のさえずり、木漏れ日など“1/fゆらぎ”と呼ばれる自然のリズムには、都市生活で鈍くなったNK細胞を活性化する効果がある。
“恋”が最高の美容薬といわれるように、精神的な要因がホルモンバランスに影響し、“若さ”を生む。
「決して、ストレスをゼロにしよう、ということではありません。適度なストレスは、生活にメリハリを与え、仕事の活力になります。肝心なのは、ストレスを溜めない体質作りです。日頃から、笑うことや人への感謝を心がけると、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンが分泌され、ストレスホルモンが劣勢になっていきます」
瞑想や呼吸法といったマインドフルネスも同じ効果が得られるという。
「時間がない方は、大きく深呼吸することだけでも生活に取り入れてください。通常の呼吸より2倍の酸素が取り込まれ、脳細胞が活性化し、心を落ち着かせることができます」
ストレス状態が続くと、副交感神経のスイッチが入りづらくなる。何事も落ち着いて行動すると、気持ちにゆとりが生まれ、自律神経のバランスが整う。
声を出して大笑いすると、通常の呼吸より3〜4倍の酸素が取り込まれ、脳細胞が活性化。これもひとつの若返り。たとえ作り笑いでも脳が錯覚し、セロトニンが分泌。
3,500〜4,500ヘルツの高周波音を10〜20分ほど聴くだけで、ヤル気の源である“ドーパミン”と、イライラを鎮める“アセチルコリン”が脳内を巡る。
取材・文/宮田恵一郎 監修/日比野佐和子(大阪大学特任准教授)
初出『Tarzan』No.806・2021年3月11日発売