CONDITIONING
2020.11.09

夜の眠りの「量と質」を上げる5つのナイトルーティン

夜の眠りの量と質を上げる

夜になかなか寝付けない原因の1つは、自律神経のバランス。交感神経と副交感神経からなる自律神経は、自分の意思でコントロールできない。なのでアロマやストレッチなどを駆使して眠りやすい状況を作ろう。

交感神経の優位が続くと寝付きにくい。

夜なかなか寝付けない。睡眠負債を抱えているならアデノシンの「睡眠圧」によってコテンと眠れるはずなのに、一体なぜ?(アデノシンと睡眠圧の関係については、こちらの記事を参照)。

理由のひとつは、日が暮れて夜になっても交感神経が優位な状態が続いているから。もうご存じの通り、自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があり、これらは拮抗して働いている。交感神経は心拍を速くし、血圧を上げ、発汗を促し、筋肉を緊張させる。副交感神経はこの逆で、心拍を遅くし、血圧を下げ、発汗を抑えて、筋肉を弛緩させる。眠る際に優位になっていてほしいのは断然、後者だ。

本来は日中に交感神経が優位に働き、夕方から副交感神経に主役がバトンタッチされるはず。ところが、日夜関係なく仕事やストレスに追いまくられている現代人、夜になっても交感神経が鳴りを潜めないこともしばしば。その結果、なかなか寝付けないということに。

五感を刺激して副交感神経を優位に。

自律神経は自分の意思でコントロールすることができない。ならば、カラダや五感を刺激して副交感神経が優位な状態にシフトさせるのが手っ取り早い。

たとえば、交感神経を鎮静化させるアロマハーブを取り入れる。アロマはコットンに数滴垂らす、または木材や軽石などに染み込ませて枕元に置くとかなりの効果が期待できる。あるいは就寝前にストレッチを行って緊張した筋肉を伸ばしてリラックスさせるのも有効。このようにカラダにアプローチをかけて脳を眠りへと誘導するのだ。

アロマの力を借りて副交感神経にシフト。

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Binca Vidou リードディフューザー

Binca Vidou リードディフューザー
ボトルに拡散スティックを数本差してアロマの香りを楽しむ。ラベンダー、ローズ、バニラのセット。アマゾンで購入時1,890円(税抜)。

クナイプ バスソルト

クナイプ バスソルト
眠りのハーブとして知られるバレリアンを配合した入浴剤。就寝前のバスタイムで活用すれば効果大。850g、アマゾンで購入時2,600円(税抜)。

くすのきアロマディッシュ

くすのきアロマディッシュ
くぼみにエッセンシャルオイルを2〜3滴垂らすとアロマの香りが漂う。倒れにくいので枕元でも安心。アマゾンで購入時524円(税抜)。

就寝前の習慣にしたいストレッチ。

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太腿とふくらはぎを伸ばして血流を促す。

太腿とふくらはぎを伸ばす

長座をして両足の間を握りこぶし1つ分空ける。3秒で息を吸ったら7秒かけて息を吐きながら上体を前に倒す。3秒で息を吸いながら元へ。3セット。

脇腹を伸ばして睡眠中の深い呼吸を促す。

脇腹を伸ばす

あぐらをかいて右手を上げる。3秒で息を吸い、7秒で息を吐く。吐くときにカラダを左に倒し、吸って元へ。逆側も同様に。左右1セットとして3セット。

首の筋肉を伸ばして脳と神経の緊張を解く。

首の筋肉を伸ばして脳と神経の緊張を解く

あぐらなど楽な姿勢で座る。首が引き伸ばされているのをイメージしながら頭をゆっくりと360度回転。ペースは1周10秒程度。2周したら逆回しで2周。

寝付きやすい入浴タイミングもある。

また、自律神経の働きとは別の意味で、就寝前の入浴は速やかな入眠を促す強力な武器になる。

上質な眠りの条件のひとつは、臓器や脳の温度=深部体温を速やかに下げること。眠くなると掌や足の裏といった末端部分が温かくなるが、あれは末梢から熱を逃がして深部体温を下げているからだ。

で、この深部体温には上がった分だけ下がるという特性がある。適温の湯に浸かって一度深部体温を上げると、その後大きく下がろうとするのでそれだけ眠りに就きやすくなるのだ。一旦上がった深部体温が下がるまでの時間は約90分。つまり、寝る90分前の入浴がベストタイミングというわけ。

眠る90分前の入浴の効果
眠る90分前の入浴の効果/40度のお湯に15分浸かると深部体温が0.5度上昇。90分かかって元の体温に戻り、その後さらに深部体温が下がる。入浴しないときより眠りの準備が整いやすい。
西野精治『スタンフォード式最高の睡眠』(サンマーク出版)より

それでも寝付きがよくならないという場合は、光の調節がうまくいっていない可能性がある。夜間は脳の松果体という部位からメラトニンというホルモンが分泌され、深部体温を下げカラダを眠りに適した状態に誘う。ところが、このメラトニンは光を感知すると分泌が抑制されてしまうのだ。

逆に周囲の環境を暗くすると、メラトニン分泌のスイッチがオン。海外に比べて日本の家庭の照明は明るすぎるといわれている。睡眠のための理想的な明るさはキャンプ場にいるくらいのそれ。本を読むにも難儀するような明るさだ。夕方以降は間接照明に切り替えて、テレビやスマホ画面を極力視野に入れないことをおすすめする。

寝る前に食べた物が睡眠の質に影響する。

続いて睡眠そのものの質を損ねる原因を潰していこう。

睡眠の途中で目が覚めてしまうという人、もしや寝る直前までアルコールを口にしていなかったか? アルコールによる眠りは通常の眠りではなく、脳が麻痺している気絶状態。よってアルコールが分解されて体内から抜けるとその時点で覚醒してしまう。

これを避けるには日本酒で2合、焼酎なら200mL程度の適量を就寝3時間前までに飲み終えるのがお約束。しっかりアルコールを分解してからまっとうな眠りに就くべし。

次に、よく悪夢を見たり、歯ぎしりをしたり、寝汗をかいて目が覚めるという人、寝る直前に糖質を摂っていなかったか? 寝る前に血糖値が急上昇すると、大量のインスリンが分泌されて一転、低血糖状態になる。

このときに分泌されるのがアドレナリンノルアドレナリンといったホルモン。これらは交感神経を刺激し、不安感やイライラという感情を促すので、悪夢を見たり、歯ぎしりしたり、寝汗をかきやすくなるのだ。くれぐれも夜中のラーメン、夜中のアイスには手を出してはいけない。

血糖値の乱高化のリスク
血糖値の乱高化のリスク/血糖値急上昇でインスリンが過剰分泌されると脂肪合成が起こりやすくなり、血糖値が急降下。今度は血糖値を上げるためアドレナリンなどが分泌され悪夢の原因に。
前野博之『成功する人ほどよく寝ている』(講談社+α新書)より
眠りの「量と質」を上げるナイトルーティン

① 日没後は明るい照明を浴びない

日が暮れた後は休息の時間。メラトニン分泌のスイッチを入れるために明かりは間接照明に。テレビ、スマホ画面は極力見ない。

② 就寝3時間前に酒を切り上げる

アルコールで脳が麻痺すると寝付きはよくなるが、睡眠後半に急激に睡眠が浅くなる。適量を就寝3時間前までに飲み終えること。

③ 就寝90分前に入浴を行う

一旦上げるとその分だけ下がるという深部体温の特性を利用する。就寝90分前に入浴すると入浴しない場合より深部体温が下がる。

④ 就寝前は筋トレよりストレッチ

筋トレが交感神経を優位にするのに対して、ストレッチは副交感神経を優位にする。行うなら筋肉が柔らかい入浴後がベスト。

⑤ 寝る直前の糖質補給は厳禁

血糖値の乱高下で不安感やイライラを促すホルモンが分泌される。睡眠の質を上げるためには夜中のラーメンやアイスを封印。

取材・文/石飛カノ 撮影/小川朋央 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/村田真弓 取材協力/前野博之(栄養睡眠カウンセラー協会代表)

初出『Tarzan』No.797・2020年10月8日発売

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