• 朝の過ごし方で睡眠の質が変わる。明日から意識したい5つのルール
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2020.11.08

朝の過ごし方で睡眠の質が変わる。明日から意識したい5つのルール

睡眠のリズムを整える朝の過ごし方

疲れているのに寝つきが悪いという場合は、朝の過ごし方を変えることで改善ができるかもしれない。鍵を握るのは「朝の光と朝食」だ。起床後、どのようなことに気をつけるべきか、朝食では何を意識して摂れば良いのか、そのポイントを解説する。

朝の光と食事で睡眠のリズムを整える。

疲労回復の最大の手段は睡眠。だから人はうまく眠れないと不安になり、あの手この手で良質の睡眠をとろうと努める。でも実際のところ、睡眠の質の決定打は朝の過ごし方にある、といってもいい。

地球上の生物には地球のリズムに則った体内時計が備わっていて、睡眠と覚醒のリズムはこの体内時計によって刻まれている。ところが、地球の自転リズムと体内時計のリズムは若干ズレていて、1日1回ネジを巻かないとそのズレがどんどん大きくなってしまう。

その体内時計をリセットする2大条件が朝の行動にあるのだ。ひとつは太陽の光を浴びること。もうひとつは朝食を摂ることだ。

太陽の光情報は網膜から脳の体内時計の中枢、視交叉上核という部位に届く。すると、ズレていた体内時計のリズムが地球のそれに同調する。さらに、朝食を摂ることで視交叉上核以外の部分に存在している末梢の体内時計のリズムが中枢に足並みを合わせる。

これによって今日の何時頃に体温を上げ、何時頃に血圧を下げ、何時頃に交感神経副交感神経をスイッチさせる、などなどのスケジュールが決定される。眠りを促すメラトニンも光の情報を受け取った15〜16時間後に分泌されるようスケジューリングされるのだ。

メラトニンと睡眠リズムの関係(グラフ)

メラトニンと睡眠リズムの関係
30代男性は夕方から深夜にメラトニン分泌のピークを迎え、起床時には低下する。70代男性はメラトニン分泌の起伏が小さく睡眠も浅い。眠りに問題がある人は後者の状態。
三島、199

ベッドから起きたらカーテンを開けて光を浴びる。そして朝食を摂る。これが良質な睡眠にとってのマストの条件なのだ。

ここで押さえておきたいのが朝食の中身。食事で血糖値が上がり、インスリンが分泌されることが内臓の体内時計のリセットに繫がる。このため、炭水化物などの糖質食品は欠かせない。さらに、メラトニンの材料となるタンパク質も必須。メラトニンを作り出すためにはこの他、ビタミンB群、鉄、マグネシウムなどの微量栄養素も必要だ。

これらを全部カバーするのは、ワカメときのこの味噌汁、焼き鮭、ヒジキの煮物、納豆、焼き海苔、玄米といった手の込んだ和朝食。とはいえ、これを毎朝食べるのは現実問題、難しい。糖質とタンパク質は死守して、残りの栄養素はサプリメントで補給という手ももちろんありだ。

「朝起きられない…」の原因は副腎?

一方、睡眠外来という医療機関のデータによれば、睡眠に関する悩みの第1位は「朝起きるのが辛い」ことなのだそう。睡眠負債が大きいことはもちろんあるが、その他、隠れた原因のひとつと考えられているのが「副腎疲労」という可能性。

副腎はホルモン分泌臓器で、とくにコルチゾールという抗ストレスホルモンの分泌を担当している。日常的に多くのストレスに対処することでコルチゾールが分泌過多になり、やがて枯渇。その結果、意欲もやる気もなくしてしまうのが副腎疲労という状態だ。

コルチゾールはいってみれば「戦いのホルモン」。血糖値や血圧を上げて、敵と戦う、あるいは逃げる準備を整えるのがその役割。覚醒する直前にコルチゾールが分泌されることによって血圧や血糖値が上がり、起きる準備を整えた状態で目覚める。これが健全な覚醒。ところが副腎疲労によってコルチゾールが出ないまま朝を迎えるとカラダは明らかな準備不足。なので「起きるのが辛い」と感じるのだ。

コルチゾールと睡眠の深度の関係(グラフ)

理想的な睡眠と覚醒リズム
覚醒の直前に分泌されるコルチゾールの作用で睡眠の深度が徐々に浅くなり、すっきり目覚めることができる。下のグラフではコルチゾールが分泌されずいきなり覚醒。辛い。
前野博之『成功する人ほどよく寝ている』(講談社+α新書)より

副腎疲労を引き起こすストレスの多くを占めるのは、仕事や人間関係と思われがちだが、これが意外なことに食生活にある。小麦に含まれるグルテンや牛乳に含まれるカゼイン。これらを頻繁に口にすることで腸に炎症が起こり、コルチゾールが消費されてしまうことも少なくない。

寝起きが辛いと感じている人は、糖質は小麦以外の穀物で、タンパク質は牛乳より豆乳で補給するのがおすすめだ。

サプリを活用した、お手軽朝食セット。

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玄米シリアル&豆乳

豆乳とシリアル

朝食は玄米シリアルに豆乳をかけて。これで最低限の糖質とタンパク質はカバーできる。さらに、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素を加えることでメラトニン合成のための準備が整う。こうしたお手軽朝食を食べる日はサプリメントを味方につけよう。

ネイチャーメイド マルチビタミン&ミネラル

ネイチャーメイド マルチビタミン&ミネラル

12種類のビタミンと7種類のミネラルを配合。ビタミンB群、鉄、マグネシウムも摂れる。100粒、アマゾンで購入時1,680円(税抜)。

L-トリプトファン

L-トリプトファン

トリプトファンはメラトニンの材料になるアミノ酸。睡眠サポートサプリとして活用を。120粒、アマゾンで購入時1,590円(税抜)。

さらに、朝の起床時間は平日も休日もできるだけ同じ時間に設定する。休みの日に極端に寝坊することでコルチゾール分泌のタイミングがズレてしまうのを防ぐためだ。というわけで、朝を制する者は睡眠を制す。くれぐれもお忘れなく。

体内時計のリズムを整える朝の5つのルール

① 起床後は積極的に太陽の光を浴びる

体内時計が最も敏感に光に反応するのは、午前6時から8時半頃までといわれている。このタイミングでカーテンを開けて光を浴びる。

② 起床後の糖質とタンパク質はマスト

糖質補給によるインスリン分泌で体内時計をリセットし、メラトニンの材料となるタンパク質を補給。朝食ではこのふたつを死守する。

③ 理想の朝ごはんは和定食

タンパク質+ビタミンB群、鉄、マグネシウムでメラトニン合成が促される。これらを補給できるのは鮭や海苔などを食す和食。

④ 休みの日も普段と同じ時刻に起きる

コルチゾールの分泌リズムを常に一定に保つためには、週末と平日の起床時間をできるだけ同じ時刻に設定することが重要。

⑤ 忙しい朝はサプリも活用する

和朝食を毎日準備するのが難しいというときは、マルチビタミン・ミネラルなどのサプリメントで微量栄養素をカバーする。

取材・文/石飛カノ 撮影/小川朋央 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/村田真弓 取材協力/前野博之(栄養睡眠カウンセラー協会代表)

初出『Tarzan』No.797・2020年10月8日発売

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