【厳選】血管・血流の健康維持に有効な7つの食材

言わずもがな、食生活は血管・血流の状態に大きく影響する。そこで、血管・血流に最も効き目がある食材7つを激選した。効果的に摂取する調理法を実践すれば、あなたの血管・血流は蘇るはず。

取材・文/石飛カノ 撮影/小川朋央 栄養監修/牛尾理恵 取材協力/大塚亮(おおつか医院院長、循環器専門医、オーソモレキュラー・ニュートリションドクター認定医)

初出『Tarzan』No.834・2022年5月26日発売

血流アップ 食材

野菜を1日350g? 塩は小さじ、すり切り1杯まで? 炭水化物の摂取比率は1日のエネルギーの50〜60%とする?

血液検査でD判定をくらい、渡されたパンフレットには高血圧や動脈硬化予防および改善の細かい食生活ルールが盛りだくさん。それが正しいことは分かっちゃいるけど、こちとら料理テク皆無の迷える子羊。リアル食生活で完璧に実践する自信は到底ない。

そんな子羊のみなさんにご紹介するのが、血管と血流の健康維持に有効な究極のセレクション。野菜、魚、肉、主食、おやつ系の7ジャンルで選ぶならこれ!という食材とその食べ方をお伝えしたい。

キッチンや冷蔵庫の常備食材として活用すれば、来年の血液検査の結果に必ず反映されるはず。

野菜なら…「ニンニク」

ニンニク 写真

野菜部門のイチオシ食材はニンニクで決まり。「デザイナーフーズ」というがん予防効果が期待される食材ピラミッドの頂点を極めるのが、このニンニク。がん対策だけでなく、血管や血液のコンディションを整える役割も果たしてくれる。

有効成分はにおいの元となるアリシン。これはニンニクに含まれるアリインという成分とアリイナーゼという酵素が反応して作られる。ニンニクを切って10分程度放置することでこの酵素反応が進む。

で、このアリシン、油で調理するとアホエンという物質に変化し、抗酸化作用や抗血栓作用を発揮する。さらに、加熱調理の過程で作られるさまざまなイオウ化合物が血液中の血小板の粘着力を弱めたり、血管を拡張させる働きをすることが分かっているのだ。

そこでオリーブオイルでじっくり煮たコンフィの作り置き、またはゴマ油で炒めてふりかけとして常備することをおすすめしたい。

食べ方のポイント
  • 丸ごとではなく切る
  • 切った後、10分放置する
  • 油で加熱する
丸ごと食べるなら熟成黒ニンニクで

黒ニンニク 写真

アリシンは切らないと生成されないが、ニンニクからは揮発性やにおいのない化合物も作られる。そのひとつがS-アリルシステインというイオウを含むアミノ酸で、こちらもまた末梢の血管を拡張させる作用がある。S-アリルシステインは熟成させた黒ニンニクにより豊富に含まれる。炊飯器の保温機能を利用して2週間ほど発酵させて自作するもよし、市販品を入手してもよし。

魚なら…「サバ・イワシ」

サバ・イワシ

サバやイワシといった青魚は血液サラサラ効果のある食材の代表格。その根拠は、青魚に豊富なEPA、DHAといったオメガ3系の脂肪酸が血管内皮細胞の機能をサポートしてくれるから。

カラダにいい作用を及ぼすのは脂肪酸なので、網焼きなどで脂肪を落とすともったいない。できれば生でいただこう。とくに皮の裏に脂肪が多いので皮ごと完食を。

またサバやイワシに含まれるサーディンペプチドには、動脈を収縮させて血圧を上げるアンジオテンシンⅡというホルモンの生成を抑える働きも期待できる。ダブル効果で血管は喜び、血液は流れる。

外食で〆サバや運よくサバの刺し身、イワシの煮物の選択肢があったら迷わずチョイス、自宅で青魚料理を作るならサバ缶やイワシ缶をフル活用していただきたい。

食べ方のポイント
  • 皮を残さずに食べる
  • 缶詰は汁ごといただく
  • できるだけ生で食べる

肉なら…「鶏のささみ」

鶏のささみ 写真

肉類がもたらす血管へのメリットはアルギニンというアミノ酸が担っている。アルギニンは血管拡張作用があるNO(一酸化窒素)の材料になるからだ。

肉でいうと鶏のささみ100gに含まれるアルギニンは1600mg。牛のもも肉なら1400mg、豚肉なら1300mg。というわけで、僅差ながらミート分野の血管お助け食材第1位はささみに決定。

ちなみに、肉の脂身に含まれる飽和脂肪酸は血管に悪さをするイメージが強いが、これはウソ。常温で固体だから血液をドロドロにするというのは都市伝説で、実際は食べても細胞膜の材料として優先的に使われ血管にダメージは与えない。

豚や牛からもアルギニン補給はできるので決してNGではない。でも今回はアルギニンに加え疲労回復作用を持つささみを推しで。

食べ方のポイント
  • 茹でるときは衣をつける
  • 酢とともにいただくとベター

主食なら…「もち麦」

もち麦 写真

1日に3度食べる機会のある主食こそ、より血管や血流にいい効果をもたらす食材を選びたい。ここは迷わず、粘りの強い大麦、もち麦を主食として導入してほしい。

というのも、もち麦は玄米よりもさらに水溶性食物繊維が多く、吸収が緩やかで食後高血糖を防げるから。食後の急激な血糖値の上昇、それに続く下降といった血糖値スパイクが血管に負担をかけることは、もうご存じの通り。

さらに、もち麦に含まれるマグネシウムは血栓を作り出すトロンボキサンA2という物質の働きを抑制する。同時に血管内皮の修復をする細胞を活性化する働きも持っている。

とどめのメリットは玄米より扱いが簡単ということ。白米と同じように炊飯できるという点でも、軍配はもち麦。勝負あり!

食べ方のポイント
  • 炊飯の作業は白米と同様でOK
  • 白米とミックスせず単体で主食とする

おつまみなら…「アーモンド」

アーモンド

体内で作られた活性酸素が過剰になると、血管内皮細胞の機能が低下する。これは循環器の専門家の間ではもはや常識。酸化ストレスの害を回避するために日々取り入れたいのが、抗酸化ビタミンの補給だ。

抗酸化ビタミンはA、C、E。赤ワインを1杯飲むときのお供はビタミンEが豊富に含まれるナッツ類、とくにアーモンドがおすすめ。塩や植物性油脂が使われていない素焼きタイプを選ぶこと。

間食なら…「チョコレート」

チョコレート

3時のおやつで食べるなら塩分過多なスナック菓子より適量のチョコレート。なぜならチョコレートの原料・カカオに含まれるカカオポリフェノールの強力な抗酸化作用が期待できるから。

一般的なチョコレートのカカオ含有率は50%以下なので、含有率70%以上のハイカカオチョコレートがおすすめ。こちらは砂糖の配合も控えめなので、糖化ストレスのリスクも低い。ただし食べ過ぎは禁物。

果物なら…「スイカ」

すいか

意外なようだがスイカの果汁にはアミノ酸が含まれている。その名はシトルリン。1930年に日本の研究者によって発見されたアミノ酸で、当時は代謝の改善や疲労回復効果が期待されていた。

ところが80年代になると血管拡張作用のある一酸化窒素と深く関連していることが明らかになり、血管の健康効果が期待できる栄養素として注目を浴びている。季節が夏なら、積極的に食卓へ。