【自宅トレの基礎知識】頻度やタイミング、おすすめギアが知りたい!

今までのようにスポーツジムに気軽に行けない。こんな時でも、カラダを鍛えることは十分可能。その方法とは自体重を使った自宅トレーニングです。

取材・文/黒田創 撮影/小川朋央 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/中田真代 イラストレーション/越井隆 監修・指導/菅原順二(arancia)

初出『Tarzan』No.785・2020年4月9日発売

自分の体重を負荷にする自宅トレは、言うなれば筋トレの基礎中の基礎。うまくカラダをコントロールし、必要十分な負荷をかけて筋肉を刺激する。

アスリートやトレーニーの中には何より自体重トレを重視する人も多いし、効果も期待できる。

詳しく指導してくれるのは自身も自体重トレ派だと言う菅原順二さん。初心者の疑問に答えつつ、“効く”メソッドを伝授する。

1. 忙しくて時間が取れないのですが、週2から週3が鉄則でしょうか?

せいぜい週2ぐらいしかトレーニングに時間を割けない。筋肉を超回復させるには48~72時間の休息が効果的と聞くが、つい間隔が空きすぎて週1や週0に…。

「どんなに多忙でも1日に10分程度の時間は作れると思うので、毎日10分筋トレしましょう。朝でもいいし、夜に飲み会があればその夕方やるなりして、とにかく毎日10分やる。特に初心者は週2回など下手に間隔を空けると“今日はいいや”と先延ばしにしがち。最初はハードルを低めにしておけば自信がつくし、カラダも慣れていくはずです」

1日10分の自宅トレーニングなら、2日以上休んで筋肉を回復させることに気を配らなくてもよいし、10分以上鍛えたくなったら、もちろんガンガンやってOKだ。

2. 決まった回数こなすのが苦痛な場合はどうする?

10回×3セットは筋トレの定番の回数設定。しかし、どうも10回ごとに区切ったり、一回リセットするのが性に合わないという向きは、少し発想を変えてみてはいかが?

「そういう方は5分もしくは10分、または50回など、セット数ではなく時間や回数単位でやってみること。10回×3セットというのはあくまで目安で、自分のこなせる範囲でしかないのです。

もっとできると思えば30回でも40回でもやればいいし、100回やっても構いません。高負荷のメニューであれば10回を2セットやり、3セット目は2回でオールアウトすることだってある。

もちろん10回×3セットこなすことにも意味はありますが、その枠を外せば限界に挑戦できるし、自宅トレで筋力アップが見込めるのです」

3. 自宅トレするベストタイミングはいつ?

自宅トレとはすなわち、毎日がトレーニング日和。でも、いつでも鍛えられるとなると、逆にいつがベストタイミングなのかわからない。

「一日のうち最も自律神経が安定する夕方がいいとか、朝の筋トレは脳とカラダを目覚めさせるとか言われますが、経験からすると、“自分が最もやりやすい時間”がベスト。午前中に時間的余裕があれば朝でもいいし、比較的仕事が早く終われるなら夜でもいいでしょう。

人間は朝型か夜型か、遺伝子が決めているとも言いますし、あくまで自分の感覚を信じて、習慣化できる時間帯にやってみてください。ただし、時間を日によってずらすのはNG。朝なら朝、夜なら夜という具合にある程度固定した方がいいでしょう」

  • 朝・朝の筋トレはカラダと心を目覚めさせるとも。
  • 昼・ランチ後の腹ごなしに筋トレしてもOK!
  • 晩・自律神経が最も安定する夕方以降にやるのも手。

4. 自宅トレに変化をつけるために、おすすめのギアは何ですか?

自宅トレは自体重、つまり自分の体重を最大の負荷として利用するわけだが、変化を求めるなら重宝するのがゴムチューブである。

チューブ
チューブの種類はいろいろ。/チューブは色別に強度が異なるためセットで2,000円から3,000円程度のものを購入するとよい。持ち手付きのものが初心者は扱いやすい。

チューブは安価で使いやすく的確な負荷を与えることができるのがメリット。スクワットプッシュアップだけでは負荷をかけにくいような部位も、チューブがあれば自宅でもどこでも確実に効かせられます。強度が何段階かセットになったものが、応用範囲が広くておすすめです。レベルが上がればそれに応じてさらに強度の高い鍛え方ができます」

ギアといったらダンベルが思い浮かぶ人も多いと思うが、いきなりダンベルを購入するのはおすすめしない。初心者は正しい指導なしに負荷調節しにくいのがその理由だ。それにチューブなら持ち運びもできる。

5. メニューをこなすことに飽きてきたのですが…。

初めて真面目に取り組む自宅トレ。基本のスクワットもプッシュアップも、チューブを使ったその他のメニューも菅原さんのアドバイス通りちゃんとやってきた。…でも最近、どうもトレーニングに飽きている。

「それはもしかしたら、追い込みが足りていないのかもしれません。前にアドバイスしたように、オールアウト寸前まで自分を追い込んでいますか? そうでなければまだ“飽きた”の一言を発するのは早いです!」

そう、まだあなたは本当に限界まで鍛えていない可能性がある。

「100回連続でスクワットなりプッシュアップができるようになれば、カラダも変わってきて“次は何をやろうか?”と前向きになるはず。だから飽きたと言う前にまず100回は続ける。話はそれからです」