【肩こり・腰痛改善も】ほぐす→鍛えるで足の歪みを整える
回内した足は“ほぐす→鍛える”の2ステップで整えよう。腓骨筋、後脛骨筋、前脛骨筋、足底の筋肉の柔軟性を取り戻す4つのメニュー。それに加えて足のアーチを形成する筋肉を鍛える3種目を紹介する。
取材・文/鈴木一朗 イラストデータ撮影/安田光優 イラストレーション/村林タカノブ 編集/堀越和幸
初出『Tarzan』No.853・2023年3月23日発売
宮澤俊介さん
教えてくれた人
一般社団法人〈MPC〉代表。〈スポーツ・コンディショニング・ラボ〉運営。神奈川大学サッカー部、日本体育大学女子バレー部、湘南ベルマーレフットボールアカデミー、藤嶺藤沢高校サッカー部などで指導。
ほぐす→鍛える。距骨と踵骨の位置関係を正す
複雑な動きを実現するために、足は多くの細かな骨で構成されている。中でも、適切な運動に重要なのが、距骨下関節を形成する距骨と踵骨。
距骨下関節の動きは、回内、回外の2種類で、足が甲の方に反り、爪先が開き、足底が外を向く動きを回内。逆に、足裏の方に反り、爪先が閉じ、足底が内を向く動きを回外だ。
回内、回外という距骨下関節の運動
距骨と踵骨の位置関係が良好で、回内と回外の運動が無意識に適切に使い分けられているのなら問題ない。しかし、これが乱れると理想的な姿勢が保てなくなり、様々な不調に陥る。特に、回内側に偏ると、足底のアーチが潰れて扁平足に。
そんな回内した足を復元するには、“ほぐす”ことから始めよう。扁平足になった足は、筋肉が疲弊して硬くなっている。腓骨筋、後脛骨筋は足裏でクロスしてアーチを作り出す中心となり、前脛骨筋や足底の筋肉もこれに協力する。これらが柔軟性を取り戻し、自在に収縮できるようにしたい。4種のメニューを用意した。
次に“鍛える”。そもそもアーチは骨格が作り出したものではない。骨は筋肉がないとバラバラになってしまうのが、その証拠。筋肉が支えることで立ち上がってくるのである。そこで、アーチを形成する筋肉を鍛えていく。
“ほぐす→鍛える”を行うことで、初めて本来の距骨と踵骨を、正しい位置関係へと導いていくことができる。やり方や回数、時間はそれぞれのメニューに記した。毎日やるのが理想だが、最低週3回。腰、肩の痛みも軽減していくはずだ。
足をほぐす4種のメニュー
① 腓骨筋のほぐし
膝の外側の出っ張っている部分が腓骨の骨頭。ここから棒やビン、缶などの円柱状の道具で、上下にグリグリとこすりながら、下に向かって動かしていく。痛みが強い場所を見つけたら入念に。2〜3分でほぐれる。
② 後脛骨筋のほぐし
内くるぶしから手のひらの幅ほど上から、両手の親指で脛の内側にある後脛骨筋を押す。5回ほど押したら場所を上へずらし、痛みが強い場所を見つけたら、そこを中心にして1分ほど押し続ける。痛みがなくなったら終了する。
③ アーチ3種のほぐし
テニスボールを使って足の裏をグリグリ。まずは踵の内側から拇趾球に向かい、ボールを前後させながら進める。次に踵の中心から中指の根元まで。最後に踵の外側から小指の根元まで。1ライン3分かけゆっくり行う。
④ 前脛骨筋のほぐし
折って重ねたタオルを床に置き、腓骨のすぐ脇、外側にある筋肉に押し当て、体重を乗せて圧をかける。このときタオルがしっかり当たるように脛を左右に傾けて確かめる。痛みがあるところを中心に上下に2〜3分行う。
足を鍛える3種のメニュー
① 腓骨を立てる運動
肩幅に足を開く。爪先は正面に向け、踵、拇趾球、小指の根元にある小趾球の3点で体重を支持する。膝を開きながら(腓骨を立てながら)、腰を落としてスクワット。このときも3点の支持を崩さない。10〜15回×3セット。
② 内足アーチを引き上げる運動
ハードカバーの本や厚めの板切れなど段差が作れる道具を用意する。一方の足のアーチ(土踏まず)の外側を乗せ、片脚立ちになる。足の内側を床から引き上げて、足裏が床と平行になるようにしたら、10秒キープ。左右行う。
③ 爪先立ち
両足を揃えて立ち、踵を床から浮かす。注意したいのは、浮かせたとき膝を曲げないこと。また、開いてしまってもいけない。膝の皿を常に正面に向ける。さらに、床をつかむように指を丸めるのもダメ。10回×2〜3セット。