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ジョギングの始め方 3ステップ|② ウォーキングで足の機能を取り戻す

ジョギングの始め方 3ステップ②

手軽にできるジョギング。始めようと思い立ったらすぐにでも走り出したいところだけど、ジョギングを長く楽しく続けるためには走る前に知っておきたいポイントがある。カンタンな3つのステップを押さえよう。今回はステップ②「足の機能を取り戻す効率の良い歩き方」を紹介。

正しい歩きで足の機能を取り戻す

なまったカラダを目覚めさせ、準備が整ったら、いよいよ外に出ての実践に移ろう。といってもまだ走り出すのは早い。まずは正しいウォーキングのポイントをマスターすることが先だ。

美しい姿勢で効率よく歩くことができてこそ、人は走り出すことができるのだ。

歩き方なんて今さら練習する必要があるかって? もちろん、ある。というのも革靴でフラットな床を歩いている現代人は足の機能を十分に使えていない。スマホ片手に歩いていてもダメなのだ。

ウォーキングに比べてジョギングでは何倍もの負荷が足にかかる。足の機能を取り戻さない限り、ジョギングはならず、だ。

猫背で歩いても効果は得られない。まずは姿勢のリセットから

来る日も来る日もパソコンの前に座りっぱなしでキーボードを叩く生活。いつの間にか頭が前に出て背中は丸まり、骨盤が後ろに倒れた姿勢が当たり前に。これが続くといずれ脳が、こちらが通常の姿勢と勘違いしてしまう。

このまま歩き出しても骨盤が倒れているのでトボトボ歩きになりやすい。背中が丸まって視線が下がるので、視線を上げようとすると上体が反る。胸が潰れているので小さく浅い呼吸しかできず、すぐに苦しくなる。つまり、デスクの前から立ち上がっていきなりシャキシャキ歩ける人はそういない

そこで歩き始める前に姿勢をリセットする習慣をつける。深呼吸とセットの動きで全身のアライメントを整えるのだ。歩いているうちに姿勢が乱れたらそこで再びリセット。日常生活でもこまめに取り入れよう。

姿勢リセット&呼吸法

猫背で歩いても効果は得られないまずは姿勢のリセットから

両足は肩幅。背中を反らして両手を左右後方に伸ばし、胸を開いて大きく息を吸う。次に息を吐きながら背中を丸めて上体を前傾、両手の掌を外側にして下に伸ばす。8回。

ウォーキングのコツをマスター。フォームを意識して歩こう

姿勢をリセットしたら早速、歩き出そう。このときポイントとなるのはふたつの三角形

ひとつは肘と体幹の間の小さな三角スペース。このスペースは体幹が地面に対して垂直な状態で腕を後ろに引くことで形づくられる。上体が丸まっていたり反った姿勢では三角形ができないので、姿勢リセットが不十分ということ。

次に両脚の間の大きな三角スペース。こちらは脚を骨盤の付け根からしっかり動かすことで形づくられる。骨盤が使えない歩き方では三角形はできないので、走るためのカラダ作りに必要なストレッチ(詳しくはTarzan Webの記事:①走る前の土台づくり)を積極的に行うべし。

そして一歩進むごとに後ろ足の親指がきちんとしなっていること。こちらも大事なポイント。指がしなると足裏に張力が働いてそれを推進力に繫げることができる。うまくしならない人は下の壁押しで練習を。

親指が使えない人は壁押しで指の動かし方を練習

親指が使えない人は壁押しで指の動かし方を練習

親指がしなるということは足の指を使えているということ。この動きができないと足裏の張力が利用できず、進むときに横揺れの動作が入るおっさん歩きに。

そこで、まずは両足を前後に開いて両手で壁を押し、後ろ足の親指で押し出す練習。壁に両手をつけて全体重を乗せる意識で親指をしならせて押す。4カウントで左右交互に10回。

この感覚が意識できるようになったら歩いて応用。親指をしならせ指が地面を離れるギリギリまで地面を押す。これで50m程度歩いたら、その後、そのまま大股ウォーク。歩きがスムーズになっているはず。

敢えて不安定な動きを取り入れ、脳の入力ルートを鍛える

足の指が使えない原因のひとつとして考えられるのは、脳とカラダの関係性。外部からの刺激は末端から上行性神経を経由して中枢の感覚神経に至る。

これによって脳がカラダの今の状態を把握し、今度は運動神経経由で下行性神経に情報が伝わり、動きをコントロールすることができるという仕組み。

敢えて不安定な動きを取り入れ、脳の入力ルートを鍛える

ところが、革靴でフラットな床を歩くことが多い現代人は、このうちの入力ルートが劣化している可能性が高い。平坦な床では足の指を使わなくても直立できるし歩ける。よって出力ばかりに注意が向き、ますます入力の能力が衰えるというわけ。

脳とカラダの連携を鍛える方法はアンバランスな姿勢でカラダをコントロールすること。たとえば片脚立ちでバランスをとる練習。ぐらぐら揺れる情報が末端から中枢に届くことが入力ルートの強化に繫がる。

敢えて不安定な動きを取り入れ、脳の入力ルートを鍛える

片脚立ちになり、左右の腕を真横に伸ばして上体を前傾させる。床から浮かせた脚と背中が床と平行になるよう軸足をズラさずに10秒キープ。逆脚でも行い、2~3セット。

コラム:ウォーキングシューズを履き、日常でもフォームを意識しよう

歩くという動作の練習は30分のウォーキングトレーニングだけに限らず、いつでもどこでもできる。この最大のメリットを生かさない手はない。そして、より効率的にジョギング習慣を身につけたいなら、日常生活で履くシューズを替えるという方法もある。

おすすめは歩くときの着地の衝撃を軽減し、足のねじれを防ぐクッションが内蔵されたウォーキングシューズ。革靴はしばらく封印し、通勤の行き帰りでフォームを意識しながら歩いてみてはどうだろう。歩くほどに足の親指がしなる感覚も徐々に身についてくるはず。

今日はちょっと遠回りして駅まで歩こう。そんな気持ちが芽生えてきたら言うことなしだ。

取材・文/石飛カノ 撮影/内田紘倫 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/天野誠吾 取材協力/齊藤太郎(ニッポンランナーズ代表)

初出『Tarzan』No.851・2023年2月22日発売

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