ジョギングの始め方 3ステップ|③ 無理なく“走る”に移行するコツ
手軽にできるジョギング。始めようと思い立ったらすぐにでも走り出したいところだけど、ジョギングを長く楽しく続けるためには走る前に知っておきたいポイントがある。カンタンな3つのステップを押さえよう。今回はステップ③「力まず無理なく“走る”に移行するためのコツ」を紹介。
取材・文/石飛カノ 撮影/内田紘倫 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/天野誠吾 取材協力/齊藤太郎(ニッポンランナーズ代表)
初出『Tarzan』No.851・2023年2月22日発売
「歩く」から「走る」へ
ジョガーデビュー、または再デビューのみなさま、大変お待たせしました。ここから最後のステップ、「走る」フェーズへと突入しよう。
ここで言うジョギングとは、自分のペースで楽しくゆっくりと走ること。会話できるぐらいの息づかいと心拍数で走ることを目指そう。
社会人になってからほとんど走っていないという人は、初めの一歩が肝心。ピョンピョンと上に跳ねたりいきなりダッシュをするのは禁物。正しい姿勢を保ちながらごく自然に一歩を踏み出し、リラックスしながら走り続けることがポイント。それではヨーイ、スタート!
いよいよジョギング開始。倒れ込む意識で一歩踏み出せ
ジョギングにシフトするときに必ず行ってほしいのが、以下の動作。まずヘソの下に両手を置いて丹田を意識し、カラダをまっすぐにして前に倒れ込みつつ倒れる直前に足を一歩前に出す。
人が正しい姿勢で立っているときの重心のラインを横から見ると、頭のてっぺんから耳、肩、腰、膝、くるぶしを結んだ一直線上にある。
で、最後に地面に接する重心ラインは足首のちょっと前。つまり、人はもともと前に倒れやすい状態で立っている。爪先というストッパーがあるからまっすぐ立っていられるのだ。
だからカラダを敢えて前に倒してストッパーを外し、自然に一歩踏み出せばそのままジョギングに移行できるというわけ。楽に走れるようになるまでジョギングの初動として常に行ってほしい。
まっすぐに立ち両手をヘソ下の丹田の上に置く。バランスを前に崩して丹田を中心に全身を前傾させ、倒れる寸前で一歩踏み出し、10歩程度走る。3回繰り返してから走り出そう。
いきなり腕振りをしない。まずは肩を脱力させることから
初心者のうちは推進力に繫げようと頑張って腕を振る必要はない。ジョギングでは駅伝のようなスピードランは必要ないし、第一、腕を振ろうとすればするほど肩が力んでしまうからだ。
デスクワークに慣れたカラダはとにかく脱力することが苦手。猫背で肩をすくめキーボードを叩く姿勢がしみついていて、腕を振るつもりでいても肩に力が入ってガチガチに固まってしまいがち。すると走ることで逆に肩こりや首こりが引き起こされることに。
走る前、または走っている途中、まずは動的ストレッチで肩を脱力する練習を。頑張るのではなくリラックスすれば、いずれ自然に腕が振れるようになる。そのときこそ無理のない推進力が得られるはず。
肩を脱力する動的ストレッチ
まず左右の肩をできるだけ上方に引き上げる。猫背にならないように。その後、肩と腕を脱力させてストンと下ろす。これを5~10回繰り返し。走る前の習慣に。
両足を肩幅に開いて立ち、両手を頭上に。肘は軽く曲げて肩は脱力させた状態。そのまま両膝をカクンと曲げると同時に腕の重みを利用して腕を後ろに振り下ろす。5~10回。
ジョグで呼吸が乱れたらウォークにスイッチして整えよう
「今日は14分間走り続けると決めたので歩く時間はあと1分。ちょっと息が苦しいけれど目標達成するために再び走り出さなくちゃ…」
目標達成も大事だが、カラダに余計な負荷をかけないことはもっと大事。「辛い」というイメージは長続きさせることを阻む最大の要因だ。
走っていて辛いと思ったらペースを落とす、または速やかにウォークに切り替える。立ち止まってハアハア息を整えるのではなく、あくまで歩きながら呼吸を整える。息切れしなくなった時点で再び走り出せばいい。
途中で姿勢リセット&深呼吸を差し挟むことも有効。
姿勢リセット&呼吸法
両足は肩幅。背中を反らして両手を左右後方に伸ばし、胸を開いて大きく息を吸う。次に息を吐きながら背中を丸めて上体を前傾、両手の掌を外側にして下に伸ばす。8回。
走ると決めた時間を厳密にキープするのではなく、カラダに無理がかからないペースを見つけて優先させよう。
コラム:2歩で吸う?3歩で吐く? 自分に合った呼吸を探ろう
楽なペースで行うジョギングの場合、基本的に呼吸に関してはフリースタイル。自然呼吸で苦しくなったらペースを落とせばいい。
鼻から吸って口から吐くと決めずに、どちらも使って苦しくないよう息ができればよし。
でも慣れてきたら今より楽に走れるような呼吸法を身につけたいと思う人も出てくるはず。スッスッ、ハッハッと2回ずつ吸って吐くというのは古典的なマラソンの呼吸法。
一般的なランナーの場合は、2歩進む間に息を吸い、2歩進む間に息を吐くというもの。また、ゆっくりペースなら3歩ごとに息を吐いて吸うというパターンもありだ。まずはいろいろ試してみて、自分に合った呼吸のサイクルを摑もう。