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健康を保ちたいなら大切に。肝臓の知られざる6つの働き

肝臓の知られざる働き

解毒のイメージが強い肝臓だが、実は他にも健康を左右する多様な働きを担っている。栄養代謝に免疫、増血、おまけに糖尿病にも密接に関わっているというから驚き。いかに肝臓が重要か思い知らされる働きの数々を紹介しよう。

教えてくれた人:尾形 哲さん

おがた・さとし/佐久市立国保浅間総合病院外科部長、同院「スマート外来」担当医。神戸大学医学部卒業。パリ、ソウルの病院で肝移植手術を多数経験後、帰国。日本でも生体肝移植を多く手掛ける。医学博士。

教えてくれた人:栗原 毅さん

くりはら・たけし/栗原クリ ニック東京・日本橋院長。北里大学医学部卒業。東京女子医科大学で肝臓病学を専攻し、教授に就任。生活習慣病の予防・治療を目的としたクリニックを開設する。医学博士。

① 肝臓は3大栄養素をすべて代謝する

臓器には動脈から血液が流れ込むが、肝臓はそれ以外に、消化管からも門脈という専用パイプラインで血液が流入する。その量は動脈からの供給量の約4倍に達する。門脈からの血液は、消化吸収された栄養素を豊富に含む。

これらを代謝するのが、肝臓の大事な仕事。ことに糖質脂質タンパク質3大栄養素は、肝臓が処理して初めて役立つ

肝臓は、糖質からグリコーゲン中性脂肪を作る。血中の糖質(血糖)の量を示す血糖値が下がると、グリコーゲンを分解して血糖に変えて放出する。

肉などから摂る脂質の大半は中性脂肪だが、そこから肝臓はコレステロールリン脂質などを合成する。コレステロールを肝臓から末梢へ運ぶのがLDLコレステロール、末梢から肝臓へ運ぶのがHDLコレステロールだ。

タンパク質はアミノ酸に分解されて肝臓へやって来る。肝臓はアミノ酸からアルブミングロブリンを作る。このうちアルブミンは、血液中の水分量を一定に保つ。

② 肝臓は免疫にも関わっている

肝臓は免疫にも関わっている

肝臓の役割というと、代謝と解毒というイメージが強いけれど、外敵からカラダを守る免疫反応の主軸でもある。その中心人物がクッパー細胞

「免疫を担う白血球の仲間、マクロファージの一種です。クッパー細胞をはじめ、肝臓には全身のマクロファージの80%ほどが集まります」(肝臓外科医の尾形哲先生)

カラダの玄関口は、口ではなく、小腸。口から肛門までシームレスに貫く消化管の内部は、外界とつながっており、栄養素を吸収する小腸こそが本来の入り口である。その小腸で吸収したものは、門脈などを通して、肝臓へ送られる。

そこで、新型コロナ対策の除菌装置がウイルスを退治するように、異物・毒素などをクッパー細胞などが取り込み、無力化。小腸から入る異物・毒素ばかりではなく、気管を通して空気中から侵入したものにも、肝臓の免疫細胞が免疫作用を示すこともわかっている。

免疫力を上げて健康を保つため、肝臓を大事にすべきなのだ。

③ お酒を飲むと強くなるのは肝臓の「MEOS」のおかげ

お酒を飲むと強くなるのは肝臓の「MEOS」のおかげ

肝臓の大きな働きは、老廃物や有害物を解毒して排泄すること。

たとえば、タンパク質の代謝で生じるアンモニアは肝臓で尿素となり、腎臓から排泄される。また、古い赤血球から生じるビリルビンは、肝臓が作る胆汁で腸管へ排泄される。胆汁は脂質の消化も助けるが、本業は不要物の排出だ。

解毒で有名なのは、アルコール代謝

アルコールは、アルコール脱水素酵素(ADH)でアセトアルデヒドとなり、アルデヒド脱水素酵素(ALDH)で酢酸に変わり、水と二酸化炭素に分解される。ADHとALDHの活性は遺伝の影響を強く受け、体質的に飲めない人もいれば、大酒飲みもいる。

だが、体質的に弱いタイプも、ムリすると少し酒量が増える。

「ADHと同じ働きをするMEOS(メオス)という酵素が活性化するため。ただALDHの活性が低い人は、有害なアセトアルデヒドが溜まる一方で、猛毒の活性酸素も増える。ムリな飲酒は厳禁です」(肝臓専門医の栗原毅先生)

④ 肝臓は血液を作り、壊している

肝臓は血液を作り、壊している。

血液内では、酸素を運ぶ赤血球、免疫を担う白血球やリンパ球、血液を固める血小板といった血球たちが大活躍している。

この血球を日々作るのが、骨の中心部にある骨髄。ここに集まった造血幹細胞は、すべての血球に分化できる能力を持っている。その働きを「造血」という。

胎児の造血は初め卵黄囊(胎児に栄養を与える組織)で行われるが、3か月ほどすると肝臓と脾臓で行われるように。6か月以降は、骨髄で造血されるようになり、生後は造血の主役は骨髄に移る

だが、慢性的な貧血などの異変が起こると、それに対処するため、骨髄以外で「髄外造血」が行われる。担うのは、肝臓と脾臓だ。

異変がなくても、肝臓は造血と深く関わる。骨髄では、赤血球を作るときに葉酸ビタミンB12が欠かせない。肝臓はこの葉酸とB12を貯蔵しており、必要に応じて骨髄に提供するのだ。また、脾臓と並び、古くなった血球を壊すのも、肝臓の知られざる働きである。

⑤ 肝臓が悪くなる腎臓も必ず悪くなる

肝臓が悪くなると腎臓も必ず悪くなる。

カラダの土台を支える肝臓と腎臓は表裏一体&二人三脚

「その証拠に、肝臓が悪くなると、腎臓も必ず悪くなります。それは“肝腎症候群(HRS)”と呼ばれています」(尾形先生)

前述のように、肝臓は血管内の水分量を保つために、アルブミンというタンパク質を作っている。でも、肝機能が落ちると、アルブミンの合成量が減る。そのため、血管外に水分が漏れ出してむくみが生じ、その分だけ血流量が少なくなりやすい。

そうなると、困るのは腎臓。その作用は、血液を濾過して尿を作ること。血流量が減ると仕事に差し障るので、交感神経を優位にしたり、レニンというホルモンを分泌したりして、血圧を上げて血流量を増やそうとする

それが行きすぎると、腎臓の血管が収縮して血液がスムーズに濾せなくなり、尿量自体が減る。これが肝腎症候群の実態である。盟友の腎臓を守るためにも、肝臓を労ることが求められるのだ。

⑥ 糖尿病は「肝臓病」でもある

糖尿病は、予備群を合わせて推定患者数2000万人。その糖尿病とも、肝臓は密接に関わる。

「糖尿病には、“肝臓病”としての側面もあるのです」(栗原先生)

糖尿病は、血糖値が高くなり、下がりにくくなる病気。合併症を起こすと慢性腎臓病(CKD)から人工透析になることもある。

糖尿病では血糖値を下げるインスリンというホルモンの作用が落ちる。インスリンを分泌するのは膵臓だが、そこに肝臓も一枚嚙む。肝臓に脂肪が溜まりすぎる脂肪肝に陥ると、インスリンの効き目が落ちる「インスリン抵抗性」が生じる。

脂肪肝単独でインスリン抵抗性が起こる
インスリン抵抗性と肝臓の関係

肥満ではない日本人男性87人を対象にした研究の結果。内臓脂肪よりも脂肪肝の方が、骨格筋のインスリン感受性を低下させてしまい、インスリン抵抗性を進めることがわかる。Kadowaki S et al. J endocr Soc. 2019

すると、膵臓は質の低下を量で補おうと、インスリン分泌を増やす。インスリンは肝臓に脂肪を溜め、脂肪肝を促すため、より一層インスリン抵抗性が進行。そのうち、膵臓が疲弊してインスリンを十分分泌できなくなり、糖尿病が進むのだ。

肝臓ケアで糖尿病も予防しよう。

取材・文/井上健二 イラストレーション/市村ゆり 取材協力・監修/尾形哲(肝臓外科医、長野県佐久市立国保浅間総合病院外科部長)、栗原毅(栗原クリニック東京・日本橋院長)

初出『Tarzan』No.847・2022年12月15日発売

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