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“スリップインするだけ™”じゃない!《スケッチャーズ スリップ・インズ》快適学。
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背中を鍛えれば懸垂はできるし、懸垂で背中はさらに鍛えられる。ゆえに、できるようになればなるほど楽しいのが懸垂。でも、実は正しいフォームで行うと、たったの1回ですらかなり難しい。正しい懸垂のフォームを徹底解説。
「よく動画などで何回も懸垂をしている人を見ますが、正しいフォームで行われていないことがよくあります」
こう語るのはトレーナーの清水忍さん。多くの人は懸垂を、鉄棒にぶら下がってただカラダを引き上げる運動だと思っている。だが、それでは不完全。
「懸垂は、背面にある僧帽筋や広背筋といった筋肉を鍛えることが本来の目的です。だから、そこに集中して負荷を与えられるかが、重要になります」
たとえば、下の解説にもあるが、背中が丸まって、肘が体側の前に出る懸垂では、背面の筋肉の出番は少なくなる。広背筋は主に腕を後方へ引くとき、僧帽筋は肩甲骨を寄せて引き下げるときに力を発揮するからだ。
「そのような懸垂だと、負荷が他の筋肉へと分散され、ある程度の回数はこなせるかもしれない。けれども見た目が美しくないし、効いていません」
正しいフォームは美しいが、1回引き上げることも困難となる。ホンモノの懸垂、やってやろうじゃないか。
今回は、ステップ①:ぶら下がった状態、ステップ②:引き上がる途中、ステップ③:上がり切った状態、の3つのステップに分解してポイントを解説していく。
正しいフォームでカラダを引き上げるために、視線や脚の位置など、細かいところにも気を配ろう。
【手】
親指を鉄棒の上から回すのがサムレスグリップ。手首の可動域が広く、懸垂の動きに対応しやすくオススメ。これから試してみよう。
親指を下から回すサムアラウンドグリップ。バーベルなどを持ち上げるときは、基本的にはこの握り。懸垂のときも、コチラでもOK。
【視線】視線は斜め上方に向ける。下を向くと背中が丸まる。
【体幹】完全に脱力して、腕を伸ばした状態でスタート。
【肩甲骨】ぶら下がって完全に脱力した状態では肩甲骨は上がり、外に開いている。
【脚】膝から下を曲げて、後方に置くことでバランスがよくなり懸垂がしやすくなる。
カラダを引き上げる際、ポイントとなるのは肩甲骨。ついつい肩がすくみがちだが、腹、肘の使い方を意識して、肩甲骨を引き下げつつ、内側に寄せるイメージを持とう。
【肩】カラダを引き上げる間は肩はずっと引き下げておくこと。カラダは常に一定の速度で引き上げる。反動を使ったり、勢いで上がるのはダメ。
【腹】腹は前に突き出すようにして、背すじを反らせる。
【肩甲骨】背すじを反らせて、左右の肩甲骨を寄せる。カラダを引き上げるときに、肩甲骨は下がって、内側へと閉じていく。
【肘】肘は常に体側の後方に留める。肘を曲げてカラダを上げるというより、肘をカラダの後方へと引くように意識するといい。
フィニッシュでは、背面の筋肉に効かせるため背中が丸まらないように注意。顎と胸の位置を調整して、最後まで背中を丸めずに実践しよう。
【顎】引き上げたときに顎は鉄棒と一定の距離を保つ。引き上げ動作で自然に決まった頭の位置をキープする。
【胸】胸は反らせて、胸とバーの距離が10cmほどになるまでカラダを引き上げる。
【肩甲骨】フィニッシュでは肩甲骨はしっかりと下げて寄せることが重要。
手幅は肘を90度に曲げたとき、上腕が床と平行、前腕が床に対して垂直になるのが基本。だから、ここではこの手幅で行いたい。
加えて、手幅を変えると鍛えられる筋肉が変わることも覚えておこう。
基本よりも手幅を広げた懸垂は主に広背筋に効くが、ピンポイントで負荷がかかるため難度が高い。手幅を狭めると背面ではなく、負荷は分散され大胸筋や上腕二頭筋の働きが大きくなる。
取材・文/鈴木一朗 撮影/小川朋央 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/大谷亮二 イラストレーション/山口正児 編集/堀越和幸 監修/清水 忍(IPF代表) 撮影協力/ReBoot辰巳 https://reboot-gym.com/
初出『Tarzan』No.846・2022年11月24日発売