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足のトラブル、4つの症状別エクササイズ。
足のアライメント(骨の連なり)が変形してしまったら、整形外科などで治療するほかない。でも、変形初期の段階では、自宅で行えるセルフケアが有効。
「アライメントがそれ以上崩れないように抑えたり、多少崩れていてもバランス調整や歩行といった足のパフォーマンスを高めたりする効果が期待できます」(足のクリニック表参道理学療法士の久保和也さん)
紹介するのは“2階建て”のプログラム。足トラブルの大半は、健全な足アーチが潰れた扁平足が引き金。そこで1階部分では、足アーチを甦らせるエクササイズを行う。その上の2階部分では、3大足トラブルに焦点を当て、各々に追加エクササイズを指南する。頻度は週3回以上を目安に。
扁平足対策|足アーチを作る筋肉をトレーニング。
アキレス腱ストレッチ | 左右各45~60秒キープ×3セット
アキレス腱を伸ばすと足首の可動域が広がってよく動くようになる。それにより荷重した際の負担が減り、足アーチは潰れにくくなる。
- 椅子の後ろに立ち、両手を背もたれに添える。上体を床と垂直に起こし、左足を大股1歩分後ろに引き、右膝を曲げ、左脚を伸ばす。
- 左足の踵を床につけ、左側のアキレス腱をストレッチ。左右を変えて同様に行う。
両足の爪先を平行に揃える。後ろ足の爪先が外側へ開く「外旋」が起こると効きにくく、後ろ脚の膝を曲げたり、踵を浮かせたりすると、アキレス腱が十分ストレッチされないので気をつけよう。
タオルギャザー | 左右各3セット
足アーチを作るために重要な役割を持つ足の筋肉をトレーニングする。足首の角度を変えて行うことでより多くの筋肉が強化できる。
●ノーマル
- 床にフェイスタオルを縦に敷き、椅子に浅く坐って左足を乗せる。
- 左の足首と膝を90度曲げる。足の指を握り込み、タオルを手前に引き寄せる。
- 続いて左脚を軽く伸ばして(足首を底屈させて)同様にタオルを足指で握り込み、手前に引き寄せる。なお、両足同時に行ってもOK。
●アドバンスト
ノーマルより足の角度を前にだしタオルを引き寄せる。
足指じゃんけん | 左右各10回×3セット
足指を屈曲させるタオルギャザーでは鍛えにくい筋肉(足の内縁と外縁、足指の間)を、足指を開く動きで満遍なく鍛えていく。
- 椅子に浅く坐り、左膝を軽く曲げて左足を前に出す。爪先を引き上げ、「グー」を作るように左足の足指を深く曲げる。
- 続いて「チョキ」を作るように親指だけを上げる。
- さらに親指を下げて他の4指を伸ばす。
- 最後に「パー」を作るようにすべての指を大きく開く。以上、左右を変えて同様に行う。
トウスプリットアウト | 左右各5秒キープ×3セット
足アーチを高めるための筋力を養う。足指を上げると足底腱膜が張り、足アーチはアップ。それを保ち、親指だけを床につける。
- 椅子に浅く坐り、左足を前に出し、爪先と膝の方向を揃える。踵、親指の付け根の母趾球、小指の付け根の小趾球を床につける。
- 足指をすべて反らせながら「パー」の状態を維持、足アーチを高く引き上げる。
- 足アーチを保ったまま親指だけを床につけてキープ。左右を変えて同様に行う。
外反母趾対策|親指の関節を柔らかくする。
親指の上下ストレッチ | 左右各10回×3セット
中足部を握り親指を開きやすくしてから、親指と人差し指の間にある筋肉(内転筋)を伸ばし、固まった親指の関節を柔らかくする。
1. 椅子に浅く坐り、右脚を左脚にクロスさせる。
2. 右足の真ん中の土踏まず付近を右手で上からギュッと摑む。
3. 左手の指で、右足の親指を横へ引っ張る。
4. 引っ張ったまま、右足の親指を上下に動かす。左右を変えて同様に行う。
強剛母趾対策|こわばった足の関節を整える。
親指の背屈ストレッチ | 左右各30秒キープ×3セット
親指の中足骨を上から押さえると強剛母趾でこわばっている親指の関節(MP関節)が動きやすくなる。その状態で親指をストレッチ。
- 椅子に浅く坐り、右脚を左脚にクロスさせる。右手の親指で、右足の親指の中足骨(爪先立ちで曲がるMP関節より手前)を上から押さえる。
- 左手の人差し指と中指で、右足の親指を反らせてキープ。左右を変えて同様に行う。
母趾球に力を入れてヒールアップ | 3秒キープ×10~15回
ストレッチでは手で中足骨を押さえたが今度は母趾球で立ち、強剛母趾で動きが悪くなっているMP関節の“嚙み合わせ”を改善。
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- 椅子の後ろにまっすぐ立ち、両手を背もたれに添える。両足を腰幅に開き、爪先を平行に揃える。
- 母趾先に力が逃げないように浮かせたら、母趾球に力を入れて無理のない範囲で踵を高く上げてキープ。
足底腱膜炎対策|硬くなった足底腱膜をほぐす。
足底腱膜のストレッチ | 左右各30秒キープ×3セット
硬くなった足底腱膜をストレッチでしなやかに整える。上記のアキレス腱ストレッチと組み合わせるとより効果的。
- 椅子に浅く坐り、左脚を右脚にクロスさせる。左足の爪先を脛の方へ上げて背屈する。
- 右手の親指で足裏の真ん中を圧迫。
- 左手で左足の指を持って反らせ、足底腱膜を伸長してキープする。左右を変えて同様に行う。
太腿後ろ側のストレッチ | 10秒キープ×3セット
足底腱膜は、ふくらはぎや太腿の後ろ側とリンクしている。ことに太腿後ろ側を柔らかくすると、足底腱膜はよりほぐれやすくなる。
- 両足を腰幅に開いて立ち、爪先を平行に揃える。
- 上体を深く前屈させて、膝を曲げて両手で足首を摑む。背中が丸まらないように、顔を上げて胸を張る。
- ゆっくり膝を伸ばし、太腿後ろ側をストレッチ。膝はできる範囲内で伸ばす。
膝の痛みを抱えている人へ。
足アーチの崩れ以外でも、足まわりに障害を招きやすい誘因がある。それは、加齢や運動不足などで脚の付け根の股関節が外向きに回る外旋位で固まること。股関節は本来自在に可動するもの。それが柔軟に動かないと足元の不自然な捻りストレスを吸収できず、捻りに弱い膝関節のダメージとなる。
外旋気味かどうかを足踏みしてチェックし、思い当たる人はストレッチ&トレーニングに励み、股関節を内向きに回す内旋気味に整えよう。
チェック
両足を腰幅に開き、足元を見ず、目線を正面に向けたまま、その場で自然な足踏みを左右5歩ほど行う。
その結果、足幅が腰幅より開き、爪先が15度以上開いている人は股関節が外旋しているかも。
内旋ストレッチ | 左右各30秒キープ×3セット
- 両脚を伸ばして坐る。右膝を軽く曲げ、股関節を開き爪先は外に向ける。
- 両手を後ろにつき、上体を起こして骨盤を立てる。お尻をストレッチ。左右を変えて同様に行う。
レッグアブダクション | 左右各10回×3セット
- 左を下に床に横たわり、左膝を曲げ、右脚を床と平行に伸ばす。
- 右腕は体側に置く。
- 右足の爪先を床に向け、股関節を内旋。その状態で右脚を(真上ではなく)少し後方へ引き上げて、元に戻す。左右を変えて同様に行う。