歩数を稼ごう!「歩く」を増やす、続ける11のアイデア
歩くことはカラダにも脳にもいいことだらけ。でも、忙しい毎日の中で時間を捻出してウォーキング習慣を作るのはなかなか大変。ならば普段の生活の中で“ついで”に歩数を稼いでしまおう。いつの間にか歩きを増やせるアイデアを紹介!
取材・文/井上健二 イラストレーション/室木おすし 取材協力/池田ノリアキ(ウォーキングトレーナー)、神戸貴宏(Body Design Studio ASK代表、トレーナー)
初出『Tarzan』No.843・2022年10月6日発売
目次
① 身近なひと駅分の距離、歩数、時間を把握する
日常生活の延長線でできるのが、ウォーキングの大きなメリット。なかでも定番なのが、出社日などにひと駅分歩くことだ。
ひと駅分の距離は、さまざま。たとえば、東京・山手線のひと駅間は平均1.2km程度。歩幅70cmなら1700歩。所要時間は17〜18分だ。このように生活圏のひと駅分を歩き、距離、歩数、所要時間を事前に割り出すと、「20分空いたから、ひと駅分歩こうか」という前向きな気分になれる。
自宅からの往路でも復路でも、利点はある。仕事へ向かう途中に歩くと、心身の準備運動となり、作業効率が上がる。帰り道なら多少汗ばんでも、すぐにシャワーが浴びられるから、気兼ねなく歩幅を広げて運動量が増やせる。
② まとめ買いを控えて、こまめに買い物する
週末、クルマでショッピングセンターまで出かけ、1週間分の食材や日用品をまとめ買い。作り置きに精を出す人もいるだろう。クルマなしでは買い物が不便なエリアならそれも仕方ないが、徒歩圏内にお気に入りのスーパーマーケットがあるなら、あえてまとめ買いを避けて歩数を稼ごう。
買い物は、歩く貴重なチャンス。そのつど、必要なものを買えば、歩数が増やせる。頻度が増える分、徒歩でラクに持ち帰れる程度まで、1回当たりの買い物量を抑えたい。
日用品はもちろん、生鮮食品までネット通販が頼りという人でも、「旬の魚介類や産直野菜だけは、自ら手に取って吟味して買う」などと決めておけば、スーパーまで足を運ぶモチベーションになる。
③ ギリギリ歩けるコンビニまでの歩数をカウントしておく
生活圏にいくつもコンビニがあり、1日1回はコンビニに立ち寄るという人は少なくないだろう。コンビニは自宅からもっとも近い店舗に行くのが当たり前だが、歩数を稼ぎたいなら、歩いてもギリギリしんどくない範囲内で、いちばん遠い店舗に足を運ぼう。
仮に最寄りから500m先にある店舗まで足を延ばすと、往復1km。約1400歩も余分に歩ける計算になる。1日おきに“遠征”できたら、1か月で2万歩以上歩数が上乗せされる。
ミネラルウォーターなどの重たいもの、トイレットペーパーなどのかさばるものは最寄りのコンビニ、おにぎりやパンなど軽くてハンドリングしやすいものは遠くのコンビニという具合に、使い分けるのもグッド。
④ 15分のプレイリストを複数用意してから歩く
ヒトが一度に集中できる時間は、15分が限度という説がある。飽きっぽいという自覚があるなら、1セッション15分単位にするとウォーキングは続きやすいかも。
30分歩くと決めたら15分で1回休憩を入れて2回、45分歩くなら同じく15分×3回と考える。その際、好きな音楽を聴きながらだと、より軽やかに歩ける。
あらかじめ15分前後のプレイリストをいくつか用意しておけば、15分なんてあっという間だ。
「体脂肪を効率的に燃やすなら、BPM115〜140ほどのアップテンポの曲がお薦め。リズムに合わせて肘を後ろに引くと、足がスッと前へ出やすく、大股でテンポよく歩けます」(ウォーキングトレーナーの池田ノリアキさん)
⑤ フードデリバリーに頼らず、お店まで歩いてテイクアウト
スマホで好きなメニューを選び、タップするだけで自宅まで即届く。コロナ禍以来、すっかり市民権を得たのが、フードデリバリー。
便利すぎるサービスだが、あまりに頼りすぎると、運動不足&歩数不足に拍車がかかる。一方、メチャ混みの店で飲食するのにまだまだ抵抗がある人もいるだろうし、家呑みの快適さに目覚めたタイプも多いに違いない。
ならば、デリバリーに頼らず、注文品をテイクアウト。自らお店まで歩いて取りに行こう。行きは手ぶらでも、帰りは注文したブツを手にしているから、多少なりとも運動量はアップする。デリバリー代も浮いて経済的。
⑥ 15分、30分、45分のホームコースを作る
ウォーキング好きには、お気に入りのホームコースがあるもの。
ウォーキングコースには、①周回型、②Uターン型、③一筆描き型の3タイプがある。①は公園などを何周かするもの。②は目的地まで歩き、回れ右で戻る。③はスタートしたら同じところを通らず、大回りしてゴール。好みと周辺環境に合わせて設定しよう。
大切なのはホームコースを一つに絞らず、複数用意すること。一つしかないと飽きやすいし、「いつものコースは30分かかる。今日は時間がないから、歩くのはパスかな」などと諦めがち。15分、30分、45分などと所要時間が異なるコースを準備すると継続しやすい。
⑦ 1000歩分歩ける場所を、近所に複数作る
必ずしも歩数だけにこだわる必要はないけれど、一日に何歩歩くかはわかりやすい目標。目標を定めると何事にもやる気になれるから、歩数を目安に歩くのはやはり良い方法。
高すぎる目標を定めると成功率は下がり、失敗体験として心に刻まれるとモチベが落ちる。少し頑張ればクリアできそうな歩数目標を定めよう。まずは現状プラス1000歩(10分)くらいから。
そこで有効なのが、コンビニなどよく行くスポットまでの歩数を計測すること。「あと1000歩で目標達成だから、あそこまで歩いて戻ればOKだ」などと思えて成功体験が増え、意欲は高まる。
⑧ クロノタイプに応じた時間帯に歩いてみる
ちょっと早起きすれば、仕事を始める前に歩く時間はいくらでも作れるが、朝が苦手な人もいる。そもそもヒトは、遺伝や長年の生活習慣などにより、早起きが得意で朝から元気な朝型、夜更かしが好きで朝が苦手な夜型に大別できる。
これは「クロノタイプ」と呼ばれている。
クロノタイプが朝型なら、朝のウォーキングはハマりやすいが、夜型だと三日坊主で終わりやすい。早起きして歩くのがどうしても性に合わないのなら、安全なルートをチョイスして夜歩いてみよう。
ちなみにクロノタイプは、加齢で朝型へシフトしやすい。早朝散歩が好きな高齢者が多い理由だ。
⑨ ウォーキングに前向きになる信頼できるパートナーを作る
仲間がいると、運動は継続しやすい。励まし合ったり、疑問や悩みを共有&解消できたりするので、運動が続けやすくなるのだ。
一緒に歩いてくれる人がいたら、ウォーキングも続けやすい。隣で肩を並べて歩かなくても、SNSなどでその日の歩数、距離、時間などを共有すれば、一人で歩くよりも楽しく続けられそう。歩くペースや距離は人それぞれだから、その方がむしろ気楽でいいかも。
動物好きでペットが飼えるなら、最強のウォーキングパートナーは、ワンちゃん。愛犬の健康管理のために散歩が必須と決めたら、ウォーキングが苦でなくなり、犬も人間もみるみる健康になれる。
⑩ 300キロカロリーを消費できるルートを設定
ダイエット狙いで歩く人もいるだろう。そういうタイプは、ウォーキング中の消費カロリーを計算してレコーディングすると、歩く動機付けになりやすい。
消費カロリーの物差しは、安静時の何倍のエネルギーを消費するかを示すメッツ(METs)という単位。体重×メッツ×1.05というシンプルな公式で、1時間当たりの消費カロリーが概算できる(以下、体重70kgで計算)。
たとえば、通勤時のウォーキングは4メッツ。往復1時間で約300キロカロリー消費する。それより足を速めた速歩(時速6.4km)は5メッツ。30分で約184キロカロリー消費できるのだ。
⑪ 外食ばかりだと歩数がダウン。たまには自炊をしてみる
2016年、約10万人の医療従事者を対象としたハーバード大学の分析で、外食する人より自炊をする人の方が糖尿病になりにくく、太りにくいという結果が出た。その理由までは分析されていないが、おそらく自炊は必然的に歩行などの運動を伴うからだろう。
休日には息抜きを兼ね、皮から作る餃子、自家製スモークサーモン、本格的なパエリアなどなど、少々凝った料理作りに挑んでみてはどうだろう。
まずは歩いて食材の買い出しに出かける。極上の食材や調味料を求め、スーパーをハシゴするのも悪くない。調理中はキッチン内で結構歩くが、その間のエネルギー消費は安静時の3倍以上。自炊を週末のルーティンに加えれば、歩数が増えて健康になれそうだ。