筋膜・ツボを刺激。慢性的な腰痛を楽にする腰のマッサージ
日常の不調が表れやすい腰まわりは、2つのメソッドでアプローチしてみよう。まずはテニスボールで筋肉の奥に刺激を与える「筋膜マッサージ」。刺激するポイントを意識しながら行おう。
腰痛特有の「重だるさ」を解消するなら、骨盤まわりを中心としたツボ押し。指先や拳でさするように押し揉むと、突っ張り感や痛みが軽減するのを感じられる。
<b>筋膜マッサージ</b>:取材・文/井上健二 撮影/マルコ・ペルボニ スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/村田真弓 マッサージ監修/宇田川賢一(FIELD RIVER 筋膜治療院院長、筋膜治療師) <b>ツボ</b>:取材・文/新田草子 撮影/中島慶子 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/天野誠吾 イラストレーション/野村憲司(トキア企画) マッサージ監修/寺林陽介(六本木・寺林治療院院長、あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師)
初出『Tarzan』No.845・2022年11月2日発売
「筋膜マッサージ」で楽にする
宇田川賢一さん
教えてくれた人
うだがわ・けんいち FIELD RIVER筋膜治療院院長。あん摩マッサージ指圧師、鍼灸師。2003年、筋膜治療師の道へ進む。アスリートから高齢者まで、一人ひとりに合わせた治療とボディケアを実践する。
まずは腰痛のタイプをチェックしよう
慢性腰痛をセルフでケアするなら、前屈で痛むか、後ろに反らしたときに痛むかで分類するとわかりやすい。上の写真のようにカラダを動かしてみて、前屈すると痛むなら腰椎を支える脊柱起立筋上部、後屈すると痛むなら脊柱起立筋下部の筋膜が膠着しているケースが多い。
筋膜マッサージのやり方
筋膜マッサージは、テニスボールを使い、ボールが静かに深く沈み込む感覚が得られるまで、その姿勢を2~3分間保つと効果的だ。
連結ボールの作り方
腰椎の左右を縦走する脊柱起立筋の筋膜を一度に緩めるため、テニスボール2個を連結させたものを用意する。ボールをビニールテープかキネシオテープ(ドラッグストアなどで買える)で巻いて固定。
前屈で痛いタイプ|脊柱起立筋上部の筋膜マッサージ
脊柱起立筋上部(骨盤の左右の出っ張り=腸骨稜を結ぶラインより上)に連結ボールを横に押し当て、仰向けになる。
両腕を胸でクロスし、両膝を腰幅で曲げて立てる。膝を軽く屈伸させて、ボールを当てる場所を変えて動かしながらマッサージする。
反らすと痛いタイプ|脊柱起立筋下部の筋膜マッサージ
脊柱起立筋下部(骨盤の左右の出っ張り=腸骨稜を結ぶラインより下)に連結ボールを横に押し当て、仰向けになる。
両腕を胸でクロスし、両膝を腰幅で曲げて立てる。膝を軽く屈伸させて、ボールを当てる場所を変えて動かしながらマッサージする。
腸骨稜の探し方は?
腰幅でまっすぐ立ち、肋骨と骨盤の間の脇腹で、いちばん柔らかいところに両手の親指を押し当てる。そこから真下に親指を押し下げると、硬い部分にぶつかる。ここが骨盤の左右にせり出た「腸骨稜」という場所。
「ツボ」で楽にする
寺林陽介さん
教えてくれた人
てらばやし・ようすけ 六本木・寺林治療院院長。疲れを取るツボを刺激する「腎マッサージ」など独自のメソッドが口コミで評判に。著書に『女35歳からの「不調」は指1本で治せる!』(宝島社)など。
腎兪とその延長線上のツボを刺激しよう
腰まわりは生命力を司る「腎」の機能が宿るとされる場所。絶えず痛むなら、筋力をはじめカラダ全体の活力が落ちているサインかもしれない。
腎を活性化する「腎兪」と、その延長上にあるツボを丁寧に刺激しよう。リンパや血液の流れも改善され、効果てきめんだ。
慢性的な腰痛に効果的なツボの場所
天枢(てんすう):へそから指3本分外側の両側
帯脈(たいみゃく):へそと同じ高さの、両脇腹。ちょうどウェストのくびれのあたり
志室(ししつ):背骨の、へそと同じ高さのところから指4本分外側に寄ったところ
腎兪(じんゆ):へそと同じ高さの、背骨から親指1本分外側に寄った両側
ツボ押しのやり方
押し方:両手の3本指を左右の天枢に当てて、上下に10回押し揉む。続いて帯脈→志室→腎兪と移動しながら左右に押し揉む。志室と腎兪は親指を使うと押しやすい。これを何度か繰り返す。