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食卓で実践するために!クイズで学ぶ「食物繊維の基礎知識」

食卓で実践するために!クイズで学ぶ「食物繊維の基礎知識」

食物繊維が足りていない! だからって、闇雲にサラダを食べればいいワケではない。水溶性に不溶性、発酵に非発酵…。それらの違いと、何がどの食材に含まれているのかをクイズで理解しよう。基礎知識を押さえれば、普段の食事で実践できるはず!

食物繊維の基礎知識をおさらい

その昔、ヒトの消化酵素では分解できない食物繊維は栄養学的に無価値に等しく、悪い言い方をすれば「カス」のような扱いだった。

ところが、調べてみると、食物繊維をたくさん摂る国の人々はそうでない国の人々に比べて大腸がんが少ないことが分かった。たとえ栄養学的にエネルギーにならなくても健康に貢献しているのでは? これが食物繊維の夜明けになった。

最初に注目されたのは、不溶性食物繊維。文字通り水に溶けない食物繊維で、多くの野菜や豆の外皮に含まれる最もポピュラーな食物繊維だ。水を吸うとスポンジ状に膨らむことから、便のカサ増し効果が期待できる「おなかの掃除役」として注目された。

次に見直されたのが水溶性食物繊維。こちらは水に溶けるとネバネバの物体になり、周りにあるものを抱き込むという特性がある。余分な糖質脂質を包み込んで体外に排出してくれることから生活習慣病の改善に有効、と評価が高まった。

水溶性食物繊維の代表格は果物などに含まれるペクチン。フルーツジャムのゼリー状の食感はペクチンの働きによるものだ。

そして2000年代になり、食物繊維の第2の黎明期が訪れる。腸内細菌の研究が爆発的に増え、食物繊維の機能はもはや腸内細菌なしには語れなくなったのだ。

で、新たに出てきた分類法が「発酵する」か「発酵しない」か。ある種の食物繊維は大腸まで送られると、カラダにいい働きをする有用菌によって分解される。これが「発酵」。微生物によって発酵食品が作られるのと同じ原理だ。

近年では発酵の過程で作られる短鎖脂肪酸がさまざまな健康効果をもたらすことから、発酵性食物繊維の注目度が急上昇中。水に溶けるか溶けないかという分析による分類から腸内細菌のエサになるかならないかという生理機能に基づいた分類にシフトされつつある。

じゃあ発酵性食物繊維にはどんなものがあるかというと、一般的な食材に含まれる水溶性食物繊維とほぼ同じ。先ほどの例のペクチンも発酵性食物繊維にグルーピングされる。

で、不溶性は一律「非発酵」かというと、一部の不溶性食物繊維、たとえば消化されないでんぷん=レジスタントスターチは発酵性食物繊維に分類される。

一見すると複雑だが、腸の健康のためにはどれかに偏ることなくバランスのいい食物繊維補給が望まれる。まずは、どんな食材にどんな食物繊維が入っているのかをお勉強しよう。

Q. 普段、積極的に食べられている食物繊維素材は?

普段、積極的に食べられている食物繊維素材は?

答え

1位:葉物野菜 2位:根菜類 3位:きのこ類

このクイズの答えはエビデンスに基づいたものではない。食物繊維摂取量が右肩下がりで落ち込んでいるニッポン人。日頃、どんな食材で食物繊維を摂取しているのか? という素朴な問いの答えだ。

食物繊維の新たな機能性の情報を伝える医師や専門家のグループ「発酵性食物繊維コンソーシアム」の調べによる、「積極的に食べられている食物繊維食材」を見てみよう。

積極的に食べられている食物繊維食材

※参考資料/「発酵食物繊維コンソーシアム」

1位は葉物野菜で74.2%2位は根菜類で66.4%3位は僅差できのこ類の62.6%と続く。最下位の7位は全粒穀物。

上の写真を見て、青々とした葉物野菜に一番食物繊維が豊富に含まれていそう、と思った人。このクイズにおいては正解。でも、実際に食物繊維が豊富かどうかはまた別の話

Q. 水溶性食物繊維、不溶性食物繊維を多く含む食材にそれぞれ分けよ

水溶性食物繊維、不溶性食物繊維を多く含む食材にそれぞれ分けよ

答え

水溶性トマト・昆布・大麦・ゴボウ

不溶性こんにゃく・レタス・大豆・マイタケ

水溶性か不溶性か。この2つの見極めは発酵か非発酵かという新たな次元の食物繊維の分類の下地になる。なにせ水溶性食物繊維のほとんどが発酵性食物繊維に当てはまるからだ。

で、答えは上の通り。それぞれの食材と多く含まれる食物繊維を右の表と照らし合わせてみよう。トマトに含まれるペクチン、昆布に含まれるアルギン酸、大麦のβ-グルカン、ゴボウのイヌリン水溶性にして発酵性の食物繊維

一方、レタスのセルロース、大豆のヘミセルロース、マイタケのキチン不溶性で非発酵の食物繊維だ。

こんにゃくのグルコマンナンは水溶性だけど?という疑問はごもっとも。でもグルコマンナンは芋の時点では水溶性だが、製品化して固めると不溶性に変換される。よって食用こんにゃくは不溶性。

名称 多く含む食品
水溶性 ペクチン 果物、野菜
グルコマンナン こんにゃく
アルギン酸 昆布、ワカメなどの海藻類
β-グルカン オーツ麦、大麦
イヌリン ゴボウ、キクイモ
不溶性 セルロース 果物、野菜、穀類
ヘミセルロース 穀類、野菜、豆類、果物
リグニン ココア、ピーナッツ、緑豆
キチン きのこ、エビやカニの甲殻

資料提供/青江誠一郎

Q. 1食分のうち食物繊維量が多い順に並べよ

1食分のうち食物繊維量が多い順に並べよ

答え

蒸し大豆 → ヒジキ → おから → ゴボウ → 枝豆

並べられている食材の量はそれぞれ1食当たりに口にするのはこの程度でしょうというポーション。これに正解すれば、もし副菜として口にするなら、どれを真っ先に選べばいいかという目安になる

食物繊維の多い食品(1食当たり)
食物繊維の多い食品(1食当たり)

資料提供/青江誠一郎

1位は50g中、4g以上の食物繊維を含む蒸し大豆。2位はその大豆にわずかに食物繊維量が届かなかったヒジキ。ただし、その内訳を見てみると、ヒジキはたった10gというポーションで水溶性食物繊維が大豆のそれより多い。食物繊維の総量でいうと、1位の蒸し大豆から5位の枝豆の順番となるが、水溶性食物繊維をより積極的に摂りたいなら大豆単体の煮物よりヒジキの煮物に軍配が上がる

とはいえ、どれも食物繊維のトップクラス食材。2つ以上の食材をミックスした煮物やサラダを口にすれば間違いなし。

取材・文/石飛カノ 撮影/吉松伸太郎 取材協力/青江誠一郎(大妻女子大学家政学部食物学科教授)

初出『Tarzan』No.840・2022年8月25日発売

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