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腹を割るなら、鉄則は体脂肪を落とすこと。つまり食事の見直しが必須というわけだ。とはいえ、ストイックに考える必要はない。ここに並べた18のアイディアを駆使して、無理なく食事改善しよう。
目次
たった1週間、生活習慣を変えるだけだけでもある程度腹割りの効果は得られる(詳しくはこちらの記事:本気で腹を割りたい人へ。お試し1週間の食事&運動メソッド)。でも、せっかくやるなら腰を据えて取り組み、バキバキの腹で水着の似合うカラダに仕上げたい。そこで、挑戦してほしいのが5週間の食事改善。
5週間と比較的長いスパンで腹割りを目指す場合、短期間のケースと異なり、ある程度バランスよく栄養を摂る必要がある。
「5週間あるので、筋肉量を維持しつつ、脂肪を減らして腹筋のパックを少しずつ出す食事を。カギは“タンパクON”と“脂質OFF”。タンパク質は筋肉の元となるのはもちろん、食べ過ぎを防いだり食後の代謝UPが期待できます。現代人の食事ではタンパク質が不足する一方で高脂質に陥りがち。こまめにタンパク質を摂り、食材の選び方で脂質摂取量を抑えましょう」(管理栄養士・トレーナーの河村玲子さん)
一方、摂取カロリー数と糖質量はそこまでストイックに決め込む必要はない。長期的に筋肉を育むにはある程度のカロリーと糖質も必要だ。
「ある程度糖質も摂らないと、せっかく鍛えた筋肉がエネルギー代謝に使われてしまうので、糖質は少し控える程度で大丈夫です」(河村さん)
男性 | 女性 | |
---|---|---|
カロリー | 1800kcal | 1600kcal |
タンパク質 | 130〜150g | 110g |
糖質 | 210〜230g | 210g |
脂質 | 40g | 35g |
1日のカロリー、タンパク質、糖質、脂質の目標摂取量は上記の通り。通常、成人男性の1日の摂取カロリー量は2,200〜2,300kcal程度だが、それよりも少し減らしたい。女性も同様だ。
タンパク質については、日々筋肉増強に勤しむトレーニーが基準としている「体重×2倍(g)」が目標なので体重60kgなら1日120gだし、体重70kgなら140gとなる。糖質については、減らしすぎず、摂りすぎずを意識。脂質は少し気を抜くとすぐこの数字に到達するので要注意だ。
ここでは4つのテーマに分け、腹割りのための18個の食事アイディアを河村さんに提案してもらった。どれも日常でちょっと意識すればすぐに習慣にできるものばかりだ。
タンパク質ONって、1日何杯ものプロテインを飲まないといけない…? そんな必要はなし。少しの工夫とコンビニフードでも十分達成可能。忙しい日でも実践できる、タンパク質摂取にまつわる4つのアイデアから紹介する。
前述の通り、1日に必要なタンパク質の量は体重×2倍(g)。たっぷり詰まった一般的なプロテインバーでも含有量は15gなので、結構高いハードルに思えてしまうが…?
「タンパク質は一度にではなくこまめに摂るように。朝昼晩の食事に加え、合間に2度間食を入れて1日5食で必要なグラム数を摂りましょう」
体重65㎏で1日にタンパク質130gが必要なら、慌ただしい朝食で多く摂るのは難しいので20g。昼食と夕食でそれぞれ30g。残りの50gを間食のプロテインバーやトレーニング後のプロテインで補う。難しくはないハズだ。
「最近は各コンビニが高タンパクで低脂質、低カロリー食品を次々と発売しています。これらを組み合わせれば、1日130g以上のタンパク質摂取は難しくありません」
そう話す河村さんがオススメするコンビニオリジナル食品は上の通り。特にセブンプレミアムの《熟成焼きいか》は1パック当たりのタンパク質が17.5g(ほか脂質7g、炭水化物3.8g)、《銀鮭の塩焼》は15.1gと非常に豊富。
忙しい日の総菜やつまみはこれで決まり!
時間に余裕のある日はオートミールを使って簡単スイーツも悪くない。でも、そこまでタンパク質が豊富ではないような…。
「その通り。ただしオートミールは水溶性食物繊維が豊富で、食欲や血糖値の上昇を抑える働きがありますし、ギリシャヨーグルトやカッテージチーズと合わせやすいので、高タンパクかつ手軽なスイーツ作りに非常に適しています」
下がそのレシピ。ベリーなど冷凍の果物を少し乗せる程度なら糖質摂取量はそうでもないのでOK。
【材料】
【作り方】
全ての材料を合わせて、冷蔵庫で3〜4時間ほど置く。
近年よく見かけるソイ(大豆)ミート。これを肉代わりに使うのも一手だ。
「大豆自体は高タンパク&高脂肪ですが、ソイミートは大豆からタンパク質を抽出した低脂肪食材。ミンチタイプが使い勝手抜群です。初心者はトマトソースと合わせてパスタに使うといいでしょう」
フライパンでトマトソースとソイミートを加熱し、水加減を調節。茹でたパスタを加えてソースと絡め、塩、胡椒で味を調えたらパセリを散らすだけ。高タンパク、食感たっぷりなパスタの完成!
【材料】
【作り方】
タンパク質に続いて、今度は脂質カットの7つのアイデア。無意識のうちにたっぷり摂っている脂質も、コツを押さえれば1日40gはそう難しくはない!
毎日の食事に欠かせない魚と肉、じゃあその中で高タンパク質かつ低脂肪なものって何? と聞かれ、パッと思い浮かぶのは鶏肉のささみや鮭、あとは豚や牛のヒレ肉に鶏胸肉。このあたりではないだろうか。でもこれらを買うときは、産地によって脂質の量が全然違うので注意が必要、と河村さん。
「鶏肉の場合産地の違いはそうありませんが、牛ヒレ肉に至ってはタンパク質の量はそう変わらないのに、国産の方が圧倒的に高脂質。鯖は国産の真鯖よりノルウェー鯖の方が脂肪をたっぷり含みます」
また、白鮭とアトランティックサーモンは見た目が似ているので安い方を選びがちだが、これもタンパク質量はほぼ同じで、脂質は後者の方がかなり多い。1日脂質40gを目指すなら、頭の片隅に入れておこう。
無駄な脂質を摂りたくなければ、「生クリーム」は極力控えるべし。スイーツのホイップクリームやクリーム系パスタは当然として、カレーやシチューを作るときに市販のルーを使うのも避けたい。
「これらは相当量の生クリームを使っており、非常に高脂質。腹割りには不向きです。スープカレーや、ルーを使わずスパイスだけで作るカレーなら問題ないでしょう。シチューに関しては、生クリームを使わないレシピもあるのでぜひ実践を」
イメージ的には「牛乳よりも豆乳の方が低脂肪だし、いいんじゃない?」と考えがち。たしかに日本食品標準成分表を見ると豆乳100g当たりの脂質は2g。一般的な牛乳の3.6〜3.8gに比べるとだいぶ少ないけど…?
「豆乳は低脂肪ですが、カロリーは100g当たり45kcalと牛乳の61kcalに比べてそう低くはありません。脂質もカロリーも抑える必要があることを考えると腹割りにはアーモンドミルクがベターですね」
《アーモンド効果〈砂糖不使用〉》は100mL当たり19.5kcal、脂質1.45gと、牛乳、豆乳に比べて断然低い。早速切り替えを。
「豆類はカラダにいいしタンパク質豊富。積極的に摂ろう!」…ちょっと待った。脂質の摂取量を抑えたければ、大豆類には要注意。
「糸引き納豆の脂質含有量は100g当たり10g。1パックが40〜50g程度なので、1日2パック食べただけで結構な量の脂質を摂ってしまうんです」
代わりに選びたいのがキドニービーンズやひよこ豆。これらは高タンパク・低脂質。糖質はやや多めだが、ここではある程度の糖質摂取はOKなので問題なし。両者とも缶詰で普通に売っているし、ひよこ豆は必要な分だけ小分けの袋でも購入できる。サラダに混ぜたり、煮物にして食べるのがおすすめ。
在宅時間が増え、料理の回数が増えた人も多いハズ。でも大抵のおかずのレシピを見ると、基本的に油を使うものばかり。河村さん、どうすればいいですか?
「簡単なのは材料をレンジで加熱する調理法。たとえば高タンパクで低脂質な鶏のささみを使った和え物はどうでしょう。あらかじめ塩麴に漬け込んでおいたささみと野菜をそれぞれレンチン。粗熱を取ったら調味料と一緒に和えるだけで立派なお惣菜の出来上がりです。塩麴で漬けた分ささみが柔らかくなっておいしいし、野菜もたっぷり摂れて満腹になりますよ」
詳しいレシピは下の通り。ビギナーでもすぐ真似できるぞ。
【材料】
[A]
[B]
【作り方】
油を使わないレンジ調理に少し慣れてきたら、一歩進んで「シリコンスチーマー」を使ってみては、と河村さん。
「レンジで加熱するだけで料理が作れる蒸し器で、1つあるだけで温野菜からパスタ、魚や肉料理まで幅広く使うことができる。油を使わなくても加熱できますし、底に溝のついたタイプを選べば肉、魚の素材の脂も落とせるので脂質カットに最適。放ったらかしで調理できるため、時短にもつながります」
もう一つおすすめなのが油を使わないタイプの「シリコーン加工アルミホイル」。油なしでも食材がフライパンやトレーにくっつかず、きれいに仕上がるし、魚や肉にも使用OKだ。
無茶苦茶ガマンする必要はないけど、ある程度カロリーは抑えたい。内容よりも食習慣や考え方を変えるだけで簡単にできちゃう5つのアイデアで、楽してカロリーダウン。
外食はもとより、家でも簡単だからと選びがちな丼物。でも食欲コントロールの観点では嚙む回数が少なくなり、満腹感が低くなってカロリー摂取量が増えてしまう。
「ヘルシーに思える丼物も醤油や砂糖をたっぷり使うのでNG。同じ食材でも鶏肉は焼き鳥風、卵は温泉卵やレンジで作る卵焼きにするなどして、ご飯とおかずを別々にすれば自然と咀嚼回数が増えますし、糖質の摂り過ぎも防げます」
朝食のお供、ヨーグルト。これを朝昼晩の食前に食べるといいのだとか。
「ヨーグルトに含まれるタンパク質には、血糖値を下げるインスリンの分泌を促す作用があることがわかっています。またヨーグルトの乳酸には食べたものが胃から小腸に移動する時間をゆっくりにする働きがあるといわれています。その結果小腸での糖の吸収がゆるやかになるため、血糖値の上昇が抑えられるのです」
満腹感が得られるし、タンパク質摂取にも。食前ヨーグルトはいいことずくめ。
⑪の丼物の項でも述べた通り、食事をガツガツ食べて咀嚼回数が少なくなると、満腹感を得られないため結果的にカロリー摂取量が増えてしまう。それを防ぐ方法のひとつが、入れる具材を大きめに切ること。
「ひとつひとつの具材が大きめに切られていると自然と嚙む回数が増えます。特に汁物に入れる大根やゴボウ、ニンジンなどの根菜類を大きめの乱切りにして入れるといいでしょう。これらは食物繊維が豊富ですし、食事の初めに食べると早めに満腹感が訪れて、無駄食いを防ぐことができます」
不規則な生活をしていると、食事の時間を毎日一定にするのは難しい。だが腹割りを目指すなら、5週間は同じ時間に合わせたい。
「毎日食べる時間がずれると体内時計が狂ってしまい、食欲や消化、脂肪の分解などのバランスも崩れがち。例えば7時に朝食を食べたら、6時間後の13時に昼食、19時に夕食を摂るよう心掛け、間食は合間の10時と16時に。これも食べ過ぎを防ぐコツです」
タンパク質が豊富なおかずを最初に食べる「プロテインファースト」。これも近年健康のために効果的とされる食べ方。
「タンパク質を最初に摂ると、インクレチンという消化管ホルモンの分泌が促され、血糖をコントロールするインスリンが多く分泌されます。それによって食後の高血糖を抑える効果が期待できます」
さらに、その後野菜やきのこ類などを食べると消化管からの糖質の吸収が抑えられる効果も。食べる順番はタンパク質→野菜類→ご飯類。これが鉄則だ。
「ついつい」の間食や飲み物で余分に摂ってしまいがちな糖質。発想の転換や食べ分けの工夫など、3つのアイデアで、うまく量をセーブしよう。
1日に摂っていい糖質の量が210〜230gとなると、ご飯はどの程度食べて大丈夫なのか。目安を知ろう。
「5週間での腹割り計画なので、そう減らさなくても大丈夫。1日400g、摂取カロリー数の半分弱にあたる700kcal程度をご飯で摂ると覚えましょう。内訳は昼が多めで200g、朝と夜を100gと少なめにします。100gはご飯茶碗半分、200gは普通盛りより少し多いぐらいがだいたいの目安となります」
ご飯100gは食パン6枚切りの1枚分、200gは蕎麦、パスタ1人前(約80g)に置き換えも可能だ。
制限ってほどじゃないけど、ある程度縛りはある糖質摂取量。だがしかし。たまにはおやつを食べたくなることも。ジャンクなスナック類はもちろんNGとして、これならOKってもの、あります?
「まずガム類や嚙むタイプのこんにゃく、シートタイプの梅干しなど、ずっと口の中で嚙んでいられるおやつはおすすめ。口寂しさを紛らわせられますし、何せカロリーを気にする必要がありません」
あとは高タンパク&低カロリー系。昔からおなじみの小魚や、最近コンビニオリジナルで見かける大豆で作ったジャーキーなど。おやつでも身になる栄養素を!
運動後ついガブ飲みしちゃうスポーツドリンク、起き抜けの習慣となっている野菜ジュースに乳酸菌飲料。カラダに良かれと思って飲んでいるかもしれないが、腹を割りたいのなら一旦ストップ。
「一部を除き、それらの多くの商品は意外と高糖質。わずかな量の飲み物で余計な糖質を摂るよりは、食事で摂った方が他の栄養素も補えるので得策です」
これから暑い季節だが、水分補給は無糖質の水か炭酸水、またはお茶。喉を潤すならこれで十分である。
取材・文/黒田創 撮影/小川朋央 スタイリスト/西森萌 イラストレーション/mrsn 監修/河村玲子
初出『Tarzan』No.832・2022年4月21日発売